KDDI株式会社とソニー株式会社は、2022年10月14日、5G スタンドアローン(以下 5G SA)構成で複数のネットワークスライスを使い分けて同時利用する技術実証に成功した。
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同実証では、ソニーのゲームアプリケーションにおいて、映像信号と操作信号の送受信に異なる性質を有するネットワークスライスを割り当てることで、安定したプレイを実現する環境を構築できることを確認したという。同社によると、1つのアプリケーションに対して複数のネットワークスライスを使い分ける実証は世界初。
両社は、5G SAを活用した新たなビジネスユースケースやエンターテインメントサービスの創出を目指した技術実証を2021年1月から推進しており、同実証も両社の取り組みの一環。
なお、同実証はエリクソン・ジャパン株式会社(以下:エリクソン)の協力のもと実施された。
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同実証の背景
ゲームストリーミングや映像配信において、周囲の通信状況に影響されず安定的に利用するため、5G SA構成でのネットワークスライシング※の活用が期待されているという。こういった用途では、映像などのデータのやりとりには高速性、制御信号のやりとりには低遅延性といった異なる特徴の通信が必要となることが想定される。
※論理的にネットワークを分割することで、高速・大容量や低遅延などのお客さまの用途やニーズに合わせたネットワークを提供する技術
現状のネットワークスライシングでは、スマートフォンなどの通信機器と適用されるネットワークスライスが紐づいており、一つの通信機器上で複数種類のネットワークスライスを利用できないという。
ソニーとKDDIは、2022年2月に5G SA構成でのネットワークスライシングを活用する取り組みとして、ゲームストリーミングを想定した実証を実施。同じネットワークで提供される他サービスからの影響を受けにくい安定した通信により、外出先でもスマートフォンで安定してゲームをリモートプレイできることを確認した。
同実証について
同実証では、3GPPで標準化された機能「URSP(User equipment Route Selection Policy)」を実装した5Gコア装置と5G SA対応のXperia スマートフォンを使用した。5Gコア装置からスマートフォンにURSPのプロファイルを通知することで、単一のゲームアプリケーションに対して、映像信号と操作信号の送受信に異なる性質のネットワークスライスが割り当て可能であることを確認した。
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今後、操作信号は低遅延で確実に通信可能なネットワークスライスを利用し、映像信号は無線環境に応じて最適化することで、無線環境が変化した場合でもより一層安定したゲームプレイが可能となるという。
同実証の結果を受け、アプリケーションが高度化される時代においても、多様な要件を満たすことが可能なネットワークの提供を目指すとしている。