さわっているだけでワクワクする機体「DJI NEO」は、DJIがひさびさにリリースしたコンシューマー向けの新シリーズです。VLOG撮影用ドローンとしても楽しめるほか、通常の小型空撮機としても、そしてDJI Goggles 3を組み合わせれば小型のFPV機としても楽しむことができます。今回もこのDJI NEOをいち早く入手しましたので、さっそくレビューしていきたいと思います。
- Advertisement -
DJI NEOの特徴
DJI NEO の特徴はなんといっても(1)軽量コンパクト で (2)本格的な撮影 をさらに (3)いろいろな方法で操縦できるーことです。
- Advertisement -
まず、サイズから見ると、手元にあるMINI 2と比較してもMINI 2の4つのモーターの内側にプロペラガードも含めたNEOが収まるくらいコンパクトです。そしてコンパクトなだけでなく、プロペラは360°の全方位をガードに囲まれているのでとても安全です。135gの軽量も相まって、恐怖感を全くと言っていいほど感じません。
135gと言われてもあまりイメージが沸かないかもしれませんが、身の回りのものと比べると、ちょうどPASTELの「なめらかプリン」が135gでした。小さなおいしいプリン程度の重さがDJI NEOの大きな特徴です。
とは言え、飛行性能に妥協はなく、約18分の飛行時間に加えて最大風圧抵抗は8m/sにもなりますので、多少の風の中でも安定した飛行を実現することができます。
機体スペック
重量 | 約135g |
サイズ | 130×157×48.5mm(長さ×幅×高さ) |
最大水平速度 | 6m/s(ノーマルモード)・8m/s(スポーツモード)・16m/s(マニュアルモード) |
最大上昇速度 | 0.5m/s(シネモード)・2m/s(ノーマルモード)・3m/s(スポーツモード) |
最大下降速度 | 0.5m/s(シネモード)・2m/s(ノーマルモード)・2m/s(スポーツモード) |
最大飛行時間 | 約18分(プロペラガード装着時は約17分) |
最大風圧抵抗 | 8m/s |
測位衛星システム | GLONASS+GPS+Galileo+BeiDou |
そして、本格的な撮影機能もNEOの魅力です。カメラは1/2インチイメージセンサーを搭載(旧Air 2と同等サイズ)。もちろん、撮影解像度は4K/30fpsも可能なほか、1軸メカニカルジンバルと電子手ブレ補正でブレの少ない高画質な撮影が可能です。
カメラ
イメージセンサー | 1/2インチイメージセンサー |
レンズ | FOV:117.6°・焦点距離(35mm判換算):13mm・絞り:f/2.8 |
動画解像度 | EISオフ:4K(4:3):3840×2880@30fps・1080p(4:3):1440×1080@60/50/30fps EISオン:4K(16:9):3840×2160@30fps・1080p(16:9):1920×1080@60/50/30fps |
動画フォーマット | MP4 |
最大動画ビットレート | 75Mbps |
EIS(電子手ブレ補正) | RockSteady安定化機能・HorizonBalancing・安定化機能オフ |
最大静止画サイズ | 12 MP:4000px×3000px(4∶3)または 4000px×2256px(16∶9) |
ジンバル | 1軸メカニカルジンバル(チルト) |
また、意外と便利だったのは、バッテリー3本挿しの充電ハブが3本同時充電可能であることです。これまでのDJI空撮機の充電ハブはどれも3本挿しでも1本ずつの充電だったのですが、NEOの充電ハブは60W以上の充電器であれば3本同時に充電ができます。たくさん遊びたくなるNEOだけに、この同時充電機能はとても便利に感じました。ちなみに、手持ちの65W USB-C充電器で充電したところ、電流は34Wを示しながら3本同時に充電が開始されました。
- Advertisement -
ただ、MicroSDカード等の外部ストレージに対応していないのは注意が必要です。とは言え、内蔵ストレージで22GBもあるので充分かもしれません。もちろん、機体後部のUSB-Cポートにケーブルを挿せばPC等に外部メモリとして認識され、撮影したデータをコピーさせることができます(スマートフォンに無線通信でコピーすることもできます)。
その他
映像伝送システム | O 4 |
最大伝送距離 | 6km |
ストレージ | 内部ストレージ22GB・MicroSDカードは非対応 |
バッテリー | 公称電圧7.3V・1,435mAh |
充電時間 | 充電ハブ:約60分(3つのバッテリーを同時充電)・機体直接:約50分 |
DJI NEOの機体観察
では、DJI NEO の機体をじっくりと観察してみましょう。ぱっと見はFPV機、最近のDJIではAVATA 2に似たデザインをしています。
まず目につくのは、360°全周囲を囲ったプロペラガードです。デザインもよく見るととても考えられていて、強度もありつつ柔軟性も保っています。レビュー記事作成用にいろいろな方法で飛ばしつつ何度もクラッシュしたのですが、ぶつかってしまった壁や家具も含めてまったく破損することはありませんでした。
また、機体前方上にあるのはクイックショットの選択ボタンです。機体を送信機やスマホに接続しなくても、このボタンで飛行パターンを選択するだけで被写体を追従する「フォロー」や、被写体のアップから遠ざかる「ドローニー」、真上に上昇しつつ真俯瞰映像を撮影する「ロケット」など、自動飛行撮影をすることができます。
カメラも見てみるととてもコンパクト。このサイズで1/2インチセンサーが搭載されているなどとても想像できません。また、カメラ周辺は機体カウルがカメラを囲うようなデザインになっているので、壁などに正面衝突してもカメラ本体が傷つくことから守ってくれます。
機体体部にはバッテリーとセンサー類があります。センサーは床面までの距離を測るToFセンサー×2と画像解析で測位するビジョンセンサーが1つ。これらのセンサーで低空でも安定した飛行をすることができます。
標準の送信機はおなじみのRC-N3タイプ。モニター一体型のDJI RC 2 送信機や、DJI Motion 3、DJI FPV送信機 3 にも対応しているので、目的に合わせて選択するとフライトをさらに楽しめそうですね。
DJI NEOのVLOG用自動飛行撮影
さて、さっそくDJI NEOを飛ばしてみましょう。何より今回の目玉はVLOG撮影用のクイックショットです。これまでもクイックショットの機能を搭載した空撮機はあったのですが、DJI NEOが"VLOG撮影用"とする所以は、音声収録に対応していることです。試しに定番の「ドローニー」で撮影してみました。
びっくりすることに、プロペラの音がほとんど入っていません。実際にはプロペラ音はそれなりにしており、音声が録れているか心配だったのですが、これならまったく問題がありません。音声は手元のスマートフォンから録っているので、機体と被写体の距離に関係なく一定の音量で録音ができるようです。
また、各飛行パターンの距離や高さはDJI FLYアプリとWifi接続することで変更できるので、屋内では近め、屋外では遠くまで飛行…といった使い分けもできます。場合によってはDJI FLYアプリとのWifi接続によるバーチャルスティック操縦モードで、RC-N3などの物理的な送信機を使わずにスマートフォンだけで操縦することもできるので荷物にもならず、旅行などでDJI NEOをちょっとカバンに入れておくのも楽しそうです。
ただ、機体が操縦者の視界から消える自動飛行は航空法上の「特定飛行」(国土交通省の飛行許可承認が必要)になります。特定飛行において自動飛行を実行する場合には、送信機やスマートフォンと接続しないまま飛行させた場合、航空法違反になってしまいます(航空法では、特定飛行時、緊急時などに操作介入ができるように、ドローンは送信機やスマホと接続されている必要があります)のでご注意ください。
※特定飛行において、自動飛行を実行する場合には、送信機またはスマホに接続した状態で飛行するようにしてください。なお、特定飛行以外で飛行させる場合や屋内で飛行させる場合には、上記の制限はありません。
空撮機としてのDJI NEO
空撮機(RC-N3やRC2送信機を利用)として安定した映像を撮影することができるのもDJI NEOの特徴のひとつです。特に、機体サイズが小型なので、屋内の撮影や狭所の撮影などにも活用ができそうです。例えば、バスケットボールの視点で3ポイントシュートを決める…こんな映像も簡単に撮れてしまいます。
小型FPV機としてのDJI NEO
意外と楽しかったのはDJI Goggles 3 +DJI Motion 3 の組み合わせです。RC-N3送信機で操縦していたときは画面の水平が安定したDJI空撮機らしい映像を撮ってくれたDJI NEOですが、DJI Goggle 3+DJI Motion 3 の組み合わせでは画面の水平を傾けた臨場感あるFPV映像を楽しませてくれます。小型の特性を活かして狭いところに入ったり、地面スレスレの迫力のある映像を撮ったりすることができそうです。操縦時の最小回転半径も小さくなるように設定が変わるようで、クイックなターンで操縦することができました。
また、筆者はマニュアルモード飛行をしないのですが、DJI FPV送信機 3 を接続すればセンサーにまったく頼らない「Mモード(マニュアル飛行)」も可能です。筆者のようにマニュアルモードになれない人は、DJI NEO を使って練習すると破損リスクも少なく練習でき、AVATA 2 やほかのFPV機でもマニュアルモードで操縦ができるようになるかもしれませんね。
ホビードローンとして最高のドローンがついに誕生!
DJI NEOを使って感じたことは、やっと "本気で遊べる" ドローンが登場した!…ということです。自動飛行撮影機能を持ったドローンはこれまでもありましたが、そのコンパクトさで手動操縦もしたいというニーズに答えられていませんでしたし、FPV機の AVATA 2 も楽しいドローンですが、ちょっと遊びたいというニーズにはtoo muchなサイズと機能でした。
そこに登場した軽量コンパクトで本格的な撮影をさまざまな操作方法で楽しめる DJI NEO。さらに加えてリーズナブル(機体のみで税込33,000円、送信機+予備バッテリー等のセットで税込57,200円)と来れば、手に入れないわけにいかないですね。