ドローンによる砂防堰堤 の点検手法として注目される「遠望点検」について、新和設計株式会社と合同会社SORABOTはLTE通信を活用した実用検証を実施。山間部特有の電波遮断リスクに対し、福島河川国道事務所発注の阿武隈川水系砂防巡視業務においてLTE通信を用いたドローン運用にて安全で継続的な点検体制の構築可能性を検証している。
- Advertisement -
本検証は、2024年4月に国土交通省より公開された、砂防関係施設点検要領(案)令和7年4月改定と砂防現場におけるUAV自律飛行点検マニュアル(案)令和7年4月策定に基づき、山間部での電波途絶リスクを踏まえた実運用可能性を検証するものだ。
背景
砂防堰堤や砂防ダムの維持管理では、移動にかかる時間や整備されていない山道の利用など危険が伴う作業が多くある。
その中で、ドローンを使った遠望点検が期待され、急速に普及しつつある。
しかし、山間部では電波遮断が発生しやすく、ドローン 砂防ダム 砂防堰堤 点検における大きな課題となっていた。
本検証では、以下の点を確認し、砂防施設の遠望点検における運用性向上を実証した。
- Advertisement -
- 山間部の起伏の激しい場所において広域調査における、機動性の高いマルチコプターの有効性
- 上空100〜150mの空間でLTE通信が安定して確保できること
- Starlinkを用いた地上側通信により、LTE圏外の地点でもドローンの運用が可能であること


検証のポイント
① 上空でのLTE通信確保により尾根越え飛行が安定化
本検証では、尾根越え環境においても上空100〜150mで安定的にLTE通信を確保できることを確認した。
ドローンによる砂防ダム・砂防堰堤の遠望点検に必要な映像伝送が安定し、安全な飛行が可能となった。
② Starlinkによる地上側ネットワークの安定化
検証地は地上が LTE 圏外であったが、Starlinkを用いることでドローン点検に必要な通信状態を確保した。
砂防ダム・砂防堰堤の監視運用に適した安定した通信基盤が構築できることを示した。
これにより、以下の動作が途切れることなく安定して行える環境を形成した。
- 飛行中の映像伝送
- 状態監視
- テレメトリの取得
③ 3Dモデルで飛行経路を設計し、翌年以降も同一条件で撮影可能に
初回に3Dモデルを作成し、飛行ルートや撮影ポイントを精密に設計。
翌年以降も同一ルートで飛行できるため、砂防ダムの変状を定点で比較できる体制が構築可能である。
初回に作成した3Dモデルを基に、以下の項目を精密に設定することで、対象堰堤・周辺斜面を狙った通りに遠望撮影できることを確認した。
- 飛行ルート
- 撮影ポイント
- カメラ角度
④ DJI DOCK3(ドローンポート)との連携による拡張性も確認
ドローンポートを併用することで、以下の高度な運用が実現可能となり、ドローンによる砂防堰堤の自動巡視管理が現実味を帯びている。
- 自動離着陸
- 遠隔による定期巡視点検
- 臨時点検時のの即時対応




新和設計株式会社 飯澤 誠氏のコメント
砂防施設の巡視点検では、荒廃箇所や急傾斜地の移動を伴うため作業効率低下や安全性の問題がありました。今回の検証では、徒歩移動困難箇所の克服と、流域全体の把握が可能となりました。
また臨時点検時の地山崩壊や河道閉塞の点検の容易化と、災害発生直後の二次災害リスクの低減が可能となりました。
ドローン飛行の安定性については、山間部の厳しい電波環境においても、LTE通信とStarlinkを組み合わせることで安定した遠望点検が可能であることが確認できました。
また、3Dモデルを活用した飛行ルート設計により、毎年同じ条件での撮影ができる点も非常に有効です。砂防施設の維持管理において、ドローンの活用は今後ますます重要になると考えており、引き続き実務での活用促進を進めてまいります。
- Advertisement -
実施概要
- 実施日:2025年11月12日
- 場所:福島県福島市土湯温泉付近
- 対象範囲:荒川第9堰堤〜第13堰堤
- 使用機材:DJI Matrice 4TD(上空LTE通信利用)、DJI DOCK 3、Starlink
- 検証項目:通信安定性、遅延、遠望撮影の可否、ドローンポートの拡張性 等