検証では、片道1km超の安定飛行ならびに操作室内からの目視外飛行を実現し、河川巡視業務の効率化に対して十分な効果を確認できたという。
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取り組み背景
国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所(以下、琵琶湖河川事務所)は、瀬田川洗堰の管理および操作を行っているが、水辺利用者への注意喚起のため、巡視にあたる職員の要員確保が課題となっており、省人化・効率化の検討を行っている。
また、将来的には琵琶湖河川事務所内の操作室からドローンをコントロールし、室内モニターでリアルタイムに映像を確認するなど、人の判別が可能な仕組みの構築を見据え、政府方針に従ってセキュリティに配慮した最適なドローンの導入を検討している。
以上のような課題は、全国の河川事務所が抱えている共通の課題と考え、琵琶湖河川事務所発注の業務(受注者:東京建設コンサルタント(以下、TKC))において、ドローンに関する技術協力として関わり、河川巡視へのLTEドローン活用の効果検証を実施した。
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実証概要
実証日時 | 2024年5月30日(木) 9:00~12:00 |
実証場所 | 滋賀県大津市黒津4丁目付近 |
実証内容 |
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※上記すべての検証は、飛行範囲には補助者を配置し、立入管理措置を実施のうえ、飛行した
実証結果
検証①の結果
遮蔽物や伝送距離により2.4GHz帯の通信のみで制御する機体では到達が難しい範囲(約800m先)を超え、約1km先でも十分に機体制御および映像伝送をANAFI Aiが行えることを確認できた。
<2.4GHz帯の通信のみで制御する機体とANAFI Aiとの到達範囲の比較>
検証②の結果
水辺利用者や船舶等の有無について、映像をANAFI AiからLTE経由で送信機へ配信した結果、web会議システムを活用した際よりも高品質なリアルタイム配信ができることも確認できた。
検証③の結果
琵琶湖河川事務所の操作室内からLTEを経由したドローンの操作や映像配信は、屋外操作の良好な通信環境と比較しても確実な操作性や途切れることの無いリアルタイム映像配信ができることが確認できた。
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検証④の結果
ANAFI Aiの映像を用いた画像解析から高精度で河川内(岸辺含む)の人・車両・船舶を自動で検知できることを確認できた。
※本検証では準備の都合上、リアルタイム検知は試すことが出来なかったが、リアルタイムに自動検知することも可能だ。
TKC様コメント
- より広範囲な巡視が可能になることを確認できた
河川の巡視業務は非常に広範囲となるため、LTE通信が可能なことにより、巡視業務への活用の効果が高まると感じました。また、ANAFI Aiが電波状況を把握しながら、2.4GHz帯とLTE通信への切り替えが非常にスムーズに実施していること、加えて、LTE通信でも映像の品質が落ちないことに驚きました。 - より正確な情報共有が可能になることを確認できた
ANAFI Aiに搭載されているカメラ自体が4,800万画素ということもあり、河川の状況をクリアに確認することができ、さらに、その映像を、NTT東日本グループが開発した映像伝送システムを活用することで、web会議システムよりも高画質にリアルタイムに映像配信できることに驚きました。 - より確実な巡視にむけて
ドローンでの巡視に当たり、人の目による映像確認にこの自動検知を組み合わせることで、取り残された人を見逃す確率が大幅に減らせるものと期待できると考えます。本検証では準備の都合上、現地では確認できませんでしたが、リアルタイムに検知を行うことが出来る点は驚きです。実際の巡視ではもう少し前方も見えたほうが良いので、ジンバル角50~60度の時も同レベルの検出精度への向上に期待したいと思います。 - より安心な機体の導入にむけて
安全保障の観点から、今後ドローンを購入する際には遵守すべき政府方針もふまえて検討していく必要があります。加えて、NTT東日本グループで実績を多数有するANAFI Aiは、最新機体の目利きや導入後の不具合検証等の観点からも安心して導入できるドローンだと認識しました。さらに、機体価格が比較的安価な点も評価できます。
今後の取り組み
NTT東日本グループは、本検証結果をふまえて、全国の河川事務所ならびにダム管理者等に対して「より広範囲・より迅速・より安心」なANAFI Ai等の最先端の機体、並びにリアルタイム映像配信サービス、画像解析システムの紹介を強化し、新技術活用による河川巡視業務における課題解決に取り組んでいくとしている。