デザミス株式会社と宮城県酪農農業協同組合(以下:宮城県酪)は、酪農現場における暑熱ストレスの軽減と生乳生産量の安定化を目的とした、ドローン施工※による「酪農施設暑熱対策緊急実証事業(以下:本事業)」のモデル施工を行った。
今回は、宮城県内の6つの酪農家の牛舎にて施工を実施、ドローンを活用した効率的な暑熱対策の有効性や、現場導入に向けた運用面の確認を行っている。
※清掃機器の世界最大手メーカー、ドイツ・ケルヒャー社(日本法人、ケルヒャー ジャパン株式会社、以下:ケルヒャー ジャパン)と株式会社スカイコードは、ドローンに高圧洗浄機を搭載した「空飛ぶ高圧洗浄機」を共同開発した。
本事業の目的
近年の異常気象による猛暑の影響で、県内の酪農現場では生乳生産量の減少が深刻な課題となっている。宮城県酪は、組合員である酪農家が持続的に経営を行えるよう暑熱対策を強化するため、本事業を開始した。ドローンを活用して牛舎の屋根面に耐久性のある遮熱剤を塗布することで、牛舎内温度の上昇を低下させることにより、夏場の生乳生産量の減少幅を抑えるとともに、繁殖成績の向上を目指す。
暑熱対策をドローン洗浄で効率よく
遮熱剤の塗布前には、施工面の洗浄が必要である。汚れを落とすことで、密着性と遮熱性能を最大限に発揮させ、耐用年数を高めることにもつながる。従来の屋根洗浄・遮熱剤塗布は、高所での作業において足場設置が必要となり、作業者にとって危険かつ非効率な作業であった。また、長期間にわたる工期とコスト増も、課題となっていた。
こうした課題を解決するためにデザミス※はスカイコードと業務提携契約を締結し、「空飛ぶ高圧洗浄機」を用いたドローンによる洗浄と遮熱剤塗布を行うサービスを提供してきた。足場不要・非接触で安全に洗浄と塗布ができるほか、高所・傾斜面など従来困難だった場所にも施工が可能である。作業環境の改善にも貢献するだけでなく、畜産業界が抱える様々な課題解決が期待される。現場ごとの暑熱対策も組み合わせることで、課題解決と持続可能な畜産経営の実現を支援していく。
※本施工サービスを提供する「U‐マルシェ」を運営。
U-motionと連携し、遮熱効果を検証
施工後の牛舎において、これまでの牛の採食時間や行動の変化を、牛の行動モニタリングシステム「U-motion」※で確認することができ、暑熱対策による有効性を確認することができる。

※牛に取り付けたセンサーで牛の行動を24時間365日モニタリングし、AIで分析することで、疾病傾向、発情兆候、分娩兆候、起立困難などの異常を検知してしらせる畜産DXソリューション。
2025年6月に徳島県の酪農家で実施されたドローン施工では、U-motionを活用した効果検証が行われている。昨年と同等の気温環境下にもかかわらず、施工後に採食時間が約10%増加、横臥時間も微増するなど、牛がより過ごしやすい環境へ改善傾向が確認されている。行動の変化は乳量へ影響するため、U-motionによる行動と乳量の関係を分析することで、経営判断に役立てることができる。
2024年と2025年、徳島県の月毎の平均気温について(参考:国土交通省気象庁)

U-motion行動分析グラフ


※徳島県内の酪農家にて実施
※施工実施日 洗浄:2025年5月29~31日 塗布:2025年6月5~6日
暑熱対策の標準化と持続可能な酪農経営を目指して
本事業は、ドローンを活用した暑熱対策が補助事業として初めて採択された取り組みである。今回のモデル施工で得られた知見をもとに、宮城県酪とデザミスは、組合員の酪農家への導入拡大を進めるとともに、全国の酪農現場に向けた暑熱対策のモデル事例として発信していく。
「施工して終わり」ではなく、採食時間や行動の変化をデータに基づき効果の検証が可能となるため、今後の経営判断に役立てることができる。


今年の夏も猛暑となり、組合員の酪農家からは「牛舎が冷えない」「出荷乳量が戻らない」といった声が多く寄せられています。
今回のテスト施工は、これらの課題に対して新たな選択肢を提示するものであり、酪農現場における暑熱対策の強化に向けた大きな一歩と考えています。
ドローンを活用した遮熱施工は、従来の施工方法では困難だった高所作業の安全性向上や作業時間の短縮に大きく寄与するものであり、実用化に期待を寄せています。
引き続き、デザミスをはじめとする関係企業と連携し、組合員の皆様が安心して酪農経営を続けられる環境づくりを進めてまいります。