同ミッションは地球低軌道(LEO)に打ち上げられるNinjaSatを使い、2年間に亘りブラックホールや中性子星などX線で明るい天体から放出されるX線光子を観測するものだ。
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理研のNinjaSatチームは、地上の可視光望遠鏡や電波望遠鏡と連携し、宇宙の強重力天体への物質降着の過程を研究するために、突発的に明るくなるブラックホールや中性子星をX線で観測することを目指している。
NanoAvionicsは、これまでの経験に裏打ちされた技術、豊富なノウハウを用いて、実証済みの多目的6Uキューブサットサイズの「M6Pナノサテライトバス」に、理研が開発した科学ペイロードを搭載したNinjaSatの統合試験や各種試験を実施した。同衛星は今年SpaceX Transporter 9ミッションで打ち上げる予定だ。
関係者のコメント
理化学研究所 主任研究員 玉川徹氏
NinjaSatのような小型で柔軟なキューブサットは、大型衛星より柔軟な方法でX線天体を観測することが出来ます。理研がJAXAと共同で運用している国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された全天X線監視装置MAXIが発見した明るい突発天体を高頻度で観測する等、柔軟な運用も可能であり、時間領域天文学に於ける価値は非常に高いものです。忍者のように、ひそかに重要な科学的成果を狙っています
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三井物産エアロスペース社長 大杉定之氏
理研に対して当社のOne Stop Serviceを提供できたことを嬉しく思います。このサービスは、衛星の開発から打ち上げ、運用までを一貫してサポートするものです。NinjaSatは、当社がNanoAvionicsの衛星プラットフォームを利用した当社初のOne Stop Service案件です。NinjaSatプロジェクトの成功をもとに、NanoAvionicsと共に、日本の宇宙ビジネス市場において当社の包括的なサービス提供を推進していきます
NanoAvionics共同創業者兼CEO Vytenis J. Buzas氏
日本は世界で最も技術的に進んだ経済大国の一つであり、NanoAvionicsが理研や三井物産エアロスペースのような優れた宇宙開発推進の担い手に、当社の技術だけでなく、専門知識も提供できることを嬉しく思います。業界のお客様に加えて、NASAやLos Alamos、MITなどの研究機関とも一貫して協力してきました。これらの機関は、基礎研究ミッションにおいて、コスト効果の高いナノサテライトの可能性を探求し、活用しています
X線観測衛星NinjaSat
X線観測衛星NinjaSatは、6Uサイズのキューブサットであり、持続的に明るいX線天体を柔軟に観測できる。また、MAXIが発見した明るい突発天体のフォローアップ観測も行います。観測対象の一例としては、高速で自転する中性子星をもつX線連星「さそり座 X-1 」の中性子星の自転周期をX線観測から求めることで、同時期に観測を行っている重力波天文台が、定常重力波を検出するための基礎情報の獲得を目指す。
この衛星のメインペイロードとして、1UサイズのガスX線検出器(GMC)を2台搭載しており、記録されたペイロードデータはSバンドを利用して地上にダウンロードされる。また、衛星のバックグラウンド粒子環境を継続的に監視するための放射線帯モニター(RBM)が2台、これらのサイエンス機器が取り付けられた面の中央にはスタートラッカーが1台ある。