MOUに基づき、今後、1年間に渡り共同で、エアロネクストの新型ドローン機体の揚力の最適化、抗力の低減、全体的な空力効率の確保等を焦点に詳細な空力学的な解析、研究活動を行い、また、持続可能な社会の更なる実現に向けた工学人材育成のための効果的なパートナーシップを構築した。
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なお、11月6日に開催された「モンゴル-日本 共同研究・産学連携セミナー2024」の会場であるJICA緒方貞子平和開発研究所にて本MOUの締結式と発表が行われた。
エアロネクストは、独自の機体構造設計技術4D GRAVITYを搭載した次世代ドローンの研究開発や新たな特許技術を自社で開発している。また、社外の連携パートナーと共に機体や関連製品の共同開発や開発受託も行っている。
コアテクノロジーの機体構造設計技術4D GRAVITYは、重力、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる技術で、産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構成し、4D GRAVITYライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに推進している。
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モンゴル科学技術大学はモンゴル国の国立大学で、1959年にモンゴルで初めて土木工学と工業経済分野における人材育成を担って以来、今年度で65周年を迎えたエンジニア人材創出において由緒ある大学だ。
現在、12学部を有し、ウランバートル市、エルデネト市と南ゴビ県に3校の日本式の高専も付属にあリます。中でも、機械工学部の卒業生は、交通及び航空業界の就労者の8割強を占めるなど、モンゴルの産業、道路・運輸分野をリードする工学部である。
また、UAVやドローン技術開発においては、ウィング・プロペラ、そしてエンジンの研究を、地上走行試験、風洞実験により実施しており、M-JEED事業の共同研究プログラムの一環で長岡技術科学大学と協力し、最新のCFD分析を行っている。
共同研究の背景・目的
モンゴルにおいてエアロネクストは、JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に2022年度、2023年度連続で採択され、「モンゴル国ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業」に取り組んでいる。
その活動において、昨年11月には4D GRAVITY搭載の物流専用ドローンAirTruckを使用して、国立輸血センター、モンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院間で自動航行による飛行を実施し、成功させた。
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ウランバートル市は標高1,300mという位置にあり、また当日は極寒の外気温-15℃という過酷な環境下、日本でいうところの「レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)」に該当する第三者上空における自動航行による飛行の成功は、機体性能面においても大きな成果となった。
その後、現地のパートナーであるNewcom Groupとエアロネクストは現地での運航体制の構築の準備を重ね、Newcom GroupのMSDD(Mongolia Smart Drone Delivery) は、本年6月にモンゴル国民間航空庁(通称MCAA)からモンゴル国初となるドローンの商用飛行ライセンスを取得し、8月から、国立輸血センターから市内の3つの病院(日本モンゴル病院、アムガラン病院、第一母子センター)への血液のドローン配送の実運用がスタートしている。
定期的な運用と緊急対応で輸血用の血液のドローン配送を実施しており、8月から9月末までですでに50フライトを実施し、計178名の患者がドローン配送された血液で輸血を受けている。
継続的な事業推進のためにも、モンゴルの気候・気象条件(寒冷気温、標高、風等)で安全に運用できる機体開発は不可欠で、今回の共同開発となった。
以上の背景を受け、「ドローンの新機体についての空力(空気力学)の解析・評価」に関する総合的な研究活動と、持続可能な社会の更なる実現に向けた工学人材育成のための効果的なパートナーシップを構築していく。
今後、2者は協力して、主に以下の研究に取り組む。
共同研究の概要
機体構造設計技術4D GRAVITY®︎技術に基づく新型ドローン機体についての空力現象の解析・評価
- 大学の風洞設備を使用した実験
- 連携大学でのCFDシミュレーション分析
- モンゴルの自然環境への応用可能性の考察
エアロネクストは、モンゴルの気候・気象条件で安全に運用できる機体開発に役立つ研究を共同で行うことで、今後もドローン配送事業の構築によるモンゴルの渋滞や環境問題等の社会課題解決に貢献していくとしている。