新開発の従量課金システムが搭載されたEV用DC急速充電器(試作機、同社内設置)
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デルタ電子株式会社は、経済産業省補助事業である「令和3年度次世代燃料供給体制確立に向けた技術開発・実証」に「従量課金対応の充電器およびシステム開発」事業を応募し、採択されたと発表した。
同事業の主眼は、電気自動車(EV)用DC急速充電器を従量課金方式に対応させるシステムを開発することだという。
以降、開発作業を進めてきた同事業の成果報告の概要は以下の通り。
同事業の目的
EV用DC急速充電器に、直流計量器を用いた従量課金方式(計測した充電量から充電料金を算出)に対応可能なシステムを開発する。現在の充電料金は時間単位の全国一律での課金方式が主流となっているが、充電速度は充電環境や機種、蓄電池の状態、充電開始後からの時間などによって異なってくるため、公平な課金方式になっていない問題があるという。
同システムは、資源エネルギー庁にて応募当時に検討が進められていた計量法の「特定計量制度」に適応可能で、EVへの充電量を精緻に計測可能とし、今後の事業化を考慮して、校正やメンテナンス、定期点検のし易さを確保すると共に、設置のし易さやコストダウンに取り組んでいくという。併せて、利用者の精算や、SS(石油販売)事業者による充電履歴や充電器状態の管理など、SS事業者が適切に運営可能で利用者にも分かり易いサービスを提供できる仕組みも構築するとしている。
事業概要
- 実施場所:デルタ電子株式会社 本社(東京都港区芝大門)
- 使用設備:
弊社製50kW出力DC急速充電器「EVHJ503」
弊社製25kW出力DC急速充電器「EVDJ25」
直流計量器
通信端末用Gateway
EV Solution Cloudシステム
充電利用者用スマホアプリ
管理者用Dashboard(見える化、設定画面) - 開発内容:EVへの充電量から従量課金を行い、充電利用者はスマホのアプリから、料金指定・時間指定・残量指定等を選択することができ、従来のSSでの給油方法と同じように、様々な充電方法に対応したシステムを開発。SS事業者は契約している電力会社の料金体系やカレンダー(平日/休日など)、独自サービスに合わせて時間毎に充電料金の単価を設定することができる。また、スマホのアプリから充電を開始すると、SS事業者や近くの提携店舗のクーポンを発行することができる。
同システムの特長
(以下、プレスリリースより引用)
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- 直流計量器を充電ケーブル側に設置しているため、実際に充電された分だけを正確に計測し、課金することが可能
- 弊社製DC急速充電器は、交流から直流への変換効率が94%と高いため、電力のロスが少なく、エネルギーを有効に利用することが可能であり、SS事業者の利益に貢献が可能
- クーポン発行により利用者/SS事業者だけでなく、近くの店舗と連携することで地域全体の経済活動への貢献も期待できる(特許取得済み)
- 管理者用Dashboardはリモートから閲覧できるため、充電器の近くに居なくとも利用状況や故障診断が可能となる。また、売上情報は月次レポートからダウンロードする事もでき、緊急時や人手不足解消への貢献も期待できる
まとめ
「特定計量制度」に適応可能で、EVへの充電量を精緻に計測できる充電システムを構築した。また、利用者が充電料金を選択できるアプリや、SS事業者が自由に料金設定できるDashboardにより、利用者やSS事業者にとって利便性のあるサービスを提供できるものと考えているという。
更に、拡張性のあるプラットフォームにより、様々な要件へのカスタマイズが可能であり、今後のトレンドや地域独自性に、柔軟な対応ができる仕組みになっている。今後はフィールドテストやテスト運用を実施し、利用者およびSS事業者からのフィードバックによる機能改善を行い、全国のSSや公共施設への普及拡大を目指すとしている。
同社グループは、創業より環境課題への取り組みを実施しており、電源を高効率化することで世界の二酸化炭素排出量の削減に貢献してきたという。また、2018年にはEV100、2021年にはRE100にそれぞれ加盟。今回の開発成果を活用し、EVの充電インフラへのサポートを通じて、サステナブルな社会を目指すことで、SDGsの達成に貢献したいとしている。