株式会社ファンリードとエアロセンス株式会社は、マレーシアのサンウェイ大学とともに、APT(アジア・太平洋電気通信共同体)によるドローン/AI技術を活用したマングローブ分布/生育マップ作成技術実証の「ICTパイロットプロジェクト2022」(Category II)に共同提案し、2022年末に採択された。同プロジェクトは、2023年1月から同年11月に実施予定としている。
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本件は2022年1月から同年11月にわたり、ファンリードとエアロセンスがサンウェイ大学と共同実施したAPT「国際共同研究プログラム2021」(Category I)におけるドローン/AI技術を活用した、マングローブ分布/生育マップ作成技術実証の成果が評価されたことによる採択で、技術実証成果を踏まえた事業化実証(Category II)を目的としている。
なお、ファンリードとエアロセンスの両社は同プロジェクトを契機に、マレーシアでマングローブの再生・保全に向けた協力を継続し、ブルーカーボン関連事業の参入・展開を目指すという。
同プロジェクトは、「国際共同研究プログラム2021」(Category I)と同様にサンウェイ大学がプロジェクト責任者となり、エアロセンスがドローンによるデータ取集・解析を行い、ファンリードが4K RGBおよびハイパースペクトルデータ分析(ハイパースペクトルセンサー提供を含む)を行う。
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「ICTパイロットプロジェクト2022」の概要
「ICTパイロットプロジェクト2022」(Category II)においては、「国際共同研究プログラム2021」(CategoryI)で識別された課題解決に向け、以下の施策を実施する予定。
- 最長50kmの飛行が可能なエアロセンスのVTOL型ドローン「エアロボウイング(Aerobo Wing)」を活用し、観測可能エリアの拡大を図る(Category Iではマルチコプター型のドローンを活用)
- 4K RGB画像分析に加え、ファンリードのハイパースペクトルセンサーによるスペクトル分析手法を導入し、分析能力向上を図る[観測バンド数:288(波長域:340nm~850nm)のハイパースペクトルセンサーによるデータを取得]
同プロジェクトの実施場所は、「国際共同研究プログラム2021」(Category I)におけるサラワク州ラジャン・マングローブ国立公園での成果を他地区に展開することを視野に、同州のクチン・ウェットランド国立公園(Kuching Wetlands National Park、6,610ha)を実証フィールドとしている。
プロジェクトの遂行においては、上記実施場所を含むサラワク州の総合的保護対象エリア(TPA: Totally Protected Area)の管理および生物多様性保護を担うサラワク森林公社(SFC:Sarawak Forestry Corporation)の全面的支援のもとに進めるとしている。
「ICTパイロットプロジェクト2022」の採択に至る経緯
マレーシアでは、2004年スマトラ沖大地震の際、半島部海岸のマングローブ林が保全されていた地域で津波被害が軽減されたことから、2005年以降全州政府とNRE(Ministry of Natural Resources & Environment)によるマングローブ保全への積極的な取り組みが行われているという。
マレーシアのマングローブ(62.9万ha)の22%(約14万ha)を有するサラワク州では、「海の命のゆりかご」とも言われるマングローブが形成する生態系を維持することが、地域の持続可能な漁業を実現するうえで喫緊の課題となっているという。「国際共同研究プログラム2021」における実証実験(Category I)では、サラワク州ラジャン・マングローブ国立公園において以下2点の実証を行い、沿岸部に集中的に生息する重要なBAKAU種の分布状況をAI技術により約90%の精度の検出に成功した。
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Category Iでの実施内容
- ドローン空撮によるマングローブの4K RGB画像取得/オルソ画像生成
- 上記生成画像からAI画像分析ツールを活用した特定樹種の自動検出方法の確立
一方で、社会実装に向けては、マルチコプター型ドローンの限定的な観測範囲/4KRGBカメラのスペクトル分析能力不足の課題が識別され、今般それらの解決に向けた提案により「ICTパイロットプロジェクト2022」(Category II)の採択に至ったという。
ファンリードとエアロセンスは、2021年1月から同年3月にJETROクアラルンプール事務所主催「DXアクセラレーションプログラム(マレーシア)」に採択され、事業参加を契機にサンウェイ大学との交流を開始し、APT「国際共同研究プログラム2021」(Category I)・「ICTパイロットプロジェクト2022」(Category II)の共同提案へとつながった。
今後は、サンウェイ大学とともにプロジェクト終了後の事業化に向け、SFCによるマングローブ保全事業等への参画と、政府機関や地域コミュニティ等に対し、マングローブの保全および生態系の維持に必要なデータの提供を続けることで、サラワク州におけるビジネスの展開を目指していくとしている。