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結果から書く。この日の修了審査と、3日後(5月29日)に受けた目視内限定変更の実地講習を、私は両方ともクリアした。
ただし、受かったのは「経験者だから」ではない。経験者でも、ぶっつけ本番の4時間講習だけで受かるのは、ほぼ不可能だ。そう感じたことを、まず先に書いておきたい。
今回の第2回では、受講当日に起きたこと、修了審査の本当の難所、そしてここまで私を支えてくれた湘南ドローンアカデミーの事前サポートについて、現場のままレポートする。
寒川アリーナで始まった一日
5月26日(火)。寒川アリーナ、メインアリーナBの屋内。集合は12時、講習開始が12時10分、修了審査は16時45分ごろ、という1日完結のスケジュールだ。
会場のアリーナはとても広い。隣のコートでは、たまたま市民のバドミントンサークルが汗をかいていた。スクールが借りているのは、その反面。バドミントンの羽が時々視界に入る中で、私たちはドローンの実技を始めていく。
1時限目の教室には、受講者は私を含めて2人だけだった。もう1人は、防災担当の業務でドローンを学びに来ていた方。同じスクールでも、コースが違う(私は経験者コース、その方は通常コース)ので、進度もカリキュラムも別物だ。それでも会場全体は、講師と事務局スタッフ2名による場のつくり方が良くて、わきあいあいとしていた。緊張感はゼロではない。だが、修了審査が控えているとは思えない、不思議に和やかな空気だった。
修了審査の正体―実技だけじゃない、5パート構成
スクールから事前に配られた教材の目次を開くと、修了審査は実技だけではないことがわかる。制度上は「学科」と「実地」の2試験構成だが、教材ベースで内訳を見ると、実質5つの要素に分かれている。

- 机上試験:飛行計画の作成に関するペーパーテスト
- 口述試験(飛行前点検):5つの確認事項+作動前点検(外観点検)
- 実技試験:基本操縦・スクエア飛行・8の字飛行・異常事態における飛行
- 口述試験(飛行後点検及び記録):飛行後の手順を口頭で答える
- 口述試験(事故・重大インシデントの報告及びその対応):報告先・期限・内容を口頭で答える
「実技だけ練習しておけば受かる」と思っていた経験者ほど、ここで現実を知る。実技以外の4パートが、全部、独立した試験なのだ。
しかも、それぞれ「お作法」が決まっている。何を、どの順番で、どの言葉で確認するか。教材には回答例まで載っている。私はそれを赤ペンで線を引きながら、本気で覚えにいった。
事前準備の中身―スクールが送ってくれたもの
ここで、第1回には書かなかった重要な事実を書いておきたい。
4時間の講習だけで、この修了審査を一発でクリアするのは、経験者でもほぼ不可能だ。
私が受かったのは、事前にスクール側が、丁寧に予習資料を送ってくれたからだ。具体的には:
- 教材冊子(目次の5パート構成・回答例・点検項目のすべてを網羅)
- YouTubeの実技解説動画(スクエア飛行・8の字飛行などの動きを目から覚える)
- 「ここを練習しておいてください」というポイントの整理
これを、受講日前の数日〜2週間ほどで読み込み、頭に入れる。実技は実技で別に練習する。そこまでやって、ようやく当日の4時間が活きてくる。
手ぶらで行って、いきなり4時間トライ―というシナリオは、私の体感では絶対に無理だった。事前にしっかり予習させてくれるスクールを選ぶ、というのは、合否を直接左右する選択だと思う。

実技の課目と、講習中に集中して練習したこと
修了審査の実技で出る課目は3つある。
- スクエア飛行:機体を四角形の経路で飛ばす。等速・等高度で、各辺の停止なしに、滑らかに。
- 8の字飛行:交差点の位置を毎回同じ場所に。機首は常に進行方向に向ける。
- 異常事態における飛行:GNSS(GPS)をオフにした状態で、機体を制御し、安全な地点まで戻す。
※参考映像:これら3課目の動きが文章だけではイメージしにくい方は、国土交通省が公開しているCG解説動画や、各スクールが公開している解説動画が参考になる。本連載では他校の参考映像として紹介しており、特定スクールを推薦するものではない。
このうち、8の字飛行は繊細な指先の動きが要求される。エルロン(左右)とエレベーター(前後)を同時に微調整しながら、機首の向きも同期させる。指先の力を抜くことを意識しないと、機体が外側に膨らんでいく。
スクエア飛行で最大の難所は、C地点からD地点への遠距離の目視だった。コート対角線分くらいの距離があると、機体の向きが判別しにくくなる。離陸前にコースを目で追って、自分なりの「目印」を頭に入れておくと、当日の精度が全然違う。屋内会場なら天井の模様や梁の位置、屋外なら遠方の建物や木の形―会場ごとに使える目印は変わる。

そして、講習時間中に集中して練習する時、私が特に意識したのがペースの取り方だった。
普段飛ばすより、とにかく慎重に、ゆっくり飛ばすこと。
修了審査では、急に機体を止めると減点になる課目もあるので、機体をずっと動かし続けることを意識する。停止しないように、滑らかに、流れを切らさず。
ただし、各課目には時間制限があるので、ゆっくりすぎて超過するのもアウトだ。「ゆっくり、でも止まらず、時間内に」―相反する3つを同時に満たすペース配分を、講習中に身体に叩き込む必要がある。
「お作法」こそが最大の落とし穴
経験者にとっての本当の落とし穴は、実技ではない。操縦テクニック以外の「お作法」だ。
修了審査では、機体を飛ばす前に、毎回これを声に出して確認する。
「前方、良し。左右、良し。上空、良し。足元、良し。天候、良し」
着陸前にも、これを声に出して確認する。
「機体周辺、良し。着陸地点、良し」
これを言ってからじゃないと、離陸も着陸もできない。点検していても、声に出していなければ「点検していないものとみなされる」と教材に明記されている。
声出し確認以外にも、暗記しなくてはいけない項目は山ほどある。
- 飛行前の5つの確認事項(飛行空域・航空法・許可証携帯・体調・気象状況)
- 日常点検の13項目を、4つの点検フェーズで観点を変えて確認していく
- 事故・重大インシデント報告のフロー
それぞれに、確認すべき内容、画面のどのタブから見るか、口頭でなんと報告するか、まで決まっている。

経験者ほど、この「お作法」を雑にやってしまう傾向がある。「自分は飛ばし慣れてるから」「いつもやってる確認だから」と頭の中で済ませてしまう。だが、修了審査ではそれは0点と同じになる。実技そのもののミスより、お作法の積み重ね減点のほうが大きい―というのが、私が当日感じた率直な印象だ。
ちなみに、口述試験の暗記については、安心していい部分もある。教科書を一字一句覚える必要はなく、ニュアンスがちゃんと伝わるように説明できればOKだ。私は念のため丸暗記して臨んだが、結果として、自分の言葉で答えても問題なかった。「丸暗記しなきゃ受からない」と力むよりは、「自分の言葉で正しく説明できる」状態を目指すほうが、本番でも応用が効く。
本番のペース配分―「飛ばしすぎない」勇気
実技の練習(ランスルー)は、当日の講習中に何度か行う。
最初のランスルーでは、私は何個か大きなミスをした。「これはギリギリかな」と本気で焦った瞬間もあった。だが、最後のランスルーでは、「このままいけば大丈夫」というところまで戻せた。
ここで自分に課したのが、「これ以上飛ばさない」という判断だった。
ある程度できるようになったら、それ以上飛ばさない。口述試験対策に時間を回す。集中力を高める。疲れを取る。当日の現場で、プロコンから手を離して、椅子に座って、頭の中で確認事項を反芻する。これが効いた。
ドローンの実技は、集中力と指先の感覚が出来を左右する。練習しすぎると、両方とも目減りする。経験者ほど「もう一回飛ばせばもっと良くなる」と思いがちだが、コンディションが落ちる前に止める判断のほうが、本番では効く。私が当日学んだ一番のレッスンは、これだった。
そして、修了審査本番―GNSSを切る瞬間
本番では、リラックスして、集中力の維持に専念した。
スクエア飛行も8の字飛行も、講習中に練習したとおりに飛ばせた。「お作法」も、声出しも、目印確認も、事前資料での予習がそのまま生きた。
そして、第1回で予告した「異常事態における飛行」の課目。GNSSを切った状態(機種によっては「ATTIモード」と呼ばれる姿勢制御モード)で機体を操り、安全な地点まで戻すという課目だ。これも無事にクリアできた。

口述試験も、点検項目も、声出しも、すべて通せた。
合格通知が届いた瞬間
修了審査が終わったのは、夕方17時頃。
帰宅した直後、まだ受講当日の興奮が残っているうちに、スクールから合格通知のメールが届いた。通知書のPDFがメールに添付されており、それが結果通知書のすべてだった。本当にうれしかった。当日中に「クリアできた」と知れたことは、想像以上に大きかった。
なぜなら、3日後(5/29)に受ける目視内限定変更の実地講習の内容が、合格通知の有無で大きく変わるからだ。基本の修了審査をクリアしていなければ、限定変更の話どころではない。早めに合否を知れたことは、心構えの整え方として、本当に助かった。
5/29―目視外飛行は「カメラ操作」が半分を占める
5月29日(金)。同じ寒川アリーナで、限定変更の実地講習を受ける。
「目視内限定変更」というのは、技能証明の限定区分(目視内のみで飛ばせる)を解除する追加講習だ。これによって技能証明の上では目視外飛行に対応するが、実際に目視外飛行を実施するには、別途、国交大臣の許可・承認(または機体認証+運航ルール遵守による申請省略)が必要になる点には注意が必要だ。費用は2時間で33,000円。
「実技だけだから少し楽かな」と思って臨んだのだが、これは早合点だった。5/26にやった『お作法』を、丸ごともう一度やらないといけない。声出し確認、5つの確認事項、外観点検、作動点検、飛行後点検、事故報告―すべて、限定変更の修了審査でも同じように評価される。当然と言えば当然だが、それを最初に知った瞬間、ちょっと焦った。
実技は2課目。「スクエア飛行」と「異常事態における飛行」だ。いずれも、カメラ(モニター)を使って機体の外側の状況を確認しながら飛ばす。異常事態の課目では、試験員の指示で機体を見ない状態をつくり、モニターだけを頼りに飛ばす局面がある―文字通りの目視外だ。しかもGNSSをオフにした状態(機種によってはATTIモード)で。
ここでもう一つ、事前に練習しておくべきポイントを書いておきたい。
目視外飛行は、プロポのコントローラー操作だけでなく、ドローンに取り付けられたカメラの操作が同じくらい重要になる。
具体的には、ジンバル(カメラの向き)を、
- 進行方向に向ける(進路と障害物の確認)
- 真下に向ける(機体直下の状況確認)
- 目的地に向ける(ゴールの確認)
- カメラを前にしたまま、機体自体を旋回させる(周辺を一周ぐるりと確認)
―これを、機体を動かしながら、繰り返し切り替える。
操縦と同時にカメラの向きを動かすのは、慣れていないと結構難しい。カメラを動かす練習も、事前に少しでもしておくと、当日の負荷がだいぶ違う。
実技自体は、5/26より楽な印象だった。5/26をクリアした自信もあったし、お作法も身体に入っていた。安心して受講できた。

スクール選びは「事前サポート」で決まる
実技を2日間、修了審査と限定変更の両方をクリアしたあと、率直に感じたことを書いておきたい。
事前サポートが分厚いスクールを選んだのは、正解だった。
事前に教材を送ってくれたこと、YouTubeの予習動画を案内してくれたこと、回答例まで丁寧に整理されていたこと―これらがなかったら、私はおそらく受かっていない。経験者だから油断しがちなところを、「ここは要注意ですよ」と先回りで伝えてくれるスクール側の姿勢が、合格に直結した。

スクール選びは、地域・予算・スケジュール・カリキュラムの組み合せで決まる、と第1回で書いた。それに加えて、事前サポートの厚みと、講師・事務局の細やかさが、経験者にとっては合否を分ける要因になる。これから登録講習機関を選ぶ実務者の方は、「事前資料を送ってくれるか」「質問への返信が速いか」を、ぜひ判断軸に入れてほしい。
次回・第3回予告
これで、実地講習のパートは完了した。
国家試験のうち、実地試験は修了審査の合格で免除される。残るのは:
- 学科試験CBT(2026年6月5日・平塚)
- 身体検査(書類提出)
- DIPSでの技能証明書交付申請(登録免許税3,000円)
- 技能証明書(免許)の到着(7月上旬見込み)
次回・第3回(最終回)では、6月5日の学科試験CBT(50問・三肢択一)の手応え、身体検査の必要書類、DIPSでの交付申請の動線―免許が郵送で届くまでの最後の事務手続きを、費用と日数の実数を入れてお伝えする予定だ。
それまで、しばしお待ちを。
問い合わせ先
- 国土交通省航空局 無人航空機安全課/無人航空機ヘルプデスク
- DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)申請ポータル<
- 国土交通省 登録講習機関一覧
- 湘南ドローンアカデミー
- アロハ・ブランディング公式サイト
参考動画(他校提供・本連載では参考映像として紹介)

長澤宏樹(ながさわ・ひろき)|プロフィール
クリエイティブ・ディレクター/アロハ・ブランディング合同会社代表。映像制作・ブランディングを軸に活動。2015年からドローン運用を開始。本連載「長澤宏樹のドローン国家資格取得への道」は2等取得編・全3回を予定。