3者は海洋環境保全と再生可能エネルギー発展の両立を目指す「藻場再生」への共同研究を進めている。今回開発した次世代型水中ドローン「アクアレモナ」は、海中でも潮流に影響されにくく安定して測定位置をコントロールする機能が搭載され、「藻場」の3Dマップ化に成功した。
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この成果によって正確な「藻場」の状況を広範囲に調査でき、藻場再生事業の効率化を図ることができるという。また、3Dマップから藻場の正確な分布を知ることによって海藻のCO2吸収量測定精度が上がりブルーカーボン取引上のビジネスチャンスも広がり、持続可能な海洋事業を活性化できる可能性がさらに広がったとしている。
「アクアレモナ」で藻場の3Dマッピングに成功
インフラックスと長崎大学海洋未来イノベーション機構および長崎大学大学院工学研究科が共同開発した次世代型水中ドローン「アクアレモナ」は、海岸域における未踏領域の藻場生態系調査を可能にし、ブルーカーボンの定量化を実現するために設計された。
「アクアレモナ」は、8つのクラスタを搭載し、全方向に移動可能で、バッテリーも交換式で長時間の運用可能。特徴は、前方と下方に設置されたステレオカメラと、音波を使った距離測定機能だ。
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これにより、海藻と海底までの距離を測定し、海藻の高さと体積を算出することを可能とした。また、海底は地形の影響を受けるために潮の流れが複雑で、手動で水中ドローンを操作し海底の正確な地形を測定することは困難を極めておりましたが、8つの強力なモーターとオプティカルフロー技術を用いた平面制御により、潮流の影響が少ない状態でホバリングし、水中での安定した位置保持を実現した。これにより、複雑な潮流の中、自ら制御し予め指定していたエリアを自走し、藻場の正確な3Dのマップの作製に成功した。
藻場の3Dマッピング成功とその意義について
長崎県島原市の島原湾における検証実験では、これらの新開発の自走機能を使用して、1m×1mのパイプフレームで作られた碁盤のマス目に沿って移動することで、沿岸の藻場の3Dマッピングを高精度で行うことに成功した。
「アクアレモナ」を用いて海藻の高さと体積を高精度に測定し算出できることは、従来の人が潜っての測量や、潮流の影響を受けやすい既存の水中ドローンを用いて測量する方法と比べて、困難とされていた広い海域での正確な海藻のCO2吸収量を算出することが可能となる。
「アクアレモナ」の活用は海藻の研究や海底の調査に革命をもたらし、ブルーカーボン形成を加速化させ、ブルーカーボン取引における測定ツールになり得る可能性をも秘めているという。
ブルーカーボン形成について
ブルーカーボンは、藻や水草、マングローブなどの海洋植物が光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収して海洋生態系が貯めこむ炭素のことで、海洋植物は陸の植物と異なり、枯れたあとでも数百年単位で炭素を貯めこむことができると言われている。
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そのCO2の吸収源であるブルーカーボンを形成しているのが主に海藻が生い茂る「藻場」だという。産卵や保育、摂餌等の場として魚介類が集まり、海のゆりかごとも呼ばれる「藻場」は日本の漁場に数多く存在していたが、磯焼けなどの環境変化で年々消滅してきており、ブルーカーボンの保全は水産業において大きな課題だ。
ブルーカーボンとビジネス創出の関連性について
ブルーカーボン形成を図ることは地球温暖化の要因となるCO2の増加を抑制するため、CO2吸収量を企業などが買取れるブルーカーボンクレジット「Jブルークレジット」によって売買できるようになり、新たなビジネスを創出できる可能性を秘めている。
インフラックスでは全国の漁業協同組合の皆様と連携・協働して、こうした新たなビジネスを共創し、経済面においても持続可能な海洋事業並びに地域活性化を推進していくとしている。