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オンラインで注文した商品を家まで届けてくれる宅配サービスはもはや当たり前になり、欧米では空から荷物を届けてくれるドローン宅配サービスもどんどん普及しています。日本のドローン宅配は陸路での配送が難しい山間部が中心ですが、米国では都市部でも買物に出かけるには自動車で数十分かかることから、ウォルマートなどのスーパーを中心にドローン宅配を進める動きが加速しています。
今年1月にラスベガスで開催されたCESでも、ウォルマートはミニパビリオンのようなブースを出展し、宅配ドローンがどのように荷物を届けてくれるのかを、映像にあわせてシートが動く4Dライド方式で体験できるアトラクションスタイルのデモで紹介していました。
商品を注文すると倉庫から荷物がピックアップされ、裏にずらりと待機しているドローンたちが専用パッケージに入れられた商品をセットされるやいなや空へと飛び立ち、家の庭先まで運んでくれます。
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ウォルマートではこの2年間で、Wingのドローンを利用した宅配サービスを7つの州と36の店舗で展開しており、利用ニーズが高まっているというのがわかります。さらに年内には、テキサス州ダラス内の都市圏で2ヶ所同時にサービスを追加すると発表しており、その際に使用する宅配ドローンは、医療品のドローン配送サービスで知られるZiplineが新しく開発した「Platform 1」と「Platform 2」(以下、P1,P2)を使うドローン宅配システムを採用することが決まっています。
現在、Ziplinesが日本を含む世界各地で実用化しているのは、運ぶ荷物にパラシュートを付けてドローンで目的地へ落下させる方法ですが、これを都市部で実現するのは難しく、パラシュートの回収も課題になっていました。
そこで新しいシステムでは、まず目的地の上空まではP1と呼ばれるVTOL機を使って荷物を運び、その中に格納されたドロイド型ミニドローンのP2で荷物と届けるというアイデアが採用されています。
商品を注文すると自動でP2に載せられ、外に待機しているP1がP2を吊り上げて本体に格納すると目的地へと飛び立ちます。目的地の上空に到着するとP1はホバリングし、そこからテザーを使ってするするとP2を下ろし、正確な位置に着地すると本体の下がパカッと開いて荷物を置き、再びP1へと戻されます。
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本サービスの大きな特長は、P2が荷物を格納するだけでなく本体に3つのローターが搭載されていて、単体でドローンとして安定した飛行ができることにあります。正確な場所にドロイドを下ろすのはテザーを使っていてもかなり難しく、複数のセンサーとローターを使うことでようやく実現できたとしています。また、P2を使うことで悪天候でも荷物が届けられるようになりました。
そうした機能もさることながら、P2の開発では「空から降りてきても威圧的にならないデザインにした」といいます。というのも、ドローン宅配便はその性能よりも、「頭の上を飛び回るのは危険だし、監視されているようでイヤだ」という声によって長らく実現しませんでした。
同じくドローン宅配を展開するAmazonが苦戦しているのもそうした声がいまだ少なくないからで、それに対してウォルマートが成功しているのは、最初から宅配パッケージにこだわり、むしろ欲しくなるようなデザインにしたところにあります。
ZiplineはP2を開発段階からデザインを何度も改良し、かわいいイルカの姿を参考にするところから最終的には、ぽってりしたアザラシの赤ちゃんのような形にしました。着地するのに使う小さな足も含めて見た目がとても愛らしく、こんなドロイドが自分の家に飛んでくるなら、何度でもサービスを使いたくなるかもしれません。
IEEE Spectrumに掲載されたZiplineのP1とP2の開発インタビューは機能面も含めてとても興味深いので、ぜひ一読することをおすすめいたします。
インタビューを読んでわかるのは、愛らしい見た目はドローン宅配システムでは必須の要素かもしれないということです。例えば、スウェーデンに本社がある通信業者のTele2は、同じくスウェーデンに本社を置く食品配達サービスのfoodoraと組んで、5GとIoT技術を融合させたドローン宅配サービス「Foodora Air」を開始しますが、そこではピンク色の目を引く人形のようなデザインをしたドローンが使用されることが発表されています。
詳細はまだ公開されていませんが、こちらもテザーを使って上空から荷物を届けるシステムになっているので、どのようなパッケージを使うのかが気になるところです。
ちなみにTele2とfoodoraはFood Airとは別に、地上を走る自律宅配ロボットサービス「Doora」を開始していますが、こちらも街中を走っていても抵抗がないようまるっとした愛嬌のあるデザインになっています。場合によっては二つのサービスを組み合わせるものになるかもしれませんが、その姿を目にするようになるのはそう遠くなさそうです。