秋田県立大学、東光鉄工株式会社、秋田県大仙市は、農業用ドローンを活用した「水稲湛水直播農法」の実践マニュアルを公開した。2021年度から5年間にわたり、産学官連携で現場実証を進めてきた成果を、作業手順と栽培管理の観点から再現可能な形で整理したという。全国の水稲生産者や自治体、農業関係機関での活用を想定している。
本取り組みは、内閣府の地方創生推進交付金事業(Society 5.0)として採択された「秋田版スマート農業モデル創出事業」(予算額16億円)の一環として実施された。高齢化や担い手不足、耕作放棄地の拡大に伴う里山荒廃・獣害など、地域農業が抱える課題が、食料安全保障や国土保全にも関わるとして、収穫期まで水田に立ち入る必要を極力減らす“超省力型”の稲作体系確立を狙ったとしている。
技術面の特徴として、準天頂衛星「みちびき」によるセンチメートル級測位補強(CLAS)を活用し、高精度の自動飛行で播種と除草剤散布を行う点を挙げた。国産の農業用ドローンを採用し、安全性や情報セキュリティ面にも配慮したとしている。中山間地域や小区画、不整形圃場での作業体系も実証したという。

実証で示した主な数値として、作業能率は水稲湛水直播が1haあたり約1時間、除草剤散布が1haあたり約0.25時間とした。収量は4年間平均では移植栽培と比べて若干の減収だった一方、新型粒剤散布装置と高精度自動飛行を導入した直近3年間では、移植栽培比で平均3%減まで改善したとしている。
なお、天候など年次要因の影響が大きく、実証で得られた収量を担保するものではないとも注記した。

公開したマニュアル「農業用ドローンによる 水稲湛水直播 作業と栽培の手引き」では、使用機体・散布装置の仕様、播種量や飛行設定の具体例、種子コーティング方法、播種後の水管理・除草体系、現場での課題と対策などを体系化したという。
マニュアルは東光鉄工の公開ページからダウンロードできる。