遊園地業界では初となるドローン自動飛行点検を実施。3次元測量技術で取得した高精度3次元点群データから、ドローン自動飛行ルートと撮影ポイントを設定。港湾クレーン点検ノウハウを応用した技術で、再現性の高いドローン自動飛行点検を可能としたという。
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これまでの課題とドローン点検実施までの経緯
浅草花やしきでは、2022年に営業を終了した高さ約60m「スペースショット」の点検に課題があった。営業終了したとはいえ、浅草花やしき内で最も高い構造物であり、観光地である浅草エリアで存在感がある「浅草花やしきのシンボル」として、重要な意味をもつ設備である。継続的な保守・保全は必要不可欠だ。
課題
- ・点検員の安全性
点検員が、地上60mまではしごを使って登り、点検することへの安全性の懸念。 - ・十分な設備点検
はしごが無い側面が存在しており、そうした面は地上からの点検、もしくは数年に1度の高所作業車での点検が限度。
経緯
浅草花やしきは、社長の西川氏と保守点検担当者が、2023年4月浜名湖パルパルで開催された東日本遊園地協会技術研究会に参加。研究会では、スカイブリッジ・椿本興業によるドローン点検のデモを視察。ドローン点検の可能性を感じ、自社の施設安全課を中心に検討を開始。
施設安全課では、ドローン点検が特に有用な設備をピックアップし、現状の課題や、特に確認したいポイントを具体化した。
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また、当初は手動操縦によるドローン点検の依頼を想定していた。しかし、スカイブリッジ・椿本興業の提案から、将来を見据え、パイロットの技量を問わずに、ドローン点検を実現することも考慮、つまりは、将来的な自社運用も想定し、事前に飛行ルートや撮影ポイントを設定し自動飛行をする、「ドローン自動飛行点検にチャレンジ」することを決めた。
ドローン点検⽅法
東京浅草の人口集中地区(DID)という現場環境下、高さ60mの構造物のドローン点検において、まず許認可の確認および弁護士によりドローン飛行に関する法律面の懸念をクリアにした。他にも、関係各所への連絡を徹底するなど、ドローン飛行前に、浅草花やしき、関係各社、そして周辺住民に対しても安心・安全に取り組める体制で迎えた。
ドローン手動点検
高さ60mのスペースショットは、まずパイロットによる手動飛行点検を実施した。パイロットの撮影映像をリアルタイムで、浅草花やしき安全管理担当者が確認。ドローンが担当者の⽬となり、点検すべきポイントを特定した。
3次元測量
同時に、スペースショットの3次元測量業務も並行して実施し、解析作業を経て、高精度の3次元点群データを作成した。
ドローン自動飛行点検
スペースショットの3次元点群データをベースに、ドローン自動飛行ルートを生成。撮影ポイントも明確にし、ドローンを自動飛行させ、写真および動画で点検データを取得した。
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ソフトウェアは、ゼンリンデータコム、三井E&S共同開発の「ドローンスナップ」を活用。三井E&Sのガントリークレーン点検ノウハウをベースに開発されたアプリケーションを、遊園地業界においても活用した。