※情報は執筆時点(2026年6月〜7月)のものです。制度改正や誤りの可能性があるため、手続き前に公式情報でご確認ください。内容に誤りがあれば、ご一報ください。修正いたします。
2026年6月5日、午前11時。私は平塚のプロメトリック試験会場へ向かっていた。
ここまでは、空を飛ばす話だった。第3回からは、机に向かう話だ。学科CBT、身体検査、合格証明書、DIPSでの申請―最終回として、机の上で何が起きたかを、実際に起きたまま記録する。
学科CBT―平塚西口Aの教室で

会場はプロメトリックの試験会場・平塚西口A。整理された手順の受付を経て、指定席へ着く。時計を含む所持品はすべてロッカー行き、試験室に持ち込めるのは運転免許証とペットボトルの飲料のみだ。
用語をひとつ。ドローン2等の学科試験はCBT(Computer Based Testing)の形式で行われる。紙の試験(PBT)ではなく、コンピューター画面で解いて即時採点。全国200カ所超のプロメトリック会場から空き枠を予約する。紙で勉強してきた同世代には、それなりに違和感のある形式である。
11時30分、試験開始。50問、制限時間30分。前半は文字数の多い設問が続き、10分経過時点で「このペースじゃ全問終わらない」という不安が頭をよぎった。一呼吸して「大丈夫、大丈夫」。後半に入ると、文字数の少ない設問がまとまって出てきて、一気に挽回。気づけば5分残っていた。
その5分で、前半に自信のなかった設問を見返し、何問か答えを変えた。結果論だが、この見直しの5分が合否を分けたと思う。
終了ボタンを押す。画面が切り替わる。「PASSED」―その下に「合格」。緊張が一気に抜けた。
昼過ぎ、プロメトリックからスコアレポートのメールが届いた[1]。内容は「合格基準点以上」の表示のみで、点数の記載はない。何点で受かったかは分からない仕様だ。

机の上の手続き―UIと反映待ちの迷宮
学科CBTを越えた後に待っているのは、机の上の手続き群だ。試験申込システムを運営するのはClassNK(一般財団法人日本海事協会)。ここから身体検査、合格証明書発行、そしてDIPSでの技能証明新規交付申請へと進んでいく。
正直に書くと、この段階で私が最も消耗したのは、試験の難しさより、各種書類申請の手続きのUIのわかりにくさだといっても大袈裟ではない。オンラインで完結できる仕組みになっている以上、このUIのわかりやすさは、是非とももっと頑張ってほしいところ。
加えて、関連機関の行き来も、もう少し裏で情報をつなぐ工夫があって良いものだと感じた。受験そのものはプロメトリック、合否レポートもプロメトリック、次の申込はClassNK―プロメトリック⇄ClassNKの往復。それが終わったかと思うと、今度はDIPSへと情報を自ら移していかないといけない。これが混乱を招く。

一方、身体検査は、名前と裏腹に書類だけで完結する。ClassNKで「公的な証明書等の提出」を選び、運転免許証の画像をアップロードして手数料5,200円を支払う。所要10分弱、中2日で色覚・視力・聴力・運動能力の4項目に「合格」が並ぶ。物理検査はゼロだ。
続けて試験合格証明書を申請する。手数料は0円。数営業日でPDFが発行され、これがDIPS申請の「鍵」になる。
こうして書き出すと淡々としているが、実際は、それぞれの段階で「次に進んで良いのか、まだ待つべきなのか」の判別材料に乏しく、確認のためにClassNKのマイページを何度も開き直す時間が積み上がっていた。「分からないままでも、進む」―それが、この資格を取り終える人の共通の通り道なのかもしれない。
DIPS申請―最後まで暗中模索
合格証明書のPDFを手元に、いよいよDIPS 2.0で技能証明の新規交付を申請する。手元に用意するのは、合格証明書のPDFと、スクールで受け取った「無人航空機講習修了証明書」(目視内修了+目視外限定変更の2通)。DIPSにログインし、「技能証明の取得申請」→「技能証明の新規交付」の順にクリック、書類をアップロードしていく。
これもこう書くと淡々としているのだが、DIPS 2.0のUIも同じぐらいわかりにくくて苦戦した。というか、ただいま現在進行中で、苦戦中である。
実は、この原稿を書いている2026年7月10日現在も、私の技能証明書は、まだ手元に届いていない。第3回では、免許を手にした瞬間のカードの重みを書くつもりだったが、度重なる申請の不手際で、その瞬間は、まだ来ていない。連載の最終回になって、「最後の最後まで、暗中模索は続く」―それが、私が読者に伝えられる最も正直な結論だ。

「テクノロジー以前」の話をしたい
この一連の流れを通じて、強く思うことがある。試験制度の設計や理念そのものに、不備があるわけではない。だが、手続き周りのUIとシステム連携のわかりにくさが、この資格の入口をずいぶん狭くしている。
技術の話をする前に、まずここを簡略化しないと―これは”テクノロジー以前の問題”だ。ドローンという新しい技術を社会に実装したいなら、その入口の設計こそ、いちばん洗練されていてほしい。

費用の合算だけ、最後にまとめておく。第1回から第3回まで積み上げた(あくまでも筆者の場合の)費用は、スクール・目視外限定変更・学科CBT・身体検査・登録免許税を合わせて、経験者ルートで約13万円台。スクールや限定変更の構成によって幅はあるが、目安としてはこのあたりだ。
取ることと、仕事にすることの間には、壁がある
世の中を見渡すと、ドローン国家資格2等を取った人たちの進路は、大きく5つの方向に分かれている。空撮業務(広告映像・観光PR・不動産)、インフラ点検・保守(橋梁・送電線・大型施設の屋根)、物流・配送(山間地・離島)、災害支援・公共サービス(被災地空撮・遭難者の捜索支援)、農林業・測量(精密農業・i-Construction)。市場全体としては、着実に前に進んでいる領域だ。
ただ、資格を取ってみて気づいた。この5つのどれも、資格を取っただけで自動的に来るものではない、ということだ。「2等を持っています」は名刺の裏の一行にはなる。だが、その一行だけで仕事が舞い込む世界ではない。取ることと、仕事にすることの間には、明確な壁がある。
なら、どうするか。私は、自分でドローンの周りに仕事を作りにいくことにした。

その最初の一歩として、2026年6月末に 「ドローンクリエイティブ研究所」 というプロジェクトを立ち上げた。ドローンで新しい仕事のあり方を考え、実際に動かす場所―「研究」と「実動」の二輪で回すコンセプトだ。
一等・二等の国家資格を持った実務家や、映像プロ、マーケターなど、ドローンの周辺で仕事をしている人たちに声をかけ、共同で動く仲間が、少しずつ集まりつつある。

「取った後、どう仕事に変えていくか」―この問いは、私一人の問題ではなく、これから2等を取る人・すでに取った人にも共通する問いだと思う。だから、開いた場所として続けていきたい。
これから記録したい「次の絵」
これから、「取った後の仕事」を、実際の案件ベースで積み重ねていきたい。
例えば―
- 屋根点検の仕事:建設会社や保険査定鑑定員から依頼される、屋根損害の証拠画像撮影。1件あたりの相場と、査定に使える画像の勘所
- Web映像用の撮影の仕事:自治体のシティプロモーション、企業のPR動画、周年映像。地上機材との組み合わせ方、編集の手数
- 学校の集合写真の仕事:創立周年記念での、全校児童+校舎+校庭の空撮パッケージ。年何回、いくらで、どういう流れで受注に至るのか
「料金の相場」と「受注から納品までの手順」―この2つが見えてくると、これから2等を取ろうとしている人にも、すでに取って次の絵を探している人にも、実際に動くための材料になる。
「取れば、なんとかなる」ではなく、「取ってから、こう動く」。その具体を、記録として残していきたい。
11年間、必要な時に必要な分だけ飛ばしてきた。これからもたぶん、そうだ。ただ、その「必要な分」の輪郭が、少しだけ広がる。カードがまだ手元に届かなくても、頭の中では、次の絵はもう動き出している。
本連載の取材にご協力いただいた湘南ドローンアカデミーの皆様、そしてDRONE.jp編集部に、心より感謝申し上げます。Vol.01〜03、3カ月にわたりお読みいただきありがとうございました。
問い合わせ先
- 国土交通省航空局 無人航空機安全課/無人航空機ヘルプデスク 公式情報
- DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)申請ポータル
問い合わせ:無人航空機ヘルプデスク 050-3385-4717 - 無人航空機操縦士試験申込システム(ClassNK)
- 湘南ドローンアカデミー(本連載の取材協力)
- ドローンクリエイティブ研究所(著者主宰)
- アロハ・ブランディング(著者)