image via UPS
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ここ数年間、ドローンを使ってモノを運ぶということにかけてAmazonやFedEx、Uberの右に出る企業は存在しなかった。少し前の3月末に、United Parcel Service(UPS)が米国内で初めて商業的なドローン配送を成功させたことで、上述の三社を一歩リードすることになった。
アメリカ合衆国郵便公社(USPS)と混同されることの多いUPSは、自律型ドローンテクノロジーを牽引し、医療物資の配達時間を大幅に短縮するサービスの提供を目指すMatternetと協業している。同種のサービスの中でも初となるものが、今週、ノースカロライナ州ローリーのウェイクメッド都立病院にて行われた。
連邦航空局(FAA)もノースカロライナ州運輸省(NCDOT)も同サービスの監督を積極的に行っている。初飛行は、今後ウェイクメッドのキャンパス内で日常的に行われる商業ドローンフライトの記念すべき第一号として歴史に刻まれた。
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UPSヘルスケア・ライフサイエンスは、現行の配達システムを拡張することで、今日のデリバリーモデルに変化をもたらしたいと考えています。
ドローンを使用して血液や診断用試料を医療施設からラボまで運ぶことで、これまで以上に効率性は高まるでしょう。そして輸送車が減れば、環境への悪影響も抑えることができます
とUPSグローバルヘルスケア・ライフサイエンステクノロジーのChris Cassidy代表は語る。
今回の成功は、世論に散々叩かれてきた本産業にとって大変期待のもてるニュースとなった。宅配車で血液や臓器サンプルを運ぶ際、道路が混んでいれば最大で30分近くかかってしまう。
再充電が可能なリチウムイオン電池で稼働するMatternetのM2ドローンは、最大2kg分の医療物資を運びながら20km飛ぶことができる。そしてサンプルをある地点から別の地点まで運ぶのに要する時間は約3分半、従来の1/3だ。
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現在UPSは、ドローンによる配達を1日に10回前後予定している。医療分野のプロが病院近辺の施設にてドローンの安全なコンテナ内に血液サンプルや標本などを積み込む。その後、特別な訓練を受けた遠隔操作パイロットがモニタリングする中、ドローンはあらかじめ設定されたルートに沿って飛行し、ウェイクメッド都立病院や病理学中央ラボのランディングパッド上に着陸する。
2018年8月に実験的に開始されたIPPと呼ばれる統合パイロットプログラムは現在も進行中だ。MatternetとUPSは、日々の活動を記録し、収集したデータをアメリカ合衆国の他の医療施設でも応用できるようにするつもりだという。
FAA、NCDOT、UPS、Matternet、そしてウェークメッドが参加しているFAAのIPPは、3年間継続予定で、地方自治体と企業を結び付けることで、より安全かつ効率的に無人航空機を日々のオペレーションに組み込むことを目標としている。
UPSはドローンの国際配送やサプライチェーンマネジメントを行う企業として知られているが、重きを置いているのは主に医療分野でのドローンデリバリーだ。
NCDOTやウェークメッドとの提携前、2016年頃にはGAVIやZiplineと協業しており、ルワンダの僻地に血液製剤を配達していた。ちなみにMatternetはスウェーデンにて、医療関係のドローンデリバリーを3000回以上成功させた実績がある。
ある地点から別の地点に最も早く辿り着く方法は直線的に進むことだ。UPSとMatternetによって、ドローンによるサンプル配達が安全で効率的であるだけでなく、人命救助にも役立つことが実証された。