最近のドローンはハンダ付けの必要はない
初期の頃のドローンはバッテリーやESC、モーターをつなぐのにコネクターをハンダで付ける必要がありましたので、よくハンダごて使っていました。古いフライトコントローラーのなかには、メインの基盤とESCはコンデンサーを経由してハンダ付け必須の物もありました。最近のドローンは完成済みで基盤や配線すら表から見えないものがほとんどの為、ハンダ付けはあまり使わなくなっていましたが、tinywhoopなどマイクロドローン系を扱うのにまた必要になってきました。それも、以前より細かいハンダ付けが必要です。
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本で学ぶこともまだまだある
ハンダごては色々試しました。なかなかうまくハンダ付けができず、いくらやってもうまくならないなぁと思っていました。そんなときにMaker Faire Tokyoでオライリー・ジャパン発行の「ハンダづけをはじめよう」(Marc de Vinck 著、テクノ手芸部 監訳、鈴木 英倫子 訳)をなんとなく買い、読んでから色々変わりました。
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Maker Faire Tokyoに出展していた、ハッコーのハンダ付けブースで良い機種を借りてハンダ付けしたことも大きな転機だったのかもしれません。それまでもそんなに安物を使っていたわけでは無いです。温度調節機能の付いたものでした。しかし、その温度がいつも設定値とは限りません。しばらく何もせずにほっておけば温度が高めになってしまうこともありますし、連続作業をすれば低くなってしまうこともあります。それでも腕がないのかな、もっと技術を身につければなんとかなるのか?とも感じていましたが、ちょっといいハンダごてを買ってみようと、ハッコー製のFX888D-01SVを購入してみました。
なんでもっと早く買わなかったんだろうと思いましたね。それも高めとはいえ実売2万円しないのです。温度表示がしっかり見えるので、冷えてないか、温度が上がってしまってないか、しっかり確認できます。
コテ台もついてきますし、コテ先をきれいにする金色の金属タワシのようなクリーナーがこれまた使いやすいのです。「ハンダづけをはじめよう」にも書いてありますが、コテ先をきれいに保つこともコツの一つです。温度管理、温度設定、コテ先、これらがうまく行ったことでハンダ付けも簡単になったのでしょうね。
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補助ツール
ハンダ付けをしていると誰しもが感じる事があると思います。
「手がもう一本ほしい」
ハンダごてを右手で持ちます。ハンダを左手で持ちます。ケーブルと基盤を・・・おさえられないのです。そこで、第三の手になるようなツールもあります。
正式名称はわかりませんが、このようなワニ口クリップがついた器具です。大小、腕の数もいろいろな種類があり、数十年前から存在すると思います。ですが、私はこれが嫌いです。まず、ワニ口クリップがきつすぎて配線を痛めてしまうのです。そこで私はワニ口のギザギザを潰し、熱収縮チューブで覆う改造をしてあります。もう一つ、思ったように腕の位置を固定できないのです。何十年もあるのに何も進化してないのか、誰も不便と思っていないのか、とても疑問です。
そう思っていたら、中国通販でヤマタノオロチのようなものを見つけて購入してみました。ちょっと進化していまして、ワニ口クリップは最初からケーブルを痛めないように保護されています。アームはオイルを差すのに使うフレキシブルチューブを流用したものになっています。ようやく進化したかと思ったのですが、アームの位置を微妙に調整することができないので、やはりイライラします。このあたりも自分で改良するしかないようです。今後の課題です。
その他にも色々ツール使います。左の黄色いミニバイスはたしか100円でした。下は吸盤になっていますがすぐ取れてしまうので効果はないです、そんなに力が加わるものでもないので吸盤なくても大丈夫です。右のアルミブロックは穴の部分にコネクター端子を刺して固定できるので、ゴールドコネクターと配線をハンダ付けする際に便利です。
横部分はXT60やディーンズコネクターを固定できます。こういった樹脂と一体化したコネクターをハンダ付けする際、200度くらいの低い温度でハンダ付けしようとするとハンダが溶けるまでに熱が伝わるのに時間がかかってしまい、時間が長いと樹脂まで熱がつたわってしまい溶けてしまう事が多かったです。なので、380度以上の高い温度でさっとハンダを溶かして手早く樹脂に温度がつたわる前に終えてしまえば、樹脂が溶けることもありません。そういった意味でも温度管理のしっかりとしたハンダごてを使う意義があると思います。
安全と健康に関して
「ハンダづけをはじめよう」でもう一つ肝心なことが触れられていました。安全と健康に関してです。一つは以前にも書きましたが、目を守る保護メガネです。目以外にも守らなければいけないものがあります。呼吸です。ハンダ付けをすると煙が出ます。今は鉛が入っていないハンダが増えましたが、それでも人が吸って良いものではありません。鉛入りのハンダであればなおさらです。そこでハンダ付けの際の有害な煙を吸ってくれる吸煙器が売られています。ちょっと値段が高いし、角度が変えられないので、ちゃちゃっと作ってみました。
ベースは100円ショップで売られていた5枚位CDが入るケースです。カッターで適当にくり抜き、それにUSBファンを仕込み、活性炭フィルターを挟み込んだだけです。
角度変えられるようにそのへんに転がっていた廃材でフレーム作りました。ワニ口クリップ使っていると位置が高くなってしまうのですが、これで対応可能です。総額2000円いかないでしょうか。1時間かからず作れたと思います。時間をかけていないのがケースの切り口で見て取れます。手を抜くところは手を抜く。ただ、これを記事にすることがわかっていたらもっとちゃんと処理しましたよね。
すこし変わり種の機器
ハンダ付けの機器もハンダこてだけではありません。これはリフローステーションという機器です。本来はとても高価な機器だったのだそうですが、中国製の安いものが簡単に手に入ります。機能は簡単に言うと温度調節ができる小型ドライヤーのようなものです。
本来は表面実装チップをペースト状のハンダの上に乗せてこの機器から出る温風を当てることによってハンダ付けするものです。他にもチップや、コネクターのように足がたくさんあるとハンダごてでは複数の足を同時に温められないので、このような機器があると便利です。私は主に熱収縮チューブを収縮させるのに使っています。一般的なヒートガンだと余計なところも温まってしまったり、手が熱いこともあるので重宝しています。
仕事するのは道具
「仕事をするのは道具」これは学生時代にバイトをしていた車板金屋の人が言っていました。何度やってもうまくいかない。とても時間がかかる。そういったこともちゃんとした道具を使うことによってあっという間に、それも良い状態で行うことができる。それをハンダごてで改めて感じました。けっして色々工具や道具を買うことを正当化しているだけではありませんよ。