研究の背景
災害時には、道路や橋が渋滞や崩落により利用できなくなる可能性があり、無人航空機による救援物資、医薬品等の輸送が注目されている。
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その中の課題として、他の航空機との空域調整が挙げられる。災害現場では、ドクターヘリ、消防防災ヘリコプター、メディア関係のヘリコプターなど、多くの有人機が飛び交っており、無人航空機(ドローン)を飛行させる際には、有人機との事故を避けるための仕組みが必要だ。
現状では、災害時には国土交通大臣による緊急用務空域の指定が行われ、災害発生地域での無人航空機の飛行が制限されるのが一般的だという。
また、災害時には、浸水、土砂崩れ、建物倒壊などにより、周辺状況の変化が発生するため、離陸地点、着陸地点、トラブル発生時の緊急着陸地点の設定も課題だ。
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これらの課題のため、災害時の飛行ルートの設定や、有人機への情報共有には手間がかかり、災害時の迅速な対応を行う上で負担となっている。
また、日本DMCは、令和6年能登半島地震の際に、崩落した道路や施設の初動調査のため、無人航空機を飛行させた。その経験を振り返り、災害現場でヘリコプター(有人機)と無人航空機の両方が安全かつ円滑に任務を遂行できる環境を構築することが急務であると確信したという。
本研究では、災害時の物資輸送を想定し、UAVの共通航路となるドローン航路および、個別の飛行ルート、離発着地点等を、災害時に誰もが安全に、迅速に設定できるようにすることで、UAVによる救援物資の輸送が円滑に行われることを目指すとしている。
今回の研究成果が、全国の危機管理や防災業務に従事されている方々に利用されることを目指し、取り組みを進める。
本研究は、沼津高専の卒業研究および専攻科実験の課題として共同で実施する。
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ドローン航路とは
複数のポイント間を結ぶように設定された、UAVの飛行に適した空域。UAVの飛行の安全性、効率性、有人機との飛行管制を考慮して決定され、個別のミッションに応じた飛行ルートを設計する際に優先的に用いられることを目的として設計する。
緊急用務空域とは
緊急用務空域とは、災害等の緊急事態において捜索、救助などの緊急用務を行う航空機の安全飛行を確保するために国土交通大臣によって指定される空域であり、無人航空機(UAV)の運航が制限される特定の空域を指す。
検討課題
- 離陸地点、着陸地点が満たすべき安全性や効率性の要件の検討・定義
- 緊急着陸地点の設定
- 倒壊した電柱、電線、建物、がけ崩れなどの環境変化による影響
- 他の有人機との飛行管制
- LTE回線や衛星通信の活用
- 電波干渉(機体通信およびGNSS)
- 送電塔、鉄塔等の障害物
- 電源や無線LANの利用可否
離発着地点やドローン航路の設定に活用するデータ
- 地理院地図
- G空間情報センター:空域の安全性確認 静岡県航空レーザ点群データ
- ふじのくにデータカタログ:津波想定予想区域 離発着地点から除く
- Project Plateau 3D都市モデル
本研究の協力団体
独立行政法人 国立高等専門学校機構
NTTコミュニケーションズ株式会社
登録講習機関 無人航空機操縦技能養成センター(JUIDA) 講師
他