同実証実験は、三重県が令和4年度に実施している「[空の移動革命]実現に向けた先進的ドローン物流調査事業」におけるデロイト トーマツとの委託契約に基づき、ドローンによる物流の事業化につなげることを目的に実施された。また、同実証実験の結果は2月14日に開催予定の「三重県『空の移動革命』実現に向けたシンポジウム2023」で発表を予定しているという。
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実証実験概要
内容および目的
三重県では「空の移動革命」実現に向けて、県内におけるドローンを活用した物流のユースケース検討を行った上で、それに対応した事業モデルを構築し、課題を抽出・解決することによるドローン物流の事業化を目指しているという。同取り組みの一環として、本年度検討を行った事業モデルについて、ドローンの飛行に関する課題を抽出することを目的にドローン実機を用いた実証実験を行った。
検証内容と検証ポイント
同実証では下記2つのユースケースを想定し、モニター役の地域住民へサービスを提供するとともに、アンケート等を通じてサービス利用者・提供者それぞれの観点から、構築した事業モデルの「実現可能性」や「持続可能性」について検証を行った。
- 買い物代行
買い物に関する選択肢(場所・品目)が少ない条件不利地域において、買い物代行とドローン配送を行うことによる「買い物難民」問題の解決 - 宅配輸送
車による荷物輸送の一部をドローンに置き換えることによる物流の効率化
実証実施体制
プロジェクト全体企画・統括 | 三重県、デロイト トーマツ |
機体運航および実証企画(ルート選定等) | エアロネクスト |
実証企画(物流ユースケースのアドバイス等) | セイノーHD |
実証企画(運航に関する法規制のアドバイス等) | JAL |
フィールド提供 | 伊賀市、阿波地区市民センター |
商品提供 | アニーズ三平 |
実施内容
同事業における調査・検討を通じて把握した地域課題の一つに「買い物難民」問題があるという。同実証では、ドローン物流による当該問題の解決を図るべく、お客様役の住民モニターが注文した煎餅やチョコレート等で構成される「お菓子セット」(約3kg)の各商品をスーパー(アニーズ三平)で買い物代行し、隣接するせせらぎ運動公園(伊賀市平田)から大山田東グラウンド(同市猿野)までの片道約9kmを、ドローンにより約20分で届けた。
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機体はエアロネクストが開発した日本初の物流専用ドローン「AirTruck」を用い、レベル2飛行(無人地帯上空での目視内自律飛行)を行った。到着した商品は偏ったり崩れたりすることなく、無事大山田東グラウンドで待っていた地域住民モニターの手に届けられた。
ドローンで届いた商品を受け取った地域住民モニターの方は、次のようにコメントしている
お菓子は荷崩れしておらず、入っていた煎餅も割れていない完璧な状態で受け取ることができた。注文からこんなにも素早く手元に商品が届くのはありがたい。今後は高齢化が進み、スーパーへの移動も不自由になると思うが、生活を維持するためにもドローンの活躍に期待している。
また、荷物輸送量が少ない一方で、輸送距離・時間が長く、物流の効率化が求められる当該地域において、宅配荷物(約3kg)を伊賀市千歳下水の三重西濃運輸上野支店からせせらぎ運動公園までトラックで輸送後、その先の大山田東グラウンドまでをドローンに載せ替えて輸送する、日本初の宅配トラックと連携したドローン物流の実証も併せて実施された。
トラックとドローンを組み合わせた物流により、荷物到着までの時間短縮に加え、トラックドライバーの労働時間短縮や走行距離短縮による燃油消費量の削減等、住民と配送業者双方への様々なメリットが期待されるという。
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今後は、三重県内の様々な地域課題の解決及び地域における生活の質の維持・向上を図るべく、同実証を通じて抽出された課題の解決やその後のドローン物流の事業化を目指していくとしている。