なお、「Satellite Mobile Link」で水力発電ダムの通信環境を構築した事例は、国内初となる。
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本実証では、人に代わり、自律飛行型ドローンがダムから半径約2km圏内の点検飛行を行い、ダムに異常がないかを、遠隔地からでもリアルタイムに把握可能なことを確認した。地震時一次点検業務の効率化促進により、危険な保守・点検業務から作業員の人命を守ることに貢献するという。
KDDIは2024年5月から、クライアントの事業成長・社会課題解決へ貢献するため、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX」を始動した。WAKONXを通じて、老朽化するインフラ施設の保守点検業務の効率化などを目指すとしている。
背景・目的
- 葛野川ダムにおける地震発生後の一次点検では、作業員が必ず現場へ出向く必要があった。管轄事務所からダムへの移動経路は、道路の陥没や落石などにより安全状況が不明で、人命に関わるリスクが非常に高いことに加え、ダムでも一定時間内に全ての点検箇所を目視確認して報告をしなければならないなど、有事においてダムの健全性を迅速に把握することが困難だ。
- 迅速な状況把握のためにドローンなどの活用が期待されていたが、ダム外部からの通信回線の新規引込みが困難など多くの課題があり、通信環境の改善がなかなか進んでいまない。
- KDDIは、通信不感エリアに「Satellite Mobile Link」を設置することで、携帯電話による音声通話やデータ通信の利用、現場の作業員への遠隔支援や緊急時の連絡などに加え、ドローンやロボットを活用した遠隔でのインフラ点検やメンテナンスなどを実現可能にする。
実施内容
「Satellite Mobile Link」の設置による葛野川ダムの4G LTEの通信エリア化
KDDIが葛野川ダムの水門上部に、Starlinkと4G LTEアンテナを一体にした架台型の「Satellite Mobile Link」を設置したことにより、最小限の設備でダムの堤体から調整池上流部約2キロメートルの範囲まで通信環境を構築し、緊急通報を含めた音声電話や、データ通信が可能となった。
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これにより、現場の状況を遠隔で確認することに加え、作業支援や緊急対応時の関係者との迅速な連絡などのICT活用を進めることができる。
自律飛行型ドローンの活用
「Satellite Mobile Link」の4G LTE活用により、自律飛行型ドローンがダム堤体から半径約2キロメートル圏内の状況確認を遠隔かつ自動で行うことが可能。これにより、ダムにおける点検業務の省人化・効率化が進むとともに、現場へ向かう道路の陥没・落石などによる人身災害のリスクを低減できる。
使用機体について
G6.0 & NEST(自動充電ポート付ドローン)とSkydio X10(AI搭載自律飛行ドローン)の2種類の機体を使用した。
G6.0 & NESTは飛行から充電までを全て自動だ。4G LTE通信回線によるインターネット接続を実現することにより、遠隔地から飛行実行や現地の映像をリアルタイムに確認できるほか、ドローンで撮影された映像・写真をクラウドに格納することで、ドローンを操作することなくデータを取得する。