民間マンションを含めた高層の建築物では、10年毎にハンマーを用いた叩き点検等による検査が求められているが、実際には仮設足場等の費用負担が大きいために現実的ではなく、非接触方式による検査方法の開発が期待されている。
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桐蔭横浜大学の杉本研究室で開発された、ドローンからの音波照射加振を用いた非接触音響探査法であれば、足場を組まなくても、叩き点検と同様な外壁点検を非接触で実施可能であることが、タイル外壁試験体を用いた実験結果から明らかになっている。
しかし、人が居住している民間マンションでは、周囲の状況(実際にドローンを飛ばせるかどうか)や住民の合意も必要になるため、なかなか提案手法を試行できる場所が見つからなかったという。そこで、神奈川県の大規模修繕コンサルタントの協力を得て、大規模修繕の前段階である足場を組まない事前調査時に、赤外線カメラを搭載したドローン検査に加えて、提案手法である音源を搭載したドローンの実験的な検査についても住民側から許可を得ることができた。
実験は、赤外線カメラでは温度変化を検出しにくい、日中の日の当たらない壁面に対して実施された。最初に音源を搭載したドローンを外壁の3~5m程度に接近させて、音波を照射。次に地上部に配置された高感度のレーザドップラ振動計を用いて、壁面の振動を計測した。もし、タイル外壁の下に剥離や空洞等の欠陥(振動しやすい箇所)があると、健全部と振動の仕方が変化するために欠陥部を検出することができる。
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今回の実験結果では、1階と2階の間に小さな剥離と思われる箇所が発見された(※他は健全部と推定、足場を組んだ上での点検および大規模修繕は今後実施される予定)。なお今回の事例は、飛行中のドローンからの音波照射加振を用いた非接触音響探査法による、初めての民間マンションにおける欠陥検出例となる。桐蔭横浜大学では、今後も提案手法の実用化に向けた検討を続けていく予定だとしている。