公道での実証実験は、広島県東広島市と連携した取り組み。
- Advertisement -
背景・経緯
両社は、まちづくりと連携した持続可能な地域交通としての次世代モビリティサービスの実現に向けて、3種類の自動運転車両(連節バス・大型バス・小型バス)を用いた自動運転と隊列走行技術を用いたBRT(以下:自動運転・隊列走行BRT)の実証実験を、2021年10月から専用テストコースで行ってきた。また同時に、「自動運転・隊列走行BRT」に関心を持つ自治体などとの対話を継続し、都市拠点などにおける公共交通の機能強化と魅力の向上を目的としてBRTの導入を検討する東広島市との連携を進めてきた。
今回、当初計画していた専用テストコースでの実証実験項目の検証が完了したことから、社会実装に向けた検討を進めるための次のステップとして、東広島市において、日本初となる公道での「自動運転・隊列走行BRT」の実証実験を開始する。
専用テストコースでの実証実験の成果
要素技術の検証試験の実績
- バスの自動運転技術
- 連節バスの自動運転
- RTK-GNSS※および磁石を使用した自己位置推定
※GNSS(衛星測位システムの総称)から受信する信号を利用してRTK測位(相対測位)を行うことで高精度測位を実現する技術
- バスの自動運転・隊列走行技術
- 異なる車種の組み合わせ/順番での自動運転・隊列走行(先頭車レベル3、後続車レベル4相当)
※レベル3:一定の条件下でシステムが全ての運転操作を実行、作動継続が困難な場合は、システムの介入要求などに運転者が適切に対応 ※レベル4:一定の条件下でシステムが全ての運転操作および作動継続が困難な場合への対応を実行 - 先頭車のドライバーの操作による隊列内の全車両のドア開閉、車内アナウンス
- 隊列走行での正着制御
- 異なる車種の組み合わせ/順番での自動運転・隊列走行(先頭車レベル3、後続車レベル4相当)
- 信号・踏切連携
- BRTの位置情報に基づいた単一車線区間での交互通行制御
- 専用道と一般道の交差部を想定した信号・踏切制御
- 運行管理・指令
- 運行管理システムからの指示による隊列形成・解除
- 遠隔地からの車内外監視
- 車両位置に応じた、自動での乗客向け案内の表示・アナウンス
- 通信技術
- 高い安全性・低遅延のプライベート5Gを使った車車間通信
- 光無線を使った車車間での直接通信
要素技術を組み合わせた総合試験の実績
- ダイヤを設定した定常運行試験
- ODD外となる状況を想定した異常時運行試験
※ODD(Operational Design Domain):自動運転システムが正常に作動する前提となる設計上の走行環境条件
実証実験の実績から得られた成果
- 日本初となる連節バスの自動運転化および自動運転バス車両の隊列走行に成功
- 自動運転、信号制御、運行管理を組み合わせた交通システムのパッケージとして機能させることに成功
- 社会実装に向けて今後向上させる機能や運用方法などの課題を抽出
公道での実証実験の概要(予定)
目的 | 自動運転・隊列走行技術の社会実装に向けた課題の検証・洗い出しを行うこと 東広島市民をはじめとした方々にBRTや自動運転・隊列走行などの新技術に関心を持っていただくこと |
実験区間 | 広島県東広島市 JR西条駅と広島大学東広島キャンパスを結ぶ県道・市道(愛称ブールバール) |
実験期間 | 2023年11月~2024年2月 |
実験車両 | 連節バス、大型バス(計2台) |
主な実験内容 | 電波状況や勾配などの自動運転に影響を与える走行環境の検証 連節バスと大型バスの2台による自動運転・隊列走行の実証走行(レベル2)と課題の検証 実証実験の実施によるBRTや自動運転・隊列走行などの新技術に関する社会受容性の変化の測定 |
試乗会 | 東広島市民をはじめとして「自動運転・隊列走行BRT」を体験してもらう試乗会を予定 |
今後の展開
今後両社は、「自動運転・隊列走行BRT」の社会実装に向けた取り組みを進め、2020年代半ばをめどに自動運転レベル4の許認可取得を目指すという。地域のまちづくりの取り組みと連携し、持続可能な次世代モビリティサービスの実現を目指す方針だ。