紅葉には少し早い
紅葉には少し早い──。
その「少し早い」というタイミングこそが、実は絶好の撮影チャンスでした。本格的な紅葉シーズンには観光客で賑わう山間の池も、この日は私たち以外に誰もいません。
池の上に浮かぶ赤や黄の葉を追いながら、Mini 5 Proの新機能と映像表現をじっくり試すことができました。静けさの中だからこそ、機材の性能を冷静に評価できる。そんな贅沢な時間でした。
Mini 5 Proが描いた"紅葉前夜"
まずは今回撮影した映像をご覧ください。
MINI 5 PRO "紅葉前夜"テストフライト(約1分)
D-Log Mでの撮影とグレーディング
撮影はD-Log Mで行い、Mac版Final Cut Proでグレーディングを施しました。
Log撮影に慣れていない方には「色が薄い」と感じられるかもしれません。しかし、編集時の色調整の自由度は圧倒的に高くなります。
今回も、空のグラデーションと水面の反射を別々に調整できたことで、イメージ通りの仕上がりになりました。
このLog映像は非常に扱いやすく、彩度を上げても破綻せず、トーンが素直に伸びてくれます。
Mini 4 Proでも十分満足していましたが、Mini 5 Proでは1インチセンサーによる解像感の高さとダイナミックレンジの広さが際立っており、空と水面の反射を同時に捉えることができました。
![Mini 5 Pro、"紅葉前夜"のテストフライト──静けさの中で見えた進化[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.58](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251112_tohzi_OUsmVKp5.jpg)
風景が語る色の階調
動画冒頭の真俯瞰シーンでは、赤・茶・黄・緑が自然に分離し、葉の質感まで繊細に表現されているのが分かります。
Mini 5 Proは色の差を強調せずに"自然な深み"を残してくれるのが魅力です。派手すぎず、地味すぎず。この絶妙なバランスこそが、風景撮影で求められる表現力だと感じます。
新しく加わった「フリー」パノラマ
じつは、冒頭の紅葉の全景写真は、Mini 5 Proに新しく追加されたパノラマ機能「フリー」で撮影したものです。
これまでのMiniシリーズでは、パノラマ撮影といえば「スフィア」「180°パノラマ」「縦構図」などの固定範囲での自動撮影が中心でした。もちろん便利ではあるのですが、「もう少し横を狭く」「縦をもっと入れたい」という微調整ができないもどかしさがありました。
しかし今回から追加された「フリー」では、自分で「ここからここまで」と撮影範囲を指定することができます。
操作は簡単です。開始点と終了点をタップすれば、あとはドローンが自動的で撮影・合成してくれます。スマートフォンのパノラマ撮影のように、自分の感覚で構図を描けるようになったのです。
![Mini 5 Pro、"紅葉前夜"のテストフライト──静けさの中で見えた進化[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.58](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251112_tohzi_MW6hCTAY.jpg)
"ちょうどいい"構図を自分で作る
この柔軟な構図設定は、風景撮影の自由度を大きく広げてくれます。
とくに今回のように山と池をバランスよく収めたいとき、従来の180°では広すぎ、広角では縦が映りすぎる。そんな”ちょうどいい”構図を自分で作り出せるようになったのは大きな進化だと思います。
パノラマ撮影というと「全景を収める」という印象が強いかもしれませんが、この「フリー」モードは「自分が切り取りたい範囲だけを高解像度で撮る」という新しい使い方を提案してくれます。
ドライブ中に見つけた季節の記憶
![Mini 5 Pro、"紅葉前夜"のテストフライト──静けさの中で見えた進化[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.58](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251112_tohzi_lOfYs35F.jpg)
撮影を終えて更にドライブすると、川沿いに続く桜並木が目に留まりました。
春にはピンクに染まるこの道が、秋には深紅へと変わる──。その色の移ろいこそ、ドローンだからこそ捉えられる季節の記憶だと思います。
こういった「偶然の出会い」を逃さないためにも、ドローンを常に持ち歩く習慣は大切ですね。
Mini 5 Proのコンパクトさは、そんなフットワークの軽い撮影スタイルを後押ししてくれます。
2台体制で広がる安心感
今回の撮影には、Mini 4 Proもバックアップとして持参しました。
実は、この2台体制が予想以上に心強かったのです。
![Mini 5 Pro、"紅葉前夜"のテストフライト──静けさの中で見えた進化[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.58](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251112_tohzi_xUoK9dRh.jpg)
運用条件は同じ、切り替えは瞬時
Mini 5 Proは250gをわずかに超える機体ですが、日本では100gを超えればDIPS 2.0での登録が必要です。
つまり、Mini 4 Proとの運用条件に違いはなく、同じ送信機(RC 2)で切り替えて飛ばすことも可能です。電池を忘れた、設定を間違えた──そんな時でも即座に切り替えられるのは、単独行動の多いドローン撮影では大きな安心材料になります。
そして今回、紅葉本番までもう少し早かったこともあり、Mini 4 Proとの厳密な画質比較は次回に持ち越しとなりました。ただ、サブ機として今後も十分活躍してくれそうです。
コンパクトな2台体制
![Mini 5 Pro、"紅葉前夜"のテストフライト──静けさの中で見えた進化[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.58](https://drone.jp/wp-content/uploads/20251112_tohzi_F9N2TXsd.jpg)
2台体制といっても、DJI Mini 5 Pro Fly More Combo に付属のショルダーバッグに無理なく収まります。重量も合わせて1kg程度。これなら気軽に持ち出せますし、「念のため」という安心感を常に持てるのは大きなメリットです。
静けさの中で見えた進化
実際にMini 5 Proを手にして飛ばしてみると、やはりその完成度の高さに驚かされます。
Mini 4 Proでも十分満足していたつもりでしたが、Mini 5 Proを使った瞬間に「これこそ最終形だ」と思ってしまいました。
1インチセンサーと前方LiDARセンサーを搭載しながら、重量をほぼ250gに抑えているのは驚異的です。もっと軽く、もっと小さく、でも映像は確実に良くなる──このMiniシリーズの進化は止まる気配がありません。
きっと2年後にMini 6 Proが登場したとき、私はまた同じように感嘆しているのでしょう。
これから撮る景色を想像する楽しさ
とはいえ、しばらくはこのMini 5 Proを主力機としてじっくり使い込みたいと思います。
これから訪れる冬の澄んだ空、そして春の新緑。この1台でどんな光景が撮れるのか、今から楽しみです。
静かな秋の空を飛ばしながら、"進化を体験する喜び"をもう一度思い出しました。
もし「Mini 4 Proで十分」と思っている方がいたら、ぜひ一度Mini 5 Proを試してみることをお勧めします。その進化は、数字やスペックだけでは伝わらないものです。特に「フリー」パノラマのような新機能は、実際に使ってみて初めてその価値が分かる類のものだと思います。
紅葉本番はこれからです。次回は、Mini 4 Proとの画質比較も交えて、さらに詳しくレポートします。