回転翼3級を取得できるDPA認定校は全国に40校ある(2024年6月現在)。いずれのスクールも高度な操縦技術を備えたインストラクターが在籍しており、しっかりとした指導を受けることが可能だ。
- Advertisement -
今回はDPA認定校のなかでも積極的に活動を行っているD-WOLFドローンスクール下関とドローンスクール四日市に、指導で心がけていることなど話を聞いた。
D-WOLFドローンスクール下関
スクール紹介
関門海峡を挟み九州が目前に広がる下関駅から車で約20分。車両の行き来が絶えない国道2号線沿いにD-WOLFドローンスクール下関はある。駐車場は10台以上確保され、最寄りのサンデン交通バス金谷浜停留所にはJR山陽本線下関駅と長府駅を結ぶバスが1時間に3~5本程度停車。受講生にとってスクールへの通いやすさは評価ポイントのひとつ。交通アクセスは非常に便利だ。
もちろん練習施設も充実している。専用の屋内練習場には飛行コースを2面設置。ドローンの操縦は飛行コースに併設された空調完備の小部屋で行う。快適な環境で練習に取り組めるのだ。特筆すべきは屋内練習場の大きな扉を開放して外の風を取り入れられること。スクール修了後、ドローンは屋外で飛ばすことが圧倒的に多い。屋内練習場とはいえ屋外に近い環境で練習できるので、より実戦的な技術の向上が望める。
- Advertisement -
D-WOLFドローンスクール下関の受講生で回転翼3級と国家資格を取得する割合について、日野原勉代表を訊ねた。
日野原代表:回転翼3級だけを取得する人は全体の2割ぐらい。でも回転翼3級と国家資格の2種類を取得する人は、全体の6割ほどになります。国家資格、特に一等の取得を希望する方には回転翼3級の取得も勧めています。一等の実地修了審査で求められる操縦技術は、回転翼3級を取得していないと難しいと感じています。
どのような人が受講しているのだろうか。日野原代表によれば、D-WOLFドローンスクール下関では自分のキャリアを広げるためや、業務で必要といった理由で国家資格を取得する人や、自身が高度な操縦技術を身につけていることを証明するために回転翼3級を取得する人などが多いという。
セールスポイント
D-WOLFドローンスクール下関では受講生一人ひとりにあった講習プランを提案している。
日野原代表:受講生が何を希望しているのかヒアリングして、その人にあった講習プランをオーダーメイドしています。趣味で飛ばすなら回転翼3級だけ、仕事で使うなら回転翼3級で技術を高めてから国家資格を取得するコース、農薬散布であれば物件投下のカリキュラムも追加する、といった形で提案をしています。
- Advertisement -
D-WOLFドローンスクール下関は親身になってアドバイスする姿勢が評判になり、修了生がふらっと遊びに来たり、新しい受講生を紹介したりと、スクールと修了生の良好な関係が築かれているという。
D-WOLFドローンスクール下関はドローン業務の受託もしており、赤外線点検などに取り組んでいる。インストラクターたちはスクール業務と現場業務の二足のわらじで大変そうだが、現場業務ができるということは、ドローン技術の高さの証だ。
現在は自社の社員教育に利用したい新規の法人の顧客も増加傾向だそうだ。
日野原代表:「あそこに行けば、いつもドローンの新しい情報があり、知識を得たりできるね」といってもらえるように、我々もたゆまぬ研鑽を欠かしません。
修了生インタビュー
D-WOLFドローンスクール下関は回転翼3級を経て一等を取得した修了生を何人も輩出している。今回はその1人、池田英太郎氏(広告代理店カメラマン(有限会社アドファクトリーハーツ))に話を聞いた。
池田氏はお仕事の関係で、以前からドローンに触れる機会があった。空撮映像に魅せられた池田氏は本格的にドローンの技能を身につけようと志して、2024年4月から5月にかけて、様々なスクールに電話をかけたという。
池田氏:そのなかで最も気遣ってくれたのがD-WOLFドローンスクール下関さんでした。現在のドローンの資格に関する仕組みを丁寧に説明してくれましたし、通い始める時期も調整してくれました。ここなら指導も親切にしてくれるに違いないと思って、通うことに決めたんです。
池田氏は、回転翼3級を取得してから一等を取得した。いきなり一等を目指さなかった理由について聞いた。
池田氏:段階を追ってドローンの操縦技術を身につけたかったんです。だから、ファーストステップとして回転翼3級の取得に迷いはありませんでした。
池田氏の予感は的中し、厳しくも丁寧な指導を受けて操縦技術はメキメキと上達。一等の実地修了審査も無事に突破した。回転翼3級があったから、一等取得につながったという。
池田氏:回転翼3級では審査を屋内で行いますが、一等だと屋外です。屋外には風や日光など、屋内にない障害があります。でも回転翼3級を取得したおかげで、障害を気にすることなく自信を持って操縦できました。また、回転翼3級のカリキュラムにあった8の字飛行や高度を変えての飛行は一等の課題にもあるので、応用がききます。
池田氏に回転翼3級と一等、どちらの審査が難しかったのかと、あえて直球で聞いてみた。
池田氏:どちらも難しいです。でも回転翼3級をクリアしたから、一等のハードルが少し下がったかな。学科試験の方もマンツーマンで、法律や制度面など、わからないところを質問しながら受講できたのはよかったです。
D-WOLFドローンスクール下関は座学も対面講義を必須としている。ドローンを操縦したい理由は人それぞれだが、池田氏は自身の仕事に活用したいという。
池田氏:これからドローンの市場はどんどん膨らんでいきます。私も不動産の空撮などに取り組んでいこうと考えています。ドローンで仕事をしたい人は早めに資格を取ったほうが将来の可能性も広がります。
次に回転翼3級の取得を積極的に推進しているドローンスクール四日市に、指導で心がけていることなど話を聞いた。
ドローンスクール四日市
スクール紹介
ドローンスクール四日市は、東京の台場や新宿などでスクールを展開する「ドローンスクール東京」の系列校だ。イオンモール四日市北のテナントとして入居しており、来店客からの注目を集めている。
受講生は10代の高校生から70代までと幅広い。将来の仕事に活用するため資格取得を目指す人や、点検業務でドローンを活用したい建設会社の社員など様々な目的を持った受講生を、5人のインストラクターが指導している。
回転翼3級の講習と国家資格の講習を実施。2024年9月からは二等に加え一等の講習も開始した。ドローンスクール四日市のインストラクターである山田渓太氏は最近の傾向について、以下のようにコメントする。
現在は回転翼3級を取得してから、国家資格を取得することをおすすめしています。回転翼3級を取得する過程で、現場で使える操縦技術がしっかりと身につきます。さらにDPA独自の「DPAドローン総合保険制度」があるので、もしものときに安心ということをお客様には伝えています。
セールスポイント
スクール内は明るく、操縦を練習する屋内フィールドは広々としている。特筆すべき点はフィールドの高さが約4mあること。ドローンを目の高さ程度で飛行させることはあまりない。ドローンスクール四日市であれば地上から高さを取った状態で練習が可能であり、実践的な技術を身につけられるだろう。また、年中無休で冷暖房完備の屋内で練習できるので、快適な環境で操縦に集中できるのも特徴だ。
一人あたり操縦練習の時間は、回転翼3級においては15時間、二等初学者では12時間を確保。インストラクターがマンツーマンで指導する。はじめのうちは、操縦練習中にドローンがどの向きを向いているのかわからなくなるなど、混乱することも多い。そんなときにインストラクターが持つプロポで操作介入し立て直してくれるのは、安心できるポイントだ。
山田氏:操作介入するだけでなく、ドローンが飛行する仕組みについてもレクチャーしています。「プロペラの回転数の上げ下げでドローンは推進力を得ている。じゃあ、その推進力を打ち消すためには、スティックをどの方向にいれたらいい?」というように理論に基づいた指導をして、操縦者の理解度を高めるようにしています。
ドローンスクール四日市では、操作介入と理論の解説という組み合わせで、操縦者の能力の引き上げ、腕の確かな操縦者の育成に取り組んでいる。
国家資格の講習ではカリキュラムの最後に実地修了審査を行う。ドローンスクールによっては普段の練習会場から違う場所に移動を強いられるケースもあるが、ドローンスクール四日市ではイオンモール四日市北の屋上に試験会場を確保。効率よく受検することができる。
山田氏:つねにカリキュラムの見直しなどを行っているので、現在の国家資格の合格率は70%程度と高水準です。
実地修了審査の課題である机上試験や、ドローンの飛行に関する知識を問う学科試験の対策には、ドローンスクール東京グループで使用している教材を補講教材として活用。
さらに独自コンテンツとして試験対策用の動画を用意しており、受講生がスクールにいないときでも、いつでもみられるようにしている。試験対策が万全な点は心強いといえる。
ドローンスクール四日市は、国家資格も回転翼3級も教えているが、指導法を変えているのか聞いてみた。
山田氏:国家資格については合格することを最優先で、いかに減点を少なくするのかを重視して教えています。
それとは逆に、回転翼3級は現場で活躍できる操縦技術を身につけてもらうことが強みなので、上手になるため厳しく教えています。そこに大きな違いがあります。
回転翼3級のメリットは、現場でつかえる操縦技術が身につく以外にも、保険が自動付帯したり、国家資格コースを受講するときに割引制度があるという。
どちらのスクールも、経験豊富なインストラクターから指導を受け、実践的なスキルを身に付けることができるだろう。
今回の取材を通して、回転翼3級から国家資格コースを受講するカリキュラムを通じて、十分なドローン操縦スキルを習得し、自信を持ってドローン飛行業務を遂行できる無人航空機操縦士になれると感じた。