ロボットアームやマニピュレーターをAIが動かす「フィジカルAI」も登場しており、空飛ぶロボットであるドローンとフィジカルAIの融合も、遠くない将来実現するだろう。先端ロボティクス財団では、そんなドローンとフィジカルAIに関する研究の展示を行った。
先端ロボティクス財団によれば、ドローンの運航は、人間の神経系に沿った3層構図で考えられるという。すなわち上から順に、全体計画の立案・決定、リスク認識、ミッション管理といった「大脳/ガイダンス」、姿勢制御、ウェイポイント追従といった「小脳」、モーターの回転数を制御するESCや慣性系のセンサーであるIMUといったハードの制御に使用される「自律神経系」となる。

従来のドローン運航は、小脳と自律神経系についてはすでに機体に実装されており、大脳の部分を人間が担っていた。だが、AIの研究が進展するにつれ、大脳の部分についてもドローンへ実装することが可能になったという。
ブースにはNVIDIAのGPU(AI)を積んだドローン搭載用のハードウェアが展示されていた。インターネットには接続しないエッジコンピューティングにより、通信遅延やネットワーク断絶の影響なく、機体上で自律的な判断が可能になっている。
展示では、機体のカメラが捉えた映像をGPUが処理したうえで「映像上のもっとも輝度が明るい場所を飛ぶ」という自律飛行を実施した様子の映像が見られた。AIはリアルタイムで状況を判断しながら飛行することが可能であることを示しており、操縦技術に依存しない複雑なオペレーションを機体に任せられると予感させた。

現在、関連する学会ではドローンにマニピュレーターなどを搭載し作業させる「エアリアルマニピュレーション」に関する研究発表も盛んだという。実用化すれば、例えばインフラ点検で「0.2mmのひび割れがある」と異常を検知するドローンに加え、修理するドローン、検査するドローンが三位一体で活動するといったことも考えられる。人間が介入しない完全自動メンテナンス体制が構築されるわけだ。
こうなると人間は何をしたらいいのだろうか。取材に答えた先端ロボティクス財団の野波健蔵理事長は「資本の投下ぐらいでしょうか」と話す。一般的なAIの利用でも話題に上がるとおり、AIに何をやらせるかは人間のアイデア次第。現在ドローンの運航に携わる人々なら、きっと世の中を便利にするAI搭載ドローンの活用を思いつくはずだ。そこに資本を投下してサービスを作っていくことが重要になっていくだろう。