HatsuMuvが「まるで人間の手」へこだわり続けたロボットハンド「HatsuHand」の開発。ウェアラブルロボットアーム・義手・ヒューマノイドロボットなどへの応用が見込まれる革新的な製品だという。
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「HatsuHand」の最も大きな特徴は「人間の手に近いサイズ(約19cm)」で設計がされていることだ。これにより、従来のロボットハンドよりも「日常生活」で使うことを意識した活用ができるようになった。
たとえば、ハンマーやインパクトドライバーなど、人間の手に合わせて作られた道具をそのまま使用できるのが特徴の一つ。導入当時は想定しなかった用途でも、改良の必要なくスムーズに広げていくことが可能だ。
そのほか、ドアノブを引く、コップを持つなど、人間の手に最適化された日常動作にも幅広く適応できるのが魅力だという。工事や医療の現場などで使用する手袋を被せれば、ロボットアームの性能を目的に合わせてさらに引き出すこともできる。
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「HatsuHand」は「人間の手に近いサイズ」だけに留まらず、以下のような唯一性のあるスペックを搭載している。
「軽量化」でより人間的な動きを
同程度の利用シーンを想定したロボットハンドの場合、1kg程度の重量のケースもあるが、一方「HatsuHand」では、約350gと圧倒的な軽量化に成功した。
「なじみ機構」が各指に柔軟性を
掴んだ物に合わせ、各指に適切な力を伝達。人間が無意識におこなっている「硬さの異なる物を最小限の力で掴む」ことをロボットアームでも可能にしている。各指の引き力は500gで、最大2キロまでの把持力が揃っている。
「リンク機構」でメンテナンス・修理に簡易性を
従来のロボットハンドは、主にケーブルで手のひらの動作を制御することから、張力維持ができず性能が落ちてしまう問題がある。ほか、修正・メンテナンスにも手間がかかってしまうため、日常で使うことに適しているとは言えない。
リンク機構を採用した「HatsuHand」であれば、性能が落ちにくいだけでなく、部品ごとの交換が容易なため、長期的な使用に適している。
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「指先のデータ」公開で需要ごとにカスタマイズを
指先へセンサーを導入できる空間を用意していることに加え、関連データ公開・サンプルコードの提供もおこなっている。たとえば、イチゴを掴むなどのより繊細な動作をしたい場合でも、触覚に関するセンサーの導入によって実現できる。
そのほか、同等のロボットハンドのなかでも安価なUSD$4000を実現しているのも魅力の一つだ。これらの機能を搭載しながらも「人間の手に近づける」ことに成功した「HatsuHand」であれば、ウェアラブルロボットアーム・義手・ヒューマノイドロボットなど、さまざまな用途での応用が期待できる。
なぜ「まるで人間の手」へこだわったロボットハンドが実現できたのか?
HatsuMuvは、2次元キャラクターを3次元へと降臨させる「キャラクター現実化サービス」をおこなっているスタートアップ企業だ。最先端のロボティクス技術を活用し、2次元キャラクターを等身大の「動く・触れる」フィギュアへと変貌させ、エンターテインメント業界に新たな風を起こそうと目指している。
よりリアルなエンターテインメント体験を提供したいと思うなかで、“キャラクターの手を人間に近づける”ことにこだわり始めた。具体的には、グッズ販売や握手など、2次元のアイドルが3次元の人々と触れ合うことを想定してフィギュアの開発をおこなった。
そのプロトタイプとして誕生した『ハツキ』は、世界最大規模のロボットショーである「IREX2023」に企業のアンバサダーとして出展。まさにアニメーションから飛び出したアイドルとして「HatsuHand」を介して多数のファンとふれあったという。
つまり、次元の壁を飛び越えて、世界に新たな夢を与えることにこだわった結果生まれたのが、人間の手に近い設計が施された「HatsuHand」だとしている。
現在HatsuMuvでは、人間の手に近いスペックをもつ「HatsuHand」を活用し、手を失ってしまった人でも日常動作ができる「義手」の開発を進めていく計画があるという。