昨年は、加賀温泉で開催され、日本からの参加者も多く、また、その内容はメジャーアップデートでもあるArducopter4.6.0が控えていたこともあり、その内容が多かった。
Arducopterのメジャーアップデート[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.85
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今年のAPDC
このAPDCは、Ardupilotがコミュニティイベントということもあり、APDCの参加費および企業からのスポンサーシップで成り立っている。
(例年、中国企業がスポンサーに入ってくれており、非常にありがたいが、こういった時世の影響か、参加しなかった/出来なかった企業が多かったのは残念だ)
![今年のArdupilot Developer Conference[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.94](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250929_sunohara_drone_hF5zoSb8.jpg)
今年は、地元ヨークシャーの企業でもある3DXRが会場提供やロジ回り、ディナーアレンジなど非常に行き届いた形で、カンファレンスの運営を行っていただき、参加者は皆満足度が高い形となった。(昨年、加賀温泉で実施したAPDCから“おもてなし”精神で実施したのだけれど、少しハードルが上がりすぎて、来年のホスト国の主体が少し手を上げにくくなってきている。。)
APDCは例年、展示、プレゼンテーションとデモから構成されている。展示に関しては、デモを実施するものとそうでないものに分かれているが、これもユニークなものも様々ある。
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展示のいくつか(ここにあげたものはいずれもデモがあった)
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![今年のArdupilot Developer Conference[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.94](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250929_sunohara_drone_B1zoCJut.jpg)
カンファレンスはプレゼンテーションとデモのセッションがある。
前回の加賀ではプレゼンテーションはホテルのカンファレンスルームで行い、デモはそこからバス等で移動し、市内の各所で行うかたちだった。
しかし、今回は3DXRが飛行試験場としている場所にカンファレンス用の建屋を作るという形で、カンファレンスとデモ会場が隣接する形でのイベントとなった。
建屋は新設したようだが、恐らくこの後は倉庫とか開発拠点とかで使われるのだろうけれど、それにしてもすごいし、ドローンの開発拠点ということでも理想的な環境だ。
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![今年のArdupilot Developer Conference[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.94](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250929_sunohara_drone_pFot1ytC.jpg)
カンファレンスのアジェンダは以下になる。
3日間、金曜日から日曜日の午前から午後まで、プレゼンテーションとその合間にデモがぎっしり詰まっている。
ここで全部のセッションを紹介することは出来ないが、その傾向や代表的なセッションを取り上げてみたい。
APDC2025の内容
APDCの当初においては、マルチコプターを中心としたArdupilotの機体制御に関わる様々な新たな制御や安定的な制御といった内容が多かったが、その制御が成熟してくる中で、コンパニオンコンピューター上での高度な機体制御(例えば、非GPS環境下の制御など)や周辺機器の充実(例えば、ジンバルカメラの対応拡張など)にシフトしてきていた。昨年ぐらいからの傾向としては、よりArdupilotの全体環境の向上といったところが強化されている。
昨年はDrone CANやLANの強化といった形の中で、今後のインターネット連携に向けた土台作りといったものが目立った。
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■初日
![今年のArdupilot Developer Conference[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.94](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250929_sunohara_drone_A8jAU6fB.jpg)
毎回、APDCにおける基調講演ともいえるアンドリュー・トリッジさんのセッションであるが、今年もそれに相応しい内容であったが、通信関連の話がその中心となっていた。
その内容を簡単に紹介したい。
開発とコミュニティの状況
- Ardupilotの5,500以上のパッチ、2,600以上のプルリクエスト、昨年に変更された20万行以上のコードは、非常に活発な開発率を示している。
- 265人のコントリビューターと900以上のwiki変更があり、Ardupilotは堅牢で熱心なコミュニティを誇っている。
- このプロジェクトは現在、77の新しいボードポートと392のハードウェア定義をサポートしており、その広範なハードウェア互換性を示している。
ネットワークとプロトコルの機能
- Ardupilotは、イーサネットやPPPのサポートなど、軽量IPを使用したネイティブネットワーキングを備えている。
- イーサネットとPPPの両方に組み込まれたパケットキャプチャにより、カメラ接続やMavlinkトラフィックなどのネットワーク分析とデバッグが可能となっている。
- CANプロトコルキャプチャとPython再生スクリプトにより、物理的なハードウェアアクセスなしでドライバの分析と開発が可能となっている。
ツールとサポート
- Hoy BeanのWebベースのドローンCAN GUIツールは、Mission Plannerの組み込みツールに代わるものを提供する。
- RG Pilotサポートプロキシは、車両と地上局の暗号化されたWebSocket接続をサポートするようになった。
- JavaScript Mavlinkバインディングにより、リアルタイム双方向通信とMavlink署名機能を備えたWebツールの作成が可能となっている。
通信と接続
- ArdupilotでのLTEモデムサポートにより、低コストで簡単なセットアップで目視外操作が可能になっている。
- LTE接続により、UDPまたはTCP接続を介してサポートサーバーへのビデオストリーミングが可能となる。
- サポートプロキシをクラウドサーバーにインストールし、複数の車両を同時にリモートサポートすることも可能である。
この他、初日においては、以下の内容のセッションと伴うデモがあった。
Gazebo
- オープンソースのシミュレーターである Gazebo は、正確なシミュレーションとカスタマイズ可能な物理エンジンを提供しているが、マルチボディシミュレーションに優れており、空気力学/流体力学を備えた多関節ロボットや空中/水上/水中ロボットをサポートしている。
- Gazeboの新しい機能には、多関節ロボット用の物理エンジンや、気圧やドップラー速度ログなどのカスタマイズ可能なセンサが含まれる。
Mission Planner
- Ardupilotの地形追従機能は、1m解像度の地形データで正確な輪郭追従を実現している。
- Mission Plannerの新しい地形メーカーは、プランナー内で5m解像度の地形データを生成できる。
- 新しい地形追従により、ワインヤードの散布で実証されているように、ヘリコプターでも正確な地形追従が可能。
- Mission Planner の新しいメッセージのタブプラグインは、自動操縦メッセージを重大度で並べ替え、特定のメッセージをフィルタリングして無視することが可能。
- 新しいフェンスのリプランナープラグインは、ポリゴンをトリミングし、内部フェンスの周囲を計画することで、立ち入り禁止区域周辺のミッションを計画することが可能。
- 最適カバレッジプラグインは、芝刈り機や地上車両の最適経路を計画するためのフィールドをカバーするアルゴリズムを使用。
EKFとセンサの融合
- Ardupilotの拡張カルマンフィルター(EKF)は、GPS、オプティカルフロー、加速度計のデータを使用して、車両の位置、速度、および方向を推定する。
- EKF のコアはデータ ソースを融合し、二次および三次コアは、より正確な推定のための追加データを提供。
- Ardupilotの切り替えロジックは、車両の向きと速度に基づいてEKFコア間を切り替える。
- すべてのEKFコアからのデータをログに記録するためのPRが送信され、デバッグ機能が向上。
- デフォルトのEKF融合ロジックがオフに変更され、ユーザーは使用するベロシティソースを選択できるようになった。
- デバッグ機能を強化するために、EKFのコースログの改善が進行中。
その他、モーターの冗長性のデモやVTOLドローンとモバイル アプリと Ardupilot の統合などがあった。
■2日目
![今年のArdupilot Developer Conference[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.94](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250929_sunohara_drone_JMkhye2l.jpg)
ランディ・マッケイさんのセッションから始まった。
ランディさんは現在、Ardupilot用の小型空撮機の標準モデルの開発を進めており、その紹介を行いつつ、今回のセッションでは、Blue OSでのコンパニオン機能を作りやすくする仕組みを紹介している。
Blue OS
- Blue OS は、ドローン用の強力なコンパニオンコンピュータープラットフォームであり、Linuxベースのオペレーティングシステム、カメラとセンサーデータへの簡単なアクセス、拡張機能とプラグインのサポートを提供。
- Blue OSでの高高度オプティカルフロー機能は、GPSなしで高度100m以上のカメラを使用することで、その機能を強化している。
- ファームウェアアップデート拡張機能がサーバーからFCのSDカードにbinファイルを転送し、再起動することで、FCと周辺機器のOTAアップデートを可能にする。
- GCSとWebRTCでのH.265ビデオサポート、および自動ビデオ画面検出により、カメラ構成とジンバルセットアップを改善している。
- インターネットベースでのフライトコントローラーのサポートを追加。また、このデモも実施された。
その他、以下の内容のセッションがあった。
通信とテレメトリ
- Mavlinkテレメトリは、デフォルト設定で毎秒3〜3.5キロバイトを使用するが、GCSのストリームレートを下げることで減らすことが可能。
- Mavlink高遅延プロトコルは、重要な機体ステータスを含む1つの大きなMavlinkパケットを約5秒に1回送信し、52バイトのパケットになる。
- サイバーセキュリティのために、通信リンクが暗号化、デフォルト以外のパスキー、VPN、IPsec、Mavlink暗号化、UDP接続を使用して保護されていることを確認する必要がある。
群れ制御とフリート管理
- Skybrushのエコシステムは2022年からオープンソース化されており、ユーザーはドローンの群れレベルの制御を作成およびカスタマイズ可能。
- Skybrushのミッション計画システムを使用すると、ユーザーはミッションタイプを選択し、入力パラメータを設定し、リアルタイムで実行するためのミッションを自動的に作成可能。
- Ardupilotのプラットフォームを使用すると、ユーザーは計画、飛行、制御、データの取得、自動分析など、世界中のどこからでもフリートを制御および管理可能。
- フリート管理機能には、フリートの概要、個々のデバイスの概要、パラメータ構成、ロック管理、パフォーマンス分析のためのプロットが含まれる。
飛行制御とチューニング
- ArdupilotのTECS(Total Energy Control System)パラメータは、機体制御のための高度と対気速度を調整し、パラメータサンプリングと分析を使用して、機体の性能への影響を理解可能。
- Q&Aスタイルのログアナライザーは、よくある質問に最適化し、ユーザーがドローンを調整してログを分析するのに役立つ定量的な回答を提供。
その他、ドローン配送と運用、コンフィグレーター、教育・研修など、また変わったところでは、コミュニティでの立ち振る舞いといったセッションもあった。
■3日目
![今年のArdupilot Developer Conference[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.94](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250929_sunohara_drone_Zf6XNkm4.jpg)
レナード・ホールさんの協調行動とスウォーム技術セッションから始まった。
協調行動とスウォーム技術
- 協調行動により、複数の航空機が緊密に結合された群れを形成し、互いにミラーリングして単一の物理構造を作成し、消費電力と飛行時間を最適化することが可能。
- 「フォローミー」ソリューションは、リアルタイムのSカーブを使用して、低データレートの基準を400Hzの滑らかなキネマティックパスに補間し、スウォーム同期のエラーを排除。
- 「自動モード」は航空機間で時間基準を渡し、スウォーム全体が最も遅い航空機に合わせ減速し、バッテリー残量データを最適化することが可能。
- オフセット作業により、航空機ごとに異なるオフセットで同一の自動ミッションが可能になり、さまざまなオフセットを適用する複数の航空機によるペイロードの制御が可能。
- 追従ターゲットは、位置、速度、加速度、およびクォータニオンメッセージを提供し、先頭航空機の経路をより正確かつスムーズに追跡可能。
MAVLinkプロトコルのアップデート
- 新しい32ビットシステムID設計は、ドローンごとに一意のシリアル番号を持つ大規模なネットワークをサポートし、IPv4アドレスマッピングを可能に。
- MAVLinkチームは、APIの安定性と相互運用性を向上させるために、意味的に互換性のない追加機能をstandard.xmlに移行している。
- 新しいAPIラッパーは、メッセージ内のターゲットシステムIDを設定し、下位互換性を確保するために32ビットIDに互換性のないフラグを追加。
- 遅延を回避するために、32ビットIDの更新とは別にメッシュネットワークのルーティングの問題に対処。
その他、2日目にもあったがドローンショーの技術とソフトウェア、Ardupilotの開発関連、ドローン技術におけるAIと自動化、固定翼やVTOLのパス計画とナビゲーションなどのセッションやデモがあった。
筆者のドローン・ジャパンも初日にセッション枠があり、発表をさせていただいた。
昨年は、「非GPS空間における飛行経路設定アプリケーション」を発表したが、今年は「FFT GYROのArdupilot対応」に関して発表した。
FFT GYROとは、3軸ジャイロを用いて、屋内などの環境で実際のドローンをシミュレートするシステム機器となっており、このシステムはこれまで、ドローンの実機テスト飛行に関しては、墜落などのリスクが伴い、常にリスクを伴っており、また、さらに、飛行耐久試験にはコストがかかり、出荷前検査やチューニングといった調整にも時間がかかっていたという、こういった機体メーカーが抱える課題解決のためのシステムとなる。
このシステム機器は、メキシコの航空業界に特化したEUREAKA DYNAMICS社の技術をベースにしており、また、空力解析に強みを持つ日本の先端力学シミュレーション研究所(ASTOM)が、ハードウェアとソフトウェアの両面からシステムの改良を進めているが、それとドローン・ジャパンが連携し、よりArdupilotの連携を高めているものだ。
これに関して、詳しい話を聞きたいという人は筆者にお声かけいただきたい。
![今年のArdupilot Developer Conference[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.94](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250929_sunohara_drone_XdSoCX1w.jpg)
今回は簡略的にAPDC2025を紹介したが、以下のサイトでその模様をデモも含めた形でフルに見ることが出来るので、興味のある人はご覧になっていただきたい。
Ardupilot Developers Conference 2025 – Friday 5th September (Day 1)
Ardupilot Developers Conference 2025 – Saturday 6th September (Day 2)
Ardupilot Developers Conference 2025 – Sunday 7th September(Day 3)