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コラム小林啓倫

[小林啓倫のドローン最前線]Vol.09 ソーシャルメディアで加速する「ドローン生中継」の世界

2016年5月17日


 

2010年代に入ってホビー用ドローンが流行した一因として、その空撮性能が挙げられることが多い。高性能のジンバルが備えられていたり、機体に内蔵されていたりとその形態はさまざまだが、手軽に上空からの撮影を可能にするドローンは、空撮を誰でも楽しめるものにしたと言えるだろう。

 この空撮という楽しみ方が、さらに広がる可能性が出てきている。大手ソーシャルメディアが、ドローンによる生中継(ライブストリーミング)への対応を始めているのだ。その一例がペリスコープ(Periscope)である。同社の立ち上げは2014年2月だが、アプリ発表直前の2015年1月にツイッターに買収され、傘下に入る。そして同年3月にリリースされたのが、スマートフォンからの生中継とソーシャルメディアを組み合わせた「ペリスコープ」である。

kobayashi09_peri

ドローン生中継に対応したペリスコープ

 

ペリスコープを使うことで、自分で生中継をしたり、他人の生中継を楽しんだりすることができる。ツイッターと連動しているので、ツイッター上でフォローしているユーザーであれば、簡単に探すことが可能だ。操作は簡単で、メニュー上から配信を選択すればカメラが起動され、すぐに配信を行うことができる。配信に対して投稿されたコメントは、中継されている映像の下に一緒に表示されるので、いちいち画面を切り替えたり、他の画面を見たりするなどして気を取られることがない。この手軽さが受けて、ペリスコープは発表から半年も経たない2015年8月、ユーザー数が1000万人を超えたことを発表。さらに12月には、アップルから「アイフォーン・アプリ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。

そのペリスコープが進めているのが、ドローンへの対応だ。2016年1月、彼らはゴープロ製アクションカメラへの対応を発表。ヒーロー4などのカメラがアイフォーンに接続されていると、ペリスコープがそれを自動認識し、撮影した映像を生中継することが可能になった。さらに5月には、DJI製ドローンへの対応を行っている。特性カメラが搭載されている最新機種でも、簡単に空撮の生中継ができるのだ。どのカメラから配信を行うかは、中継中でもアプリ上から切り替えることができる。そのため地上の様子を伝えつつ、上空からの映像に切り替えて、目の前で起きていることの全体像を伝えることが可能だ。

フェイスブックもDJI製ドローンへの対応を発表

 さらに2016年4月、世界最大のソーシャルメディアであるフェイスブックが、DJI製ドローンへの対応を発表している。 フェイスブックは年に一度、「F8」と呼ばれる開発者向けのカンファレンスを行っている。そこで今後追加される機能や、フェイスブックが取り組んでいる技術課題や先進的テーマなどが発表されるわけだが、今年発表された目玉のひとつが「ドローンからの生中継への対応」だった。

実は最近、フェイスブックは生中継コンテンツに力を入れている(その背景には前述のペリスコープの成功があるとも言われる)。フェイスブックを使われている方々は、プロモーションとしてさまざまなメディアの生中継映像が表示されているのに気づかれたのではないだろうか。友人たちの近況アップデート、ニュース、各種の写真や動画に続いて、ユーザーのサービス利用時間を延ばすためのカギとしてフェイスブックが位置づけているのが「生中継」である。

フェイスブックのアプリ上では既に対応が行われており、ユーザーも生中継を行えるようになっているが、F8ではこの生中継用のAPIを開発者に公開することが発表された。さらにペリスコープのように、生中継用の専用アプリを開発中であるとも報じられている。そして生中継という文脈でもうひとつ発表されたのが、DJI製ドローンへの対応というわけである。どのモデルへの対応が行われるのかは明らかにされなかったが、F8の壇上にはファントム4が登場し、実際に生中継用APIを通じて撮影した映像をライブ配信するデモが行われた。

F8会場でフェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグの姿を生中継するファントム4

フェイスブックのアプリにどのような形でドローン生中継が組み込まれていくかは不明だが、DJIユーザーにとっては、ドローンの楽しみ方がフェイスブックを通じてさらに広がっていくことが期待できるだろう。

ソーシャルやエンターテイメントを目的としたドローン生中継は、レース映像の配信や観光への応用など、さまざまな可能性を秘めている。大手サイトがドローン生中継を容易にする機能を次々に発表していることは、この可能性をさらに広げ、具現化するものと言えるだろう。一方で生中継アプリについては、プライバシーなどの観点から問題点も指摘されている。実際に犯罪や自殺、不正行為など、衝撃的な場面を配信するユーザーが現れている。そこに空撮という可能性が加わることは、問題をさらに拡大しかねない。

少なくともドローンと生中継、ソーシャルメディアの融合は、そのすべてを私たちにとってより身近なものにするだろう。テクノロジー面の進化だけでなく、ルールやユースケースという点でもより良い方向に発展することを期待したい。

TAGGED: Facebook, Periscope, 小林啓倫のドローン最前線
Editor 2016年5月17日
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