従来、人が巡回・目視で行っていた資機材管理業務をデジタルツイン上で行うことを可能とし、現場職員の安全性と作業効率の向上を実現するという。
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今回開発したシステムは、2022年度の国土交通省による「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(PRISM)」に採択されており、鹿島建設が施工する建設現場にて既に導入、現場職員の業務時間を約75%削減する有効性が確認された。今後は、本システムの高度化および鹿島建設での全社展開を見据えた他現場へのシステム転用などを目指すとしている。
背景
建設現場では、建設物の構築にあたり数多くの資機材を扱うが、従来の資機材管理は、現場職員が現場内を巡回し目視と手作業で行っていた。一方で、これらの手法は膨大な手間と時間を要するだけでなく、現場職員が高所や狭所などに立ち入らなければならない安全上の課題ある。また、現場で使用する資機材の大半はレンタル品となり、万が一、点検期限切れの資機材を使用していた場合、作業員の安全を脅かすリスクが懸念される。
さらに、管理が行き届かない場合、資機材を重複してレンタルし、それにより余分なコストが発生する可能性がある。よって、「どこに、何が、何台あるか」など資機材の状況を正しく把握することは、建設現場において最重要事項の一つであり、安全性向上・作業効率化のために管理手法の高度化が求められている。
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取り組み内容
AI insideと鹿島建設は、共同で「AIとドローンによる資機材管理システム」を開発した。人より高速で移動可能なドローンと画像認識AIを組み合わせることで建設現場の資機材管理を高度化するという。
本システムの構築においては、マルチモーダルなAI統合基盤「AnyData」を利用した。ドローンで空中から撮影した工事現場の画像をもとに、現場に点在する資機材の名称や位置を特定するAIモデルを「AnyData」にて生成し、これを鹿島建設の現場3Dモデルと連携させることで、ドローンの空撮映像から自動で資機材を検知するとともに、同3Dモデル上でそれらの名称や位置を表示・管理できる。人の巡回・目視による資機材探索を不要とし、現場職員の安全性向上・作業効率化に貢献するという。
なお、本システムは鹿島建設が施工する、大河津分水路新第二床固改築Ⅰ期工事現場にて既に実導入された。デジタルツイン上での資機材管理業務を実現したことで、現場職員の業務時間を約75%削減する有効性が確認できたという。
今後について
引き続き両社共同で、検出できる資機材の拡充や検出精度の向上をはじめとしたAIモデルの高度化や、現場3Dモデルにおける検索性を高めるための資機材データベースの機能追加などを進め、「建設現場におけるモノのデジタルツイン」をより高度かつ網羅的に実現していくという。