東日本旅客鉄道株式会社(以下:JR東日本)とKDDI株式会社は、2023年1月11日から、JR目黒MARCビルにて、防犯カメラの映像データをAI分析し、配送ロボットが自動で混雑回避や回遊販売を行うフードデリバリーサービスの実証実験を開始する。
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同実証は、「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」のまちづくりをコアとしてJR東日本とKDDIが取り組む、場所や時間にとらわれない働き方・くらし方を創出する「空間自在プロジェクト」の一環。
ビルに設置している防犯カメラなど、都市や街の設備が持つデータを収集・分析するデータ連動基盤(以下:都市OS)と、ロボットの位置情報管理や走行の制御および設備との連携を行うロボットプラットフォームとを連携させることで、これまでロボット単独ではできなかった高度なサービスの実現や、利用者の需要に柔軟に対応できる環境の構築を目指すとしている。
「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」で目指すビジョン
「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」のまちづくりでは、従来のように人がロボットに合わせるのではなく、ロボットが人に寄り添い、共生する街を目指して、さまざまな実証実験に取り組んでいるという。
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同実証を通して、都市OSとロボットプラットフォームとを連携させることにより、街のあらゆる場所で心豊かなくらしを可能にするロボットサービスを提供することを目指すとしている。今回は、「配送」にフォーカスし、まずはビル内に範囲を限定して検証するとした。
ロボットの導入における課題
街へのロボットの導入においては、メーカーの異なる複数ロボットの協調制御や位置情報の一括管理が困難であるほか、ビル内への導入においては、エレベーターなどの設備と連携させることが難しいという課題があげられるという。
同実証について
同実証では、都市OSで、ビルに設置された防犯カメラの画像をAI解析し、ロボットに人の密集度を伝えることで、最適なルートで移動ができるか、配送サービスを用いて検証する。
また、JR東日本グループの商業施設と連携した"ちょっといい"体験を提供するフードサービスと、ロボットによる商品を時間通りに届けるサービスを組み合わせた、新しい食提供サービスづくりを目指すとしている。
サービスの流れ
JR目黒MARCビル内で勤務するオフィスワーカー向けに、事前に注文されたお弁当を時間通りにオフィスフロアまで配送するサービスのほか、JR品川駅のエキナカ商業施設「エキュート品川」で販売しているお菓子・軽食を、ビル内(ラウンジ/ロビー/フロアなど)の人の多い場所に移動して回遊販売するサービスを試験的に提供する。
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配送サービスの流れ
- Webサイトから予約:ユーザーがWebサイトからお弁当を予約する
- 商品手配・ロボット積み込み:エキュート品川へ商品手配を依頼。ロボットに積み込む
- オフィスフロアへ配送:オフィスフロアまでロボットがお弁当を配送する
配送サービスの商品
今回の実証実験では週替わりで「エキュート品川」で取り扱っているお弁当を配送する。
- 2023年1月11日~1月13日:イーション:炙り!ノルウェー産サーモンのハラス蒲焼重(税込999円)
- 2023年1月16日~1月20日:日本橋だし場 OBENTO:だしわっぱ飯(税込980円)
- 2023年1月23日~1月27日:塚田農場 OBENTO&DELI:北海道産黒牛100%黒牛バーグ弁当(税込1,150円)
検証項目
1.人の密集検知による走行ルートの選択
都市OSがAI画像解析により人の密集度を算出し、ロボットプラットフォームに連携。ロボットプラットフォームにて、最適なルートを選択し、ロボットに指示する。同実証では、お弁当配送の際は密集度が低いルートを、回遊販売では販売機会を逃さないよう密集度が高いルートを走行する。
将来的には人の密集度に加えて購買データなどのさまざまなデータと連携させることにより、さまざまなサービスの需要に合わせた効率的なルート選択の実現を目指すとしている。
2.メーカーが異なる複数ロボットの協調制御
配送ロボットに加え、メーカーが異なる警備ロボットも稼働する。エントランスロビーで配送ロボットと警備ロボットが稼働する中、配送ロボットの走行を優先させる協調制御が可能か検証する。
同実証を経て、複数ロボットの協調制御の検討を深度化し、将来的にはさまざまなメーカーのロボットが自由に走行できるまちづくりを目指すとしている。
3.エレベーターとの連携によるフロア移動
ロボットプラットフォームとエレベーターとの連携により、ロボットが人の介在なくエレベーターを利用し、異なるフロアへ配送することが可能か検証する。
同実証を経て、ロボットサービスとさまざまな設備との連携を進めることで、将来的にはロボットがより多くの場所に行けるようになることを目指すという。
期間・場所
- 期間:2023年1月11日~1月27日
- 場所:JR目黒MARCビル(所在地:東京都品川区西五反田3-5-8)
各社の役割
JR東日本 | ・高輪ゲートウェイシティ (仮称) への実装を見据えた食提供サービス設計・ロボットとエレベーターの連携の実施 ・AI画像解析結果の活用 ・警備ロボットの運用 |
KDDI | ・ロボットプラットフォームの企画実施 ・都市OSの開発実施 ・防犯カメラデータの解析 ・配送ロボットの運用 ・フードデリバリーサービスのWebアプリ開発 |
協力企業
株式会社ZMP | 宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」の提供 |
セントラル警備保障株式会社 | 警備ロボット「C-SParX」の提供 |
株式会社JR東日本ビルディング | 実施場所「JR目黒MARCビル」の事業者/運営管理者 実証実験の環境整備 |
株式会社JR東日本クロスステーションデベロップメントカンパニー | 配送サービスにおける、お弁当、お菓子、軽食の提供 |
株式会社JR東日本商事 | メーカー、ロボットプラットフォームとの接続調整 |
フジテック株式会社 | JR目黒MARCビルのエレベータ事業者 |
今後の展開
都市OSのさらなる展開に向けて
今回検証したロボット配送サービスに加え、今後も都市OSとさまざまなサービスとの連携を検討していくという。駅や街の各施設で得られたさまざまなデータをプラットフォーム上で繋ぐことで、AI画像解析による清掃・警備の最適化による街運営の効率化や、ビジネスワーカーや来街者の属性や嗜好に応じたサービス提供など、街の価値向上に向けた新たなサービスの創造に取り組んでいくとしている。
「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」への実装に向けて
街に多くのモビリティやロボットを活用した価値あるサービスを提供するプラットフォームを構築し、新たな購買・移動体験、ビジネス創出を目指すという。「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」のまちづくりをネットワークハブとして、日本各地・世界をつなぎ、企業の日本各地分散を支援して、場所や時間にとらわれない豊かな暮らしを創出していくとしている。
5G・MECの活用により、ロボット台数増加に伴う通信データ増加問題やロボット動作の複雑化や高速化に対する超低遅延処理などの実現を目指し、「デジタルツイン」の導入に向け検討を進めるという。リアル・バーチャルから得たデータを活用し、都市OSにてデータの分析/シミュレーションを行い、その結果をもとにリアル・バーチャル双方にさまざまな価値を提供していく未来を目指すとしている。