株式会社エアロネクストは、モンゴル首都ウランバートル市で輸血用の血液製剤をドローンで定常配送し、2025年5月から11月末までの約7カ月間で計422回の運航を実施したと発表した。経済産業省の令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査:二次公募)で行った「モンゴル国/ドローンを組み込んだスマート物流の標準化実証事業」の成果として報告した。
都市渋滞で陸送に時間を要する環境下でも、緊急性の高い血液製剤を安定的に届けられる体制を整えた点が特徴だ。車両輸送では間に合わないケースが起こり得る中、同社はドローン配送が医療インフラとして機能し得ることを示したとしている。
取り組みは、ウランバートル市の国立輸血センターから市内の病院へ血液製剤を輸送する運用から開始。5月に定期配送を始め、期間中に516人分の輸血用血液製剤を運んだという。国立輸血センターから市内14カ所の病院への飛行ルートも確立し、5名の緊急救命に寄与したとしている。
運航面では、同社の戦略子会社である株式会社NEXT DELIVERYが運航全般のトレーニングを担い、モンゴル大手インフラ企業Newcom Groupの子会社MSDD(Mongolia Smart Drone Delivery)が運用を実施。MSDDは2024年に同国初の商用ドローン飛行ライセンスを取得し、商用運航を開始していたとする。
医療配送に加え、用途拡大も進めた。モンゴル郵便と2025年6月に3日間の郵便物試験輸送を行ったほか、フードデリバリー事業者TOK TOK LLCと共同で、郊外の避暑エリアへ片道16.5kmの長距離配送も実施したという。
また、運航の標準化に向けて、NEXT DELIVERYとMSDDが日本の安全基準に則った運航を重ね、運航マニュアルを策定した。モンゴル特有の厳寒(冬季−20℃前後、運用時は−10℃以上)や高地(標高約1,300m)、都市部運航といった条件下での経験を蓄積し、安全運航体制の確立を進めたとしている。
機体開発では、現地パートナー企業と連携し、寒冷・高地・強風環境での安定飛行を想定した開発を実施。量産開発や寒冷地向けドローン開発に資する知見を得たほか、低価格かつ高品質なドローンの製造・供給拠点としての可能性も示したとした。
第三国展開に向けては、キルギスとウズベキスタンでニーズ調査やパートナー開拓を行い、医療配送を起点とした事業展開、キルギス航空学院と連携したパイロット育成などを含めた議論を進めているという。加えて、血液製剤のドローン配送への社会的評価が高まったことを背景に、Newcom Groupとの出資や共同事業推進を含む次フェーズの検討も進んでいるとしている。
