国際ロボット展2025の会場で、多くの技術者が足を止めていたブースがある。
Kailas Roboticsだ。派手な演出はない。しかし、ロボットSIerから研究者まで、専門家たちが展示されたアームを見つめながら「本当に全部をKailas社で作り上げているのか?」と驚きの声を漏らしていた。
今回、同社のCEO 塩見佳久氏に、出展の狙いと技術の核心について話を聞いた。
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![「移動体搭載ロボットの“抜本的最適化”がまだ誰もやっていなかった」Kailas Robotics CEO 塩見佳久が語る、軽量ロボットアーム開発の裏側[2025国際ロボット展 iREX]](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251205_iREX_yVb7pFTF.jpg)
産業用ロボットは"移動体に載せる"設計になっていない
──今回、国際ロボット展に出展した目的を教えてください。
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塩見CEO:
Kailas Roboticsが持つ"移動体搭載に特化した統合型ロボット開発力"を示すことが目的でした。既存の産業用ロボットをそのまま移動体に載せるのは、実は非常に難しい。その"壁"をどう越えるかを、実機でお見せしたかったのです。
──移動体との統合には、大きな課題があると。
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塩見CEO:
ええ。例えば産業用ロボットは大型・高重量で、AC大容量電源前提の設計が多く、バッテリー駆動しづらい。また安全柵内での固定運用が前提なので、移動体に載せると安全リスクが一気に増す。さらに価格も高い。
つまり、"ロボット+移動体"をやりたい企業は多いのに、実現のハードルが非常に高いんです。
元々我々のロボットアームはドローンにも搭載できる
──その課題に、Kailas Roboticsはどう向き合ったのでしょう?
塩見CEO:
元々我々の出発点はドローンにも搭載できるロボットアームを作ることでした。それには軽量化、省電力化、熱設計、耐衝撃性、通信、制御……どれか一つだけ最適化すればよい話ではありません。移動体に載せて安定動作させるには、すべてのレイヤーを統合しなければ成立しない。
だからアクチュエータ、ロボットコントローラ、SoC、MPSoC、FPGA+RTOSまで全て内製しています。
──6軸アームが「1.9kg」という重量には驚きました。
塩見CEO:
一般的なアームではほぼ不可能な重量です。制御系や画像処理まで統合して2.5kg以内に収められているのは、前述の通り、ドローン搭載を前提で自社で最適化を行っているから。他社製品の寄せ集めでは到達できない領域です。
特許技術も含む"移動体向け高度制御"
──制御技術にも特徴がありますね。
塩見CEO:
いくつか代表的なものを挙げると、
揺れを抑制する独自制御(特許)
VCSEL-ToFカメラによる外乱耐性の高い3D認識
EtherCATによる高速リアルタイム制御
などです。移動体は止まっているとは限らず、振動、微小な揺れ、外乱は当たり前です。そこに耐えるロボットをつくる必要がありました。
展示①:モバイルアーム「MobiRobo」
![「移動体搭載ロボットの“抜本的最適化”がまだ誰もやっていなかった」Kailas Robotics CEO 塩見佳久が語る、軽量ロボットアーム開発の裏側[2025国際ロボット展 iREX]](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251205_iREX_B9mMqE7F.jpg)
──今回展示された「MobiRobo」について教えてください。
塩見CEO:
「MobiRoboは、AMR/UGVに搭載して“動きながら仕分け作業”ができる軽量アームです。
3D画像処理、バーコード/QR/郵便番号の読み取り、ToFでの位置特定、自律移動、Lidar/超音波の安全監視……。
物流の現場で使える“現実的なモバイルPick & Place”を実現しました」
展示②:いちごPick & Placeロボット
![「移動体搭載ロボットの“抜本的最適化”がまだ誰もやっていなかった」Kailas Robotics CEO 塩見佳久が語る、軽量ロボットアーム開発の裏側[2025国際ロボット展 iREX]](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251205_iREX_bP9umnjs.jpg)
──農業ロボットも展示していました。
塩見CEO:
「果実の“向き”まで認識して、傷つけずに収穫・配置出来るロボットです。3Dイメージ学習でYaw/Pitch/Rollの姿勢を把握し、力制御グリッパで優しく掴みます。不定形物に対応できる自動化の現実的なソリューションを示したかった」
日本でここまでフルスタックで作れるスタートアップがあるのか
──ブースには専門家が多く訪れていました。
塩見CEO:
"このソフトウェアだけでなくハードウェアも自社製にこだわっているというのは見たことがない""日本のスタートアップでここまで自社開発できるとは"という声を多くいただきました。正直、派手なデモではありませんが、現場を知る技術者に響く展示ができたと感じています。
"動くロボット"が当たり前の未来へ
──最後に、今後の展望を教えてください。
塩見CEO:
物流・製造・農業など、労働力不足は避けられません。固定ロボットだけでは限界があり、"移動しながら作業できるロボット"が主流になります。そのための基盤技術を、私たちは着実に積み上げています。
今回の展示はその第一歩です。
大企業でも難しい領域に、スタートアップが正面から挑み、結果を出して見せた。
それがKailas Roboticsの今回の展示であり、塩見CEOの語った物語だった。
「できない理由を並べるのではなく、できる構造をつくる」その姿勢こそが、同社の最大の武器なのだろう。
![「移動体搭載ロボットの“抜本的最適化”がまだ誰もやっていなかった」Kailas Robotics CEO 塩見佳久が語る、軽量ロボットアーム開発の裏側[2025国際ロボット展 iREX]](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251205_iREX_sp3KMx0Y.jpg)