3C認証とは、中国国内で製品を流通・販売するために必要な中国強制製品認証制度(China Compulsory Certification)です。
- Advertisement -
詳しくは以下の記事をご参照ください。
中国、3C認証のないモバイルバッテリーの航空機内持ち込みを禁止(JETRO)
中国国内線で3C認証なしのモバイルバッテリーが持ち込み禁止に(ケータイ Watch)
- Advertisement -
今回の発表を受け、香港のコンピュータストアや携帯電話ショップでは、販売されるモバイルバッテリーが一斉に「3C認証対応品」に切り替わりました。パッケージには3Cマークが目立つように印刷され、店頭でも「認証済み」と掲示されている製品が増えています。
![3C認証は必要?中国国内でのDJIドローンバッテリー持ち込み事情[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.55](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250819_touji_01.jpg)
こうした背景もあり、香港のドローンショップでもこの規制に強い関心を持っており、特に中国本土でのフライト経験豊富なスタッフほど、規制の細かい内容や実務面での注意点をしっかり把握しています。
香港・尖沙咀のDJI店舗での確認
![3C認証は必要?中国国内でのDJIドローンバッテリー持ち込み事情[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.55](https://drone.jp/wp-content/uploads/20250819_touji_2.jpg)
店内でスタッフに質問したところ、次のような答えが返ってきました。
「DJIのドローンバッテリーは今回の3C認証規制の対象外です。機内持ち込みであれば問題ありま
せん。ただし、預け荷物にはできないので必ず手荷物にしてください。」
旺角のドローン専門店での確認
私がよく利用している旺角(Mong Kok)の電脳ビル内にあるドローン専門店でも、馴染みの店員さんに確認しました。中国国内を含め様々な場所でドローンを飛ばしている経験豊富な方で、「規制対象外」との見解に加え、次のような説明をしてくれました。
DJIドローンバッテリーは「パワーバンク」の3C規格に該当しないため、中国の民間航空機および高速鉄道への持ち込みが許可されています。中国民用航空局(CAAC)は最近、パワーバンクに関する要件を厳格化しましたが、DJIドローンバッテリーはこれらの規制の対象外であり、バッテリー1個の容量が100Wh未満であれば航空機への持ち込みが可能です。高速鉄道でも持ち込めます。容量表示を確認し、適切に梱包することをお勧めします。
- Advertisement -
中国本土DJI直営店スタッフへの確認
さらに確証を得るため、中国本土にあるDJI直営店の顔なじみスタッフにもWeChatで直接問い合わせました。
「你好,这个规定对无人机的电池没有影响,可以正常带上飞机(日本語訳:この規定はドローンバッテリーに影響ありません。通常通り機内に持ち込めます)」との回答で、香港での取材結果が裏付けられました。
現時点で公式サイトでの発表はありませんが、香港と中国本土双方の現地店舗で同様の案内がなされていることを確認できました。
実務的な注意点(持ち込み条件)
- バッテリー容量(Wh)が外装に明記されていることを確認する
- 容量が100Wh未満であれば申告なしで機内持ち込み可
- 100〜160Whの場合は、航空会社への申告が必要なケースが多い
- 160Whを超えるバッテリーは、ほぼすべての航空会社で機内持ち込み・預け入れともに禁止
- 本体とは別にバッテリーを梱包する
- 国際線・経由便では航空会社ごとの規定を事前確認する
容量別の注意点(DJIバッテリー仕様)
DJIドローンのバッテリー容量はモデルによって大きく異なります。
コンシューマ向けモデル(Mini、Mavic、Air、Phantomなど)は、ほぼすべて100Wh未満または100~160Wh以下のバッテリーで、160Wh超はありません。
一方、産業用や物流用など特殊用途の大型モデル(例:Matriceシリーズ)では、160Whを大きく超えるバッテリーが採用されています。
DJI産業用ドローン向けバッテリーの例
•公称容量:274Wh
– 電圧:52.6V
•主な使用機体:Matrice 300 RTK(M300 RTK)など
•公称容量:263Wh
– 電圧:52.6V
•主な使用機体:Matrice 30 シリーズ(M30 / M30T)
•公称容量:977Wh
– 電圧:52.6V
•主な使用機体:Matrice 350 RTK(M350 RTK)
これらの大容量バッテリーは、国内外のほぼすべての航空会社で飛行機への持ち込み・預け入れともに禁止されています。航空輸送を伴う場合は、事前に容量を必ず確認し、規定を守ることが必要です。
日本の読者への注意喚起
日本から中国へ渡航する際、上海や広州などで国内便に乗り継ぎ地方都市へ向かうケースは少なくありません。
私自身も少し前に、中国・湖南省北西部の都市、張家界に行こうと計画していました。ここには世界遺産の武陵源自然風景区があり、200mを超える石柱が何千本もそびえ立つ独特の景観で、映画「アバター」の舞台モデルにもなった場所です。
こうした地域では国内便区間で規制が適用される可能性があります。DJIドローンのバッテリーは対象外ですが、スマートフォンやPC用のモバイルバッテリーは対象となるため注意が必要です。中国の規制は突然変更され、即日適用されることもあるため、渡航前に最新情報を確認してください。
安全対策の重要性
規制を守ることは大切ですが、本質的には自分のバッテリーを事故のもとにしないことが最も重要です。特にリチウムイオンバッテリーは、衝撃や高温、破損によって発火する危険性があります。
安全のため、次のような対策を心がけましょう。
- 適切な温度・湿度で保管する
- 端子部分を金属と接触させないよう保護キャップを使う
- 耐火袋(リポバッグ)に入れて運搬する
- 損傷や膨張が見られるバッテリーは使用しない
- 充電は必ず目の届く場所で行い、過充電を避ける
まとめ
今回の3C認証規制はモバイルバッテリー(パワーバンク)を対象としたもので、DJIドローンバッテリーは対象外です。ただし、航空機での預け入れは禁止、100~160Whは申告が必要、160Wh超は航空輸送不可という国際的ルールは守らなければなりません。
そして何よりも、バッテリーの安全管理こそが事故防止の要です。容量・表示・梱包方法を事前に確認し、安全な状態で持ち込み、安心してドローンフライトを楽しんでください。