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コラム田口厚

ANTIGRAVITY A1 レビュー 空を飛ぶ感覚で空撮を楽しむことができるまったく新しいユーザー体験[Reviews]Vol.99

昨年末、ついにリリースされた「ANTIGRAVITY A1」。あの360°カメラの「Insta360」がパートナー企業とともに作り上げた新しいブランド「ANTIGRAVITY」の第1弾ドローンだ

2026年2月24日
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いままでの空撮ドローンとはまったく違うユーザー体験を提供するこのドローンはほんとうにおもしろい!

Contents
ANTIGRAVITY A1の特徴(1)8K360°/30fpsの高解像度映像&ゴーグル(2)初心者でも飛ばせる独自操縦インターフェイス(3)全部撮ってあとで編集する動画制作やってみて予想外に楽しかったこと(1)予想外に楽しかった飛行体験(2)予想外に楽しかった飛行映像の共有まとめ

今回はこの「ANTIGRAVITY A1」をしばらく遊んでみましたので、実際に遊んで感じた“空撮ドローンの新しい楽しさ”をレビューしていきたいと思います。

ANTIGRAVITY A1の特徴

なにはともあれ、ANTIGRAVITY A1で作成した映像を見てください。なんとなく“空中遊覧”的に飛ばした映像ですが、あとから編集することで意図的に攻めて飛ばしたような迫力ある映像が仕上がりました!(…と筆者は思っています)

普段はDJI社の空撮ドローンを楽しんでいる筆者なので、DJI社のドローンとの比較表現も入れながらANTIGRAVITY A1の特徴とその実感を見ていきたいと思います。

まず、ANTIGRAVITY A1の特徴として筆者が注目したのは下記の3つです。それぞれについて特徴の解説と、実際に筆者が遊んで感じたことをご紹介していきます。

《ANTIGRAVITY A1の注目ポイント》

  • (1)8K360°/30fpsの高解像度映像&ゴーグル
  • (2)初心者でも飛ばせる独自操縦インターフェイス
  • (3)全部撮ってあとで編集する映像制作

(1)8K360°/30fpsの高解像度映像&ゴーグル

撮った映像は360°全景撮影が可能!最大解像度8K/30fpsの高解像度で撮影することができますので、切り出しして通常の16:9の画角に編集しても4Kの解像度を保てます。

また、カメラの画質を決定づけるセンサーサイズは1/1.28インチの大型センサーを搭載。手持ちの360°カメラで言えば「Insta 360 X5」と同等になりますので、まさに「Insta 360 X5」が飛んでいるイメージ…と言えば画質やスペックはわかりやすいかもしれません。そしてInsta 360 X5が自撮り棒が見えないように、ANTIGRAVITY A1もドローンの機体やプロペラは映り込まないのもポイントです。

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機体前方上面と下面に魚眼レンズを搭載し360°全景映像を撮影することができる。正面の2つのカメラは障害物検知用ビジュアルセンサー
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機体前方下面にある360°カメラ。機体胴体にはビジュアルセンサー2つ(縦に2つならんだ大きめのレンズ)と赤外線センサー(中央で横に並んだ小さい黒いマル)、暗所用のLEDライト(機体後方中央にある黄色いもの)が搭載されている

[実感:よかった点]ゴーグルを装着して高画質な360°映像をあらゆる方向を見ながら飛ばすことができる経験はほんとうに“ワクワク”しました。「ドローンを飛ばしている」というよりも、まさに「飛んでいる」経験ができます。景色の良い大空で飛ばすと自分が絶景の中を飛んでいるような錯覚に陥りました。航空機のコクピットや竜の背中の上にいるようなAR機能もこの“自分が飛んでいる感覚”を高め、これはほんとうに新感覚です!

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ゴーグルで見ている風景をゴーグル外側のモニターに映し出すこともできる。同伴者も楽しめるおもしろい仕掛けだ

[実感:いまいちだった点]主に後述の「FPV」モード(手首のひねりで操縦する)で飛行させていたのですが、操縦を楽しもうとすると景色は意外と正面と下を見るのが精一杯で、横方向やちょっとおもしろい後ろ方向はちらっとしか見ることができませんでした。録画したデータをギャラリーから読み込むと360°映像が再生されるのであちこち見るのが楽しいのですが、機体のメモリーやMicroSDカードのデータを無線通信でゴーグルで読み込んでいるため、ちょっと画質が落ちるのが残念。

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設定画面中央下に出ている画像がギャラリー。機体MicroSDカードやメモリーに保存されている360°映像を再生できる

(2)初心者でも飛ばせる独自操縦インターフェイス

"ドローン"というと「操縦が難しい」というイメージをお持ちの方もいるかも知れませんが、ANTIGRAVITY A1はあえて選択肢を少なくして操縦をシンプルにしているのでドローン初心者でもかんたんに飛ばせます。

操縦は2本のスティックではなく「グリップモーションコントローラー」で行います。標準設定の「Freemotion」モードでは、コントローラーを持った手を前にかざし、向けた方向に機体が進んでいくイメージです。例えば、右のほうへ移動したければコントローラーを持った手を右斜め前に突き出す、上に行きたければコントローラーを持った手を上にかざす…といったイメージです。

また、機体の向きを変える(機体を回転させる)のはコントローラーの上部についたダイヤルの回転で行います。安全を考えて操縦者から見えにくい真後ろには飛行できないようになっています。(360°撮影できるので後ろ向きに移動する必要もない)。

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モーションコントローラー上部のボタン類。銀色のダイヤルが機体の向きを変えるダイヤル

すでにスティック二本で前後左右&上下回転を組み合わせて飛ばす方法に慣れている既存のドローンユーザーには初めは慣れが必要ですが、DJI AVATA 2のMotion 3コントローラーように手首をひねることで直感的にコントロールできる「FPV」モードもありますので少し慣れれば自在にコントロールできるかと思います。

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モーションコントローラーを持った手の向きやひねりで機体を操作することができる

[実感:よかった点]複雑な操縦の組み合わせができないことが逆に景色を見ることに頭を使うことができると感じました。普段からDJI AVATA 2 を飛ばしている筆者にとってはFPVモードが飛ばしやすく、大空を自由に飛ぶ感覚を得ることができましたので、既存ドローンユーザーは初めは戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れて飛行を楽しむことができるかと思います。

[実感:いまいちだった点]主にFPVモードで飛行させていたのですが、だいたいイメージ通りに飛ばせるものの、やはり細かい調整や際どい飛行経路を攻める…といったことはできませんでした。メーカーの方曰く、通常のスティックタイプのコントローラーも開発中とのことなので、その新型コントローラーの登場にも期待したいところです。

(3)全部撮ってあとで編集する動画制作

ANTIGRAVITY A1のなによりおもしろい特徴は、全景撮影できるので画角をあまり気にせずにひとまず撮影し、あとから画角の切り出しや編集ができる点です。例えば、これまでの空撮ドローンでは高度な飛行技術が求められた走行中の自動車の撮影などでも画角はあまり気にせずにひとまず撮ってから被写体の自動車を中心にした画角に編集時に調整すれば良い…という仕組みです(機体が被写体のどちら側にいるべきか…といった位置取りや高度のイメージは必要)。

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PC用編集ソフト「AntiGravity Studio」。サンプル映像の最終カットは女性のそばを通り過ぎただけだが、女性を追跡するように設定すれば動きに合わせて自動で画角内に収めるようにリフレーミングしてくれる

ANTIGRAVITY A1の映像制作は、ドローンの操縦技術が映像制作に直結した今までのドローン映像制作方法から考えかたをガラリと変える必要があります。筆者も初めは少し戸惑ったのですが、慣れてくると楽しいこと上なし!という感じです。FPVのようなアクロバティックな表現、360°カメラならではの不思議な映像など制作者のイマジネーション次第で撮影した素材を如何様にも料理することができそうです。

また、そもそも編集がめんどくさい…という方にはAI編集機能もありますので、撮ったらAIに編集を任せてSNS用映像を作成することも可能です。下記はAIで作成したサンプルですが、ちょっとSNSに載せる分には十分なクオリティではないでしょうか。

AIによる簡易編集。文字や音楽も自動で入れながらよいカットを切り出しして編集する

[実感:よかった点]操縦に依存しない映像制作ができるのはとても可能性を感じました。これまで映像のイメージはあっても操縦技術が追いつかなかった方がいたとすれば、最高のドローン映像制作ツールになると思います。

また、360°撮影しているので、同じシーンの映像データから複数のカットを書き出せるのも魅力的です。走る自動車を後ろから撮影しても、その走る自動車を後ろから追いかける自動車の正面カットも同じ映像データから作れてしまう…この360°全景撮影とドローンの組み合わせはものすごい可能性を感じました。

[実感:いまいちだった点]手動編集でもおもしろい映像は作れると思いますが、撮影時にある程度完成イメージを逆算して撮らないとやはりどうにもならないことに後で気づきました。映像もいつもの空撮のようなカットをつなぎ合わせて完成形を作るイメージよりも、長回しの映像に手を加えていくほうが向いているように感じました。やはり360°カメラならではの撮り方と映像の活用の仕方に研究が必要そうです。

やってみて予想外に楽しかったこと

ANTIGRAVITY A1を飛行させてみて、筆者が特に楽しかったのは下記の2点です。映像制作としても使える機体だとは思うが、筆者としてはいろいろなカタチの“飛ぶ体験”が何よりも楽しく感じました。

(1)予想外に楽しかった飛行体験

ANTIGRAVITY A1が何より楽しかったのは“飛んでいる時間”でした。そして、意外とAR機能で竜の背中に乗ったような画面で飛べるのがおもしろい。横を向くと竜の翼があったり、後ろを向けばしっぽがあったりと、本当に竜の背中に乗って飛んでいるみたいでした。ANTIGRAVITY A1は、映像として残す楽しさはもちろんありますが、何より飛んでいるその瞬間がいちばん楽しいと感じることができました。

竜に乗っているAR合成を設定したゴーグルの飛行映像。横や後ろを見ると竜の翼や尻尾もちゃんと見えるのが楽しい

(2)予想外に楽しかった飛行映像の共有

(1)にも関連するのだが、自分が撮影した映像をゴーグルで友人や家族などに見せたときの反応が最高でした。多少リアルタイムのプレビューよりも画質が落ちるとはいえ、360°空からの絶景が広がる映像はなかなか体験できないもの。そして、見ている人は操縦をしているわけではないので、自分が撮影したときよりも明らかにあちこちを見て楽しんでいるのが印象的でした。

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撮影後のプレビューを見て楽しんでいるところ。没入感と臨場感がハンパなくかなり盛り上がる

そういった視点では自動飛行機能の「スカイパス」(ウェイポイント機能)を利用した飛行もとても楽しいものでした。飛行経路の設定は、実際に経由するポイントに機体を移動させてポイントを打って行くだけでOKです。記録したポイントを保存すれば、スカイパス機能でほぼ同じ経路を自動で飛行させてくれます。

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スカイパスを設定しているところ。機体を飛ばしながらウェイポイントを設定していくだけで自動飛行経路を作成できる。保存もできるので何度でも同じ場所で同じルートを自動飛行させることも可能だ

飛行経験の浅い方に、スカイパスで飛んでいるANTIGRAVITY A1のゴーグルを付けてもらって、自分がコントローラーを持ちながら目視で監視と万が一の際の操作介入ができる体制を取ってリアルタイム飛行を楽しんでもらったのですが、みなさんとても感動されていました。

まとめ

空撮ドローンの新しい可能性を示したANTIGRAVITY A1。このドローンの登場は、空撮ドローンの新しいジャンルになると感じました。疑似飛行体験、ユニークな映像の作成、3Dデータ作成用映像の撮影…今後、いろいろな用途でANTIGRAVITY A1は利活用が進んでいくことでしょう。操縦シミュレーターも2月初旬に公開されましたので、操縦に不安が残る方でも事前に練習ができて安心です。ドローン初心者の方にもぜひ手に取ってもらいたいドローンですね。

シミュレーター画面。広がるバーチャル世界で自由自在に飛行させて操縦練習ができる

一方で、日本国内において249gのANTIGRAVITY A1は「無人航空機」と定義され、航空法上の目視外飛行や第三者または第三者の物件から30m(約30m)未満の飛行などにおいて基本的に飛行が禁止されているため、10時間以上の飛行訓練ののちに国土交通省へ飛行許可承認申請とその承認書の取得が必要になります。加えて、購入時に対人・対物に対する損害保険の加入も別途必要となるため、初心者にはハードルが一段あることも事実です。

ANTIGRAVITY A1のようなドローンは、初心者にこそ使ってもらいたいドローンなので、ぜひ初心者でも安全に楽しめる環境づくりをメーカー・国・ユーザーで作っていければと強く感じました。

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