ひさびさのDJI新ジャンルドローンとして登場したDJI Neo。超小型高性能なのはDJIドローンのいつもの特徴であるものの、DJI Neoの機体重量「135g」は航空法上ではMavic 3 シリーズやInspire 3 シリーズと何ら変わらない扱いのものになることから注意も必要です。
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そこで今回は、航空法のルールに注意しつつ、屋外で空撮したDJI Neoの性能とサンプル映像をレビューいたします。
DJI Neo を屋外飛行させる場合の注意
法律上の注意点(1):まずは機体登録!
まず、法律上の注意点から。すべての無人航空機(≒100g以上のドローン)は機体登録しないと屋外で飛行させることはできません。ビギナー向けの超小型ドローンとはいえ、DJI Neoももちろん登録が必要になりますので、何はともあれ購入したらまずは機体登録を済ませませ、登録記号の表示と、リモートID情報の機体への読み込み(と発信)を実施(DJI FLYアプリ内で可能)します。
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機体登録を済ませるだけでなく、機体識別表示とリモートID情報の機体への読み込み(と発信)が必要
法律上の注意点(2):航空法遵守で飛行!
飛行させる際には、航空法を遵守して飛行させます。飛行が禁止されている空域と、認められていない飛行方法を避けて飛行させる必要があります。もし、飛行が禁止されている空域や飛行が認められていない方法で飛行させたいときは、国土交通省に飛行の許可や承認を申請し、飛行許可承認を得てから飛行マニュアルと運航ルールに則って飛行させます。
飛行許可承認が必要な例
ルールだけ見てもわかりにくい場合もありますので、よくやりがちな航空法違反の例を下記に記します。知らず知らずのうちに航空法違反を犯している場合もありますのでご注意ください。
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例1:目視外での飛行の該当例
1)スマホに表示された機体からの伝送映像を見ながらDJI Neoを操縦する
2)フォローモードで自分(操縦者)の後ろからDJI Neoを追いかけさせる(サークル、ヘリックス、ブーメランなど操縦者の視界から機体が消える飛行方法は同様)
3)操縦者からDJI Neoの小さな機体が目視できない距離や場所の飛行を行う
例2:人又は物件と距離(30m)を確保できない飛行の該当例
1)離着陸地点の30m未満の距離に他人の家や駐車している他人の車、電柱や街灯がある
2)電柱や電線、信号機や建物の近く(飛行する機体から30m未満)を飛行する
3)一般観光客がいる中(一般観光客や観光施設から30m未満)で飛行する
また、国土交通省の飛行許可承認を得ていたとしても、上記の飛行禁止の空域と認められていない飛行方法で飛行させる際には、何らかの操縦装置(スマホやプロポ)とDJI NEOが接続されていないとクイックショットなどの自動飛行はできません(自動操縦の「特定飛行」時には操作介入ができることは必須条件)ので、こちらも注意が必要です。
DJI Neoの撮影性能
DJI Neoで屋外撮影するまえに、機体のスペックを確認しておきましょう。超小型軽量で手軽に扱えるのが特徴ですが、加えて…
というところがポイントになるかと思います。これらの特徴を踏まえたうえでDJI Neoの撮影性能を見ていきたいと思います。
DJI Neo の撮影サンプル
さっそく、DJI Neoによる撮影データを見ていきたいと思います。ロケーションは、平安時代を中心に大きく栄えた地方都市「斎宮(さいくう)」の施設「さいくう平安の杜」です。先日、弊社が企画する観光をドローンで愉しむ実証企画「"斎宮 -Saikū-"を愉しもう」を実施し、十二単を着たインフルエンサーさんを撮ったり、一般観光客向けにドローンを使ったセルフィー(自撮り)サービスを提供した場所となります。
さいくう平安の杜は、斎宮の中心部にあり当時の役所である「斎宮寮」を、遺跡が出たその場所に当時の建築技術をふんだんに使って復元した歴史観光施設です。このような場所でドローンを使って自撮りできたら旅行の素敵な思い出になるはず…という思いから、期間限定でAIドローンによる自撮りが体験できる場所として企画しました。DJI Neoを旅行に持っていき、旅の象徴的な場所で自撮りをするとどうなるんだろう? そんな想定をしながら映像をチェックしてみてください。
※注意:観光実証企画内の特別な許可のもとドローンの飛行と撮影を実施しています。2024年10月において通常観光時のさいくう平安の杜におけるドローン飛行は禁止されていますが、将来的には平時も一定のルールのもとドローンによる旅の自撮りが楽しめるように計画中です。
クイックショット(ドローニー)
クイックショットの代表的な機能「ドローニー」でDJI Neoの実力を見てみたいと思います。設定にした距離や高度変化の有無に合わせてDJI Neoがアップ画角から俯瞰的な引きの画角まで遠ざかってくれる定番撮影法です。サークルやブーメランなどは飛行範囲が円を描くように広いため撮影場所も広場所が必要となるのですが、ドローニーであれば一方向(DJI Neoが引いていく方向)のみ立入管理措置ができれば比較的安全を確保しつつ楽しむことができます。
カメラ設定を全てオートにして撮影していますが色合いも良好!飛行もとても安定して十二単を着た @sayakatakahashi8さんと背景のさいくう平安の杜の正殿がとても"雅 -miyabi-"に撮れています。
ちなみに、DJI Neoが飛行している様子は下記になります。モデルさんは@horiimiho29さんです。平安時代の建物と十二単、それを撮影する最新小型ドローン…なんとも不思議な組み合わせです。
実際に飛行させる際には、DJI Neoが飛んでいく方向と高さに障害物がないか確認し、飛行経路は立入管理措置を行い第三者が入らないようにしてください。当日はさいくう平安の杜正面中央奥にある正殿から立入管理措置を行った広場方面へ飛行させることで安全を確保しました。
人物ショット(手動操縦)
DJI Neoにはせっかくプロポがあるので、手動操縦で撮影したサンプルも見てみたいと思います。
晴天につつまれたこの日、@linejkaさんの美しい髪は光を受けて輝き、雅な十二単の優美さが風にそよぎます。背景のいにしえの技と心が織り成す斎宮寮正殿、その壮麗な佇まいとともに、静かに、けれど確かに響き合うハーモニーがこの瞬間を彩っています。雅。
正殿ショット(手動操縦)
最後に、ドローン愛好家のお兄様方が大好きな史跡の人物なし撮影ショットです。旅の撮影の楽しみは、自分が入ったショットはもちろんのこと、人の入らない絶景ショットもコレクションに加えたいもの。ここでは、DJI Neoの小ささをいかして、斎宮寮正殿の中から外に抜ける映像を撮影してみました。
撮影をして感じたことは、DJI Neoのカメラの「オート設定」の優秀さです。上記の映像は屋内から屋外に出る関係上、画面の明暗差が大きく、屋外の明るさにカメラの設定を固定すると屋内のシーンが真っ暗になってしまいました。仕方なくオート設定で撮ってみたのですが、映像を見ての通り、屋内から屋外に出るタイミングから自然かつ瞬時に適正な明るさへ設定が変化していきました。この手軽にキレイな映像が撮れるカメラ性能は、旅先でサクッと撮影したり、撮影した映像をSNSへ投稿したりする際に(明るさ補正も必要なく)とても重宝しそうです。
ひとつ映像で気になったのは、屋内の暗がりだと少しノイズが多いということです。これは通常の空撮機と比較すると小さい1/2インチセンサーや、オート設定によるISO感度の高さ(高くすると明るく映るがノイズも増える)によるものと考えられますので仕方ないところでしょうか。
また、飛行性能としては基本的にDJI機らしい安定感を見せてくれているのですが、撮影時は風が2〜3m/sで画面の右から左に吹いており、屋外に出たタイミングで右へ当て舵を入れ続けていないと流されてしまいました。これは小型機ならではの弱点ですね。「大空を飛ばす」というよりは、低空で今回のように被写体の近くを飛ばすための機体と割り切ったほうが良さそうです。
DJI Neoを屋外で撮影したまとめ
実質、航空法に対する飛行許可承認の必要が生じてしまうところが少し手間ではありますが、通常よりも小さい機体サイズだからできる撮影(狭いところでの飛行や隙間の通り抜けなど)や、人物に近い撮影で重宝しそうです。まとめると…
◎良いところ
- 高画質空撮映像を手軽に撮影できる
- カメラのオート設定が優秀で薄暗いところから明るいところまで撮影できる
- クイックショットや手動操縦(今回試していませんがFPV操縦)まで状況に応じて撮影を楽しめる
✕悪いところ
というところでしょうか。
とはいえ、これほど手軽に、安心して撮影を楽しめる機体はこれまでのDJI Miniシリーズ以上です。旅先やちょっとしたところに持って行って撮影を楽しみたい…、そんなニーズをDJI Neoは必ず満たしてくれることでしょう。
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