中国のフードデリバリー大手、美団(Meituan)は9月10日、上海市徐匯区の西岸エリアで「上海西岸低空航網」の正式運用を開始。同時に、マクドナルドと連携し、中国国内で初となる飲食ブランド専用のドローン配送航路を開設したと発表した。
今回のサービスでは、マクドナルド龍騰大道店と西岸エリアに設けられた受け取り拠点をドローンで接続する。利用者は美団のサービスからマクドナルドの商品を注文。店舗から近隣の美団ドローン用「スマート接驳機場(スマート接続空港)」まで商品を運ぶと、自動化された機械アームが商品をドローンに積み込む。ドローンは指定された航路を飛行し、目的地の受け取り拠点へ商品を配送。利用者は到着後、スマートフォンなどを使って商品を受け取る。
美団によると、注文から受け取りまで最短10分。道路交通の影響を受けないドローンを利用することで、通常の地上配送より短時間で商品を届けることができるという。
マックのサービスエリアを数km拡張

今回の専用航路によって、マクドナルドの店舗から周辺数kmにある、スポーツ、レジャー、ウォーターフロント、屋外コミュニケーションなどのエリアまでサービス範囲を拡張する。
美団は、上海西岸低空航網について、西岸夢中心、徐匯浜江公共開放空間、模速空間、マクドナルド龍騰大道店前広場などを主要拠点として構成。商業施設、オフィス、公園など異なる都市空間を低空の配送ネットワークで接続する。
現在、約20の飲食チェーンブランドが美団のドローン配送に対応しており、マクドナルドのほか、阿嬤手作、MStandなどが参加。数百種類の商品をドローンで配送できるという。美団は年内に対応ブランドを40以上へ拡大する計画だ。
第4世代ドローンと自動接続ステーション
今回の上海西岸航網には、美団が独自開発した第4世代ドローンを投入する。
ドローンは、配送用バッグの自動装着、夜間のビジュアルポジショニング、全方向の障害物回避、緊急時の着陸地点選択などの機能を搭載。美団によると、マイナス20℃から50℃の環境に対応し、中程度の雨や雪、最大6級の強風下でも安定した飛行が可能としている。
地上側には「M-Port 3.0」スマート接続ステーションを採用。店舗からの商品受け渡し、ドローンへの積載、利用者による受け取りという3つの工程を自動化している。
さらに、運航管理には「M-DaaS 3」と呼ぶクラウド型の調度システムを利用。超目視外飛行や複数機体の運用、高密度な航路管理に対応し、異常発生時には100ミリ秒以内に状況を判断して、航路変更や安全対策を実行するとしている。
美団が「都市の第二の輸送網」を構築

美団は2017年からドローンによる低空配送の実証を開始。現在では北京、上海、広州、深圳、香港、ドバイなどで低空物流サービスを展開している。
今回の上海西岸航網は、深圳に続く美団にとって2番目のシステム型都市低空航網となる。
美団は上海を低空配送ネットワークの大規模展開における重点都市と位置付けており、今回の西岸エリアを起点に、今後さらに多くの地域へ航網を拡大する方針だ。
同社は、低空配送を「体験」から「日常」へ、さらに「単一エリア」から「全域」へ拡大していくとしている。
美団によれば、同社のドローン配送はこれまでに商業注文100万件以上を達成している。
これまでドローン配送は、特定エリアでの実証実験という側面が強かった。一方、今回の上海西岸では、飲食店、ドローン、地上ステーション、利用者を一体化した都市型配送網として運用。マクドナルドという世界的なチェーンが専用航路を持つことで、ドローン配送が都市の日常的な物流手段へ移行する動きがより鮮明になっている。
上海の街を走るデリバリー車両に加えて、これからは「空を飛ぶマック」が都市の風景に加わることになりそうだ。