同社は今後、都市・建築の多様な提案に導入・展開し、一層の提案力の強化を目指していくとしている。
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また、同誌に掲載したモビリティのひとつである電動キックボードを実機(プロトタイプ)製作。今後、実用を可能とすべく検証・改良を図る方針だ。
「都市と建築の専門家」の立場から「新たな移動の仕組み」を「都市と建築の使い方」として考える建築設計事務所として、国内外でさまざまな都市や大規模開発の計画、コンサルティング等を行う同社には、建築や街路といった都市のハード面への提案のみならず、スマートシティ化など急速な技術革新に基づくソフト面を含む、未来を見据えた提案が求められているという。
同社は、設計事務所からの「都市をより高度化させるインフラ」として、従来の都市交通の役割を超えた「SMS」(Seamless Mobility System)を提案する。これは、
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- 都市:まちの中を移動する都市交通
- 建築:建物内における移動手段(エレベータ等)
- 人:身体拡張ツール(車いすや歩行支援ロボット等)
というそれぞれの「移動」を1つに融合することで、建物内外を問わず人の移動をシームレスにし、人びとのより自由な空間利用を可能とし、都市に多様性や可変性を与えるインフラだとしている。
ブックレット「SMS Seamless Mobility System」について
同社は、建築や都市の設計に携わる当社のアーキテクトらによる、モビリティ提案とそれにより変わる都市・建築の使われ方・人びとの過ごし方を、ブックレット「SMS:Seamless Mobility System」にまとめた。ブックレットは今後、内容検討を深め、随時改訂を実施予定。
ブックレットでは、各種モビリティの姿を描くだけではなく、「建築設計事務所からの提案」として、多様なSMSの導入で変わる「都市の姿」を描き出す。同書で提案されるSMSは、個人~少数~マストランジットまで、幅広いユーザに対応しつつ「インクルーシブな社会の実現」「垂直移動のあり方」「都市内物流」など、現代都市が抱える多様なテーマに応え、都市全体のアップデートを図る。
ブックレットでのモビリティ提案事例
Pod Bus
[乗員数:1~2(最大4)名](意匠権申請中)
歩者と街路を共有できるスケールのモビリティ。建物に設置した鉛直レールにドッキングすれば、路上から高層階までシームレスに移動できる。車椅子の乗り入れも可能。インクルーシブ社会の超高層ビルのあり方への提案でもある。
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Trunkbot
特に、高齢者や長時間の歩行が困難な利用者に寄り添うモビリティ。荷物を運んだり、一時的な座椅子となることで「可能な限り、人が歩行運動することを支援促進する」提案。都市内物流の課題を解決する目的にも転用可能。
Non-Stop Shuttle
[乗員数:複数名~マストランジット/公共的な利用](意匠権申請中)
既存の広域公共交通がカバーできない「歩行圏内+α」の範囲で機能する「クルージング・モビリティ」都市内の固定ルートを巡回する。これと同様にフラットな床部のプラットフォームを有する「Mobility X Archi」(右)は、自由に移動できる「動く建築空間」だ。都市内の必要な場所で、必要な用途に応じて展開し、建物と接続させての利用も可能。
次世代電動キックボード実機を開発・製作
同社は、「建築や公共交通との高い親和性を図る」次世代電動キックボード実機を開発・製作している。一連のSMSのうち最も基本的な1人用モビリティについて、CGモデリングや3Dプリントによる実寸モックアップ検証を経て人を乗せ実走するプロトタイプを製作。継続して改良を図るという。
Scooter PM01
[乗員数:1名](意匠権申請中)
現在流通する電動キックボードとは異なり、折り畳み式によるコンパクト化を徹底する。公共交通機関(バス・電車など)やビル内への持ち込み・持ち運びを「傘のように」容易とすることを目指したという。収納・充電機構も極小となり、ポートの設置が容易なことから、街路や建物の廊下など、屋内外をどこでも移動の拠点にできます。必要なとき、必要な場所ですぐに貸出・返却可能。目的地至近までモビリティの助けを借りて移動できる点が特長だという。
コンセプトデザインでは、車体とハンドルを畳み、後輪をしまい込むことで薄板状にした。3Dプリンタでのデザイン検証などを経て、コンセプト通りの薄型ボディにモーターとバッテリを搭載した、人を乗せて走行するプロトタイプを制作。
※特定小型原動機付自転車の公道走行は道路交通法上の保安基準を満たす必要がある。同プロトタイプは現在開発中であり私有地内にて撮影している。
Mobility X Archi
今回提案したSMSのひとつ、「動く建築空間」を意図した「Mobility X Archi」(意匠権申請中)は、車体横部にポートが組み込まれた「動くモビリティ・ステーション」。このように多種のモビリティを複合的に運用することでフレキシブルなサービス提供が可能になる(写真左)。また、収納スペースが最小化され、植栽・家具など建築の要素と組み合わせ、空間に違和感なくポート設置も可能となる(写真右)。