ドローンを使って空からメッセージを伝えようというアイデアは早くからあり、いろいろな方法が開発されてきました。セスナや飛行船を使うバナー広告よりもカンタンで、バルーン広告よりも扱いやすい方法でメッセージが届けられるドローンは、アドバタイジングの新しいカテゴリーになるのではないかとも期待されていました。
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そうした中で登場したのが、円筒形の空飛ぶ看板をそのままドローンにした「Drobotron」です。ボビー・ワッツ氏が発明した世界初のデジタル広告ドローンは、40×10インチ(約100cm×25cm)のLEDフルカラーディスプレイが360°から見られるというユニークなデザインで、地上からさまざまな情報をアップロードして表示することができます。
本体は折り畳み可能な8つのローターと4枚のLEDディスプレイパネルで構成されていて、全体の重さは30ポンド(約13kg)と持ち運びしやすく、カンタンに組み立てることができます。もちろん特許も取得していて、商用ドローンとしてFAAから飛行認可も受けています。広告の利用料金は1時間200ドルとかなりお手ごろで、本体は2万ドルという価格で購入することもできます。
2017年にフロリダで行われたプロモーション飛行では、明るい昼間でも表示がはっきり見えることを証明し、多くのニュースで取り上げられるほど注目を集めていました。広告以外にも緊急メッセージに使われたり、サーフィン競技の得点表示、さらにはプロポーズにも使われるなど、ビジネスとしては順風満帆に見えました。
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しかし、その後はあまり話題にならなくなり、FacebookなどSNSのアカウントは残ってるものの、公式ドメインは停止したままで、残念ながらビジネスとしては撤退してしまったようです。最も大きな壁だったと考えられるのが、当時の規制で人がたくさんいる場所でドローンを飛ばすのが難しかったことや、飛行条件として天候などの影響を受けやすいというのもあったかもしれません。
とはいえドローンを使ってメッセージを届けるというニーズが無くなったわけではなく、新しいタイプのドローンが先日登場しました。広告ドローンビジネスを展開する米国のスタートアップであるPromo Drone社が、カナダのDraganfly社と協力して開発した「Starling X.2」は、高輝度のフルカラーLEDディスプレイを2枚搭載したクワッドロータードローンで、よりわかりやすく様々な情報を表示できる機能を備えています。
2016年創業のPromo Drone社はStarling X.2を開発する前に、ポスターのようなパネルディスプレイを取り付けたドローンを使って広告サービスを行っていました。メッセージだけでなくQRコードを表示して読み込んでもらう方法などをヒットさせて、少人数ながら順調にビジネスを続けています。
今回新しく開発された機体は、Draganfly社が公共の安全を守るために使用するドローンを開発してきたノウハウが取り入れられており、雨や日差しが強いといった気象条件でも安定して飛行できるデザインになっています。本体だけのサイズは約93cm×91cm×30cmとかなりコンパクトですが、ペイロードは最大10kgの重さを運ぶことができ、搭載された28インチのディスプレイは薄型で脱着も可能です。
本体の重さは15kgと扱いやすいことから、緊急性の高いメッセージ表示に使うことを主な用途にしていて、例えば災害地へ機体を持ち込んで素早くセッテイングして使用できるとしています。最高時速は72kmで、約2.5kmの高さまで飛ばすことができます。飛行時間はディスプレイが2枚の場合は18分、1枚であれば30分となっています。
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公式サイトを見るとこれまでの広告ドローンのイメージを超えて、はるかに多機能であることがわかります。まず大きなポイントといえるのが空中からの動画中継機能で、災害現場でメッセージを表示すると同時に現地の状況を知ることができます。他にも高度なセンシング機能も備えていて、独自のアルゴリズムを使って空から地上にいる人たちを識別するといったことができ、それらをマーケティング分析に応用できるようにしています。
ドローンの飛行規制もどんどん変化しており、あらかじめ許可を得た上で、安全を確保するなどの条件をクリアした場合は、人が大勢いる街中で飛ばすこともできるようになっています。また、日本では全国の消防署が緊急ツールとしてドローンを導入する動きが進んでおり、Promo Drone社のドローンがその選択肢に入ることも考えられそうです。
現時点ではまだプロトタイプのため、スペックなどは今後変更される可能性がありますが、商用で発売されるのは2024年からなので、気になる方はまず資料を取り寄せてみてはいかがでしょうか。