株式会社NTTドコモは、東京大学大学院情報学環中尾研究室と共に、第5世代移動通信方式(以下:5G)による大容量・低遅延通信と水中ドローンを活用した漁場遠隔監視の実証実験を11月22(金)を行った。
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水産業界では、情報通信技術(ICT)を活用して海中の状態把握を実現し、労働者の負担を削減することが期待されている。例えば、遠隔から漁場の状況が常時観測可能になれば、魚の養殖現場で餌やりの作業を行う効率的なタイミングを把握することが可能となる。カキ養殖現場で海中状態が把握できれば、従来方法に比べ、成育状況、産卵の把握や幼生の浮遊状況も確認できるため、カキ養殖技術の底上げが見込まれる。
これらを実現するためには、海中の高画質な映像を生産者の元へリアルタイムに届けるソリューションが必要で、映像による海中の状態把握に向けて、ドコモの5G技術と東京大学水中ドローンによる遠隔監視システムを活用し、実証実験が実施された。
5Gの大容量通信により、水中ドローンが撮影する高画質な映像をユーザーのアプリケーションへ伝送。5Gの低遅延通信により、映像伝送に並行してタイムラグのない水中ドローンの操作を実現し、海中の状態把握を行う。さらに、波の影響を受ける海上での安定した5G通信に向けては、2018年5月21日報道発表の「海上で5G技術を使った4K映像伝送」の取り組みで実装したビーム追従機能を活用している。
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今回、広島県江田島市のカキ養殖場にて、実験用の5G基地局・移動局を用いて、水中ドローンを遅延なく操縦しながら高画質な映像を伝送する実証実験に成功した。水中ドローンで撮影する映像伝達に5G活用する取り組みは水産業界初であり、水産業の生産性向上への貢献が期待される。本実験では、上りリンク最大約300Mbpsの伝送速度で海中の映像を伝送しつつ、タイムラグのない水中ドローンの操作を達成したという。
実証実験概要
実証実験内容
船舶は、カキ養殖場の筏設置場所に合わせて基地局から100m~150mの範囲に停泊。
映像による海中の状態把握に向けて、5Gと水中ドローンを活用した漁場遠隔監視の実証実験を実施。
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本実験に関する東京大学の研究開発
海上に停泊させた小型船舶に5G移動局を設置し、5G移動局装置に有線で接続した水中ドローンをカキ養殖場の海中へ投入。水中ドローンのカメラで撮影した海中のHD映像を陸上の5G基地局に向けて無線伝送しつつ、タイムラグのない水中ドローンの操縦信号を基地局から移動局へ無線伝送。
実験期間
2019年11月18日(月)〜2019年11月22日(金)
実験場所
広島県江田島市 やながわ水産
使用周波数帯
28GHz帯 (帯域幅:366MHz)
5G基地局装置 | ・2X2MIMO ・Massive MIMO (各偏波64素子) ・垂直・水平偏波に対応したアンテナビームを送信 ・ビームフォーミング機能 ・ビーム追従機能 |
5G移動局装置 | ・垂直、水平偏波に対応したアンテナビームを送信 ・ビームフォーミング機能 ・ビーム追従機能 |
NTTドコモ |
・5G無線伝送装置の提供 ・5G無線通信環境の構築/オペレーション |
東京大学大学院情報学環中尾研究室 | ・5G大容量・超低遅延通信の品質計測 ・遠隔監視システム(通信システム、水中ドローンまたは水中カメラ、その他漁網や魚などを含)開発 ・Wi-Fi制御機器(スマートフォンから水中ドローン)の制御範囲を5G通信により透過的に拡張する通信制御方式の研究開発 |