everblue AST-231 実証実験中の様子
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エバーブルーテクノロジーズ株式会社は、同社が参画する国土交通省実施の「令和4年度スマートアイランド推進実証調査業務」にて、2022年11月21日より2回目の実証調査を実施した。
同取り組みは、エバーブルーが酒田市、とびしま未来協議会、NTTデータ経営研究所、東日本電信電話株式会社山形支店(以下:NTT東日本)と共に運営するコンソーシアム「飛島スマートアイランド推進協議会」にて採択を受けたもの。
主な実験内容は、小型ヨット型ドローン「everblue AST-231」を使った無人自動操船、運搬・海洋調査、海上パトロールを担当、同帆船型ドローンを使って無人操船で自動航行させ、生活物資や海ゴミの運搬、遠隔海上パトロールを実証することだという。
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今回の実証実験概要
前回の実験時で得られた知見を元にいくつかのアップデートを施し、再度安定した長距離航行、実装に向けたテストを実施した。
- 海況により帆を操作するウインチの動作が不安定になる可能性
→ウインチの新設計と実装にて解消、安定性、安全性の向上を確認 - 消費電力を抑え長時間航行を可能にする
→モータードライバの設計変更による安定動作と消費電力を1/4に抑えることに成功 - LoRaを利用した直接通信、テレメトリーの実証
実証実験結果
自動航行距離:前回の3倍以上となる19km(10海里)の無人自動帆走に成功
酒田港を伴走船に曳航されて出航、酒田港湾外で切り離し自動帆走に切り替え、追い風で17km、向かい風で2kmの合計19km(10海里)を無人で自動航行した。前回実験時は6kmを航行したが、今回その3倍以上を航行、理論上最長航行距離は約570km(300海里)に達することが分かった。
また今回弱い向かい風でも航行できたことで、風向や風速に左右されやすい帆船であっても航路や海況に比較的柔軟に対応できることを証明した。
自動航行時間:約9時間のトラブル無しの連続稼働に成功
エバーブルーとしても無人航行稼働時間としては最長時間を記録、100時間程度の連続稼働が可能なことが分かった。今後ソーラーパネルなどの補助充電装置を搭載することで理論上、無寄港、無充電で無限に航行することが可能。
総電気量わずか2.4円
今回の自動航行(約9時間)において制御装置(ロープを巻くウィンチ、ラダーを動かすためのバッテリー)が消費した電力量は87Wh、電気代に換算して2.4円とかなりの省電力となった。
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風力をダイレクトに推進力に変える自動帆走テクノロジーは地球温暖化ガスの排出量がゼロで環境に優しく省エネルギーであり、かつ電気代もほぼかからないため輸送コスト削減にも繋がる手段であることが実証された。
酒田市内から14.7kmの直接通信、位置情報のテレメトリーを実証
AST-231に標準搭載している4G/LTEを使ったテレメトリーの他、LoRaを使った通信回線でAST-231の位置情報を酒田市内の移動局に転送、テレメトリーできることが証明された。今後4G/LTEのサービスエリア以外でも長距離のテレメトリーや遠隔操作を実現することが可能となる。
無人自動帆走時の風速/速度
- 最大風速:5.4m/s
- 平均風速:2.3m/s
- 最高速度:3.1m/s(11.16km/h)
- 平均速度:1.7m/s(6.12km/h)
今後の展開
今回航行テストを行った、酒田港―飛島間は、通常から定期便の欠航が多いなど不安定な海域であり、条件の厳しいエリアであったことから、国交省、海上保安庁などの指導のもと安全を重視した実証実験となったが、運用に繋げられる前向きな成果が実証されたという。
また今回の海上の貨物輸送や警備監視、海洋資源調査などは酒田市のケーススタディと同様の課題を抱える離島や沿岸部の自治体や地域は多いのではないかと考え、課題解決に貢献したいとしている。
同社は、今回の実証実験の結果を受け、ローコストかつ安定して長時間に渡り水上にとどまり、移動できることから、航空ドローン、水中ドローンの活動域の拡大に繋がる「ドローン母艦」的な活用も期待している。
今後さらに、外洋、荒天に耐えられる離島向け貨物船ドローンなどの開発に注力していくとしている。