同サービスは、2021年9月29日に発行されたドローン用地理空間情報に関する国際規格「ISO 23629-7 UAS traffic management (UTM) — Part 7: Data model for spatial data」に準拠した世界初のAPIサービスだ。
- Advertisement -
サービス開発の背景
2022年12月より有人地帯での目視外飛行が解禁されるなど、ドローンは、幅広い分野での活用が期待されている。一方で、飛行の実現に不可欠な"空の道"である飛行経路の構築には「経路計画に掛かる作業工数の多さ」、「設計者のスキルに左右されるルートの正確性」など、コスト面・安全面での課題が多く残っている。
ゼンリンはこの課題を解決するため、これまで全国各地で行ってきたドローンの実証や実装の知見を活かし、作業者のスキルや経験値に左右されない、安全な飛行経路設計を支援する機能を開発。ゼンリンが保有する各種地図情報を活用できる地図API「ZENRIN Maps API」に「ドローンルート検索機能」、「ドローンルート評価機能」の機能を追加し、提供を開始した。
「ドローンルート検索機能」「ドローンルート評価機能」概要
今回APIとして提供するのは、ドローンが安全に飛行するための「ドローンルート検索機能」、「ドローンルート評価機能」だ。「ドローンルート検索機能」では、ゼンリンの地図データベース上で飛行経路の出発地点と到着地点を入力することで、経路周辺の地物(道路・建物・水路等)情報と、ドローンが落下した際の分散範囲を計算し、リスクの最も低い安全な飛行ルートを自動生成する。
- Advertisement -
「ドローンルート評価機能」は、同APIを使用せずに作成した飛行ルートでも、座標を入力することで安全性を検証することができる機能。同機能の提供を通じ、専門スキルが求められる経路設計業務の属人化解消に貢献するとしている。
利用時の設定可能項目
経路探索 | 始点・終点の指定 | 始点・終点の座標を入力。座標を地図上で選択。 |
経由地の指定 | 経由地の座標を入力 or 座標を地図上で選択。 | |
飛行高度の指定 | 対地高度で飛行高度を入力。(m) | |
経路探索補助 | 対人工地物距離 | 人工地物と何m離れて飛行を行うかを指定する。 |
対自然地物距離 | 自然地物と何m離れて飛行を行うかを指定する。 | |
優先・回避地物リスト | 建物 (飛行禁止施設・人口密集施設・一般家屋) 交通 (高速道路・一般国道・都道府県道・その他・鉄道) 水系を選択し、選択された地物の上を優先的に飛行する。 |
|
風速 | 飛行時の風速を入力。(m/s) | |
最高対地高度 | 最高対地高度を入力。(m) | |
飛行速度 | 飛行速度を入力。(m/s) | |
飛行許可・禁止エリアの指定 | 飛行許可エリアの指定 | 飛行許可エリアの任意の形状を描画して座標を指定。 |
飛行禁止エリアの指定 | 飛行禁止エリアの任意の形状を描画して座標を指定。 |
今後の展望
地理空間情報の利活用拡大により、物流・点検・測量等のさまざまな分野におけるドローンの産業利用推進を支援し、社会課題の解決の一翼を担うとともに、便利で安全な空のインフラ構築に寄与することを目指すという。
"ドローン用地理空間情報に関する国際規格"に準拠した世界初のサービス
ゼンリンは一般財団法人日本気象協会、株式会社三菱総合研究所の2者と連携し、ドローン用地理空間情報に係る世界初の国際規格「ISO 23629-7 UAS traffic management (UTM) — Part 7: Data model for spatial data」を提案し、2021年9月29日(水)に国際標準化機構(ISO)より発行を受けた。
同規格は、(1)地形や離着陸エリアなどを示す「地図情報」、(2)ドローン飛行において障害物となる建物や鉄塔などの「障害物情報」、(3)飛行禁止エリアやドローンの飛行ルートなどを示す「仮想データ」、(4)気象情報や他の航空機の位置など時間的に変化する「動的データ」の4階層で構成されており、今回「ZENRIN Maps API」に追加する「ドローンルート検索機能」、「ドローンルート評価機能」は、同規格に準拠した世界で初めてのサービスだ。
ゼンリンのドローン関連の取り組みについて
ゼンリンは2016年にドローン事業推進のための専任組織を新設し、以降ドローン物流に関する実証実験を全国各地で実施してきた。2021年には長野県伊那市において、河川上空を「空の道」とした、自治体運営による10km以上の長距離ドローン配送サービスの社会実装をゼンリンで初めて実現したほか、2023年には埼玉県秩父市において、土砂崩落が発生し、物流が寸断された地域住民への冬季期間の生活支援を目的にドローン定期配送を実現し、被災地域への食品や日用品、医薬品などの短時間配送に貢献したとしている。