Terra Drone株式会社(以下、テラドローン)は、サウジアラビアでプラントおよびインフラの点検事業を手がけるNational Inspection & Technical Testing Company(以下、FAHSS)と、同国のプラントおよびインフラ設備の点検分野におけるドローン技術の社会実装を推進するための覚書(Memorandum of Understanding、以下、同MOU)を締結した。同MOUは、テラドローンの子会社でサウジアラビアに拠点を置くTerra Drone Arabia(以下、テラドローン・アラビア)を通じて締結されたもので、現地で豊富な実績と信頼を持つFAHSSとの戦略的な事業連携を目指すものだ。これによりテラドローンは、成長が期待される同国の点検市場において、ドローン技術の社会実装をさらに加速させることを目指す。
MOU締結の背景と目的
サウジアラビアは、石油・ガス、石油化学、エネルギーといった主要産業が活発であり(※1)、プラントおよびインフラ設備の点検需要は世界有数の規模を誇る。同国政府は「サウジビジョン2030」(※2)を掲げ、最新技術を取り入れた社会の近代化を目指しており、ドローンの活用も強く推進されている。
特にプラントおよびインフラ設備の点検においては、省力化および作業効率・安全性向上の観点からドローン活用の需要が高まっている。一方で、有資格の操縦士や認定点検技術者の不足が課題となり、技術の本格的な導入・普及はまだ限定的だ。
FAHSSは、サウジアラビアを拠点にプラントおよびインフラの点検・認証・技術者研修・監査を手がける企業であり、同分野で高い専門性を有している。ドイツの第三者認証・検査機関であるTÜV NORDグループのサウジアラビア現地法人として、中東湾岸地域(※3)における中核企業の役割を担っている。
同MOUは、サウジアラビアの点検分野におけるドローン技術の社会実装に向けた第一歩として、現地でドローン点検技術を展開するテラドローン・アラビアと、現地のプラントおよびインフラ設備を保有する顧客とネットワークを持つFAHSSとの連携により実現した。
※1 外務省「サウジアラビア基礎データ」
※2 サウジビジョン2030
※3 中東湾岸地域:サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェート、オマーン、バーレーンの6カ国を指す。
MOUの内容
テラドローンは、以下の領域においてFAHSSとの連携を推進する。
対象物:
- 屋内プラント設備(タンク・ボイラーなど)
- 高所にあるインフラ設備(フレアスタック、送電塔など)
点検内容:
- ドローンを活用した目視点検、超音波点検、熱画像点検
テラドローン・アラビアは、これまでテラドローングループが培ってきたドローンソリューションを活用し、サウジアラビア国内におけるプラントおよびインフラ設備の点検に取り組んできた。今後は、同社が現地で培ってきた実績に加え、FAHSSが持つ技術的知見と業界ネットワークを融合させることで、プラントおよびインフラの点検分野におけるドローン技術の社会実装を目指す。
代表コメント
FAHSS CEO サレハ・H・アル・スウェイティ(Saleh H Al Suwaiti)
今回のテラドローン・アラビアとのMOUを通じて、ドローンを活用した検査ソリューションが、当社の点検・認証・技術者研修・監査における知見を、さまざまな産業分野でどのように社会実装できるかを進めてまいります。ドローン分野におけるテラドローンの高い専門性を活かし、本連携が新たな業界基準や模範的な運用方法の確立につながると確信しています。
今後の展望
本MOUの締結により、テラドローン・アラビアが有するドローン技術と、FAHSSの点検事業に関するノウハウを組み合わせ、以下の取り組みを通じてドローンを活用した点検業務の社会実装を目指します。
- サウジアラビアにおけるドローン点検技術の普及と制度整備の促進
- 2025年12月までに、両社共同でのドローン点検サービスの提供を開始
- 「サウジビジョン2030」に沿った技術人材の育成やおよび省力化・省人化への貢献
テラドローンは、2025年4月にサウジアラビアの総合エネルギー・化学企業アラムコと、同国のドローン市場拡大に向けた覚書を締結している。その取り組みの一環として、国営人材開発機関であるITQAN Instituteと、ドローン点検に関する人材育成プログラムの開始に向けた覚書も締結しており、インフラの点検分野におけるドローン技術の普及を推進している。
今後もテラドローンはFAHSSとの連携を通じて、石油・ガス、石油化学、エネルギーなどの主要産業分野における点検業務へのドローン導入、サービス展開、現地人材の育成に取り組む。さらに本取り組みを通じて、ドローン点検技術が業界で認定・承認された標準技術として定着し、中東地域全体での導入が進むことを目指す。
なお、本件に関する2026年1月期業績への影響は軽微と考えているが、今後、公表すべき事象が生じた場合には、速やかに知らせる。