テラ・ラボは、3つの長距離無人航空機、現地の運航管理を担う車両、パラボナアンテナや航空レーダーなど、災害対策DXを推進するための統合ソリューションを大々的に展示した。大規模災害が起きたとき、中継装置を搭載した車両で現地付近まで向かい、そこから長距離無人航空機を飛ばして広域な観測データを取得して、人命救助とその後の救援・復旧作業に役立てるという。
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こちらは、2つの固定翼機。写真中央が翼長8mの大型機で、重量は約80kg、ペイロードは約40kg、巡航速度は100km〜150km/時、最大速度は250km/時、最大航続時間は20時間、最大航続距離は2000km、最大飛行高度はなんと2万mになるという。
そして写真左手が翼長4mの機体。寄って撮影したのがこちらだ。
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重量は約20kg、ペイロードは約10kg、巡航速度は100km~150km/時、最大速度は250km/時、最大航続時間は10時間、最大航続距離は1000km、最大高度は6000mだ。試験飛行を繰り返して制御技術などの開発を進め、オリジナル機に搭載に成功したところだという。
そして今回の展示では、回転翼機のモックアップも披露された。全幅3300m、重量50kg、ペイロード10kg、巡航速度15~20km/時、最大速度35km/時、最大航続時間は2時間、最大航続距離は40km、最大高度は2000mだ。固定翼機では難しいホバリングでの詳細観測や、小回りをきかせた狭域観測に用いる予定だという。
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長距離無人航空機の運航管理を行う車両型地上支援システムの内部には、さまざまなデータをリアルタイムに確認して本部と連携するためのモニターが複数設置されていた。
車両は、衛星通信を3回線、携帯電話を最大8回線、長距離無人航空機からリアルタイムで送られてくる情報を長時間解析するための発電システムも備えているという。衛星通信はLTEと比べて通信速度が遅いため基本的には機体制御に用いるが、圧縮データでもすぐに現状を確認して初動を決めたいという場合には、衛星通信でのデータ伝送も可能だ。
また、長距離目視外飛行の安全性を確保するため、2.4GHz帯の電波をより遠くに飛ばすためのパラボナアンテナ(写真奥)や、高性能な航空レーダーの導入も予定しているとのこと。運航管理システム上の情報には含まれない、例えば無許可飛行などの予期せぬ飛行物体との衝突を回避するためだという。ちなみに、1cm四方のものでも3.5km先で検知できるほどの性能だ。
テラ・ラボは今年の秋、災害対策を行う長距離無人航空機の新拠点「TERRA LABO Fukushima」を福島県南相馬市に竣工予定で、初日の出展者ワークショップではその構想について発表もあった。
これまでの取り組みのなかでは、福島県南相馬市で実際に土砂災害が起きた際、災害現場の画像データから3次元モデルを生成して、土砂流出がどれほど起きているのか、流出した先でどんな二次災害が起きて誰がどんな被害を受けるかなどの解析情報を、災害対策本部に提供することも試みたという。