ミッション2の目的は、ミッション1で得た成果を踏まえた、ランダーの設計・技術、および月面輸送サービス・月面データサービスの提供という事業モデルの更なる検証と強化で、スローガンは“Landing and Beyond”~月面着陸から月面探査へ~だ。
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ミッション2では、ispaceが中長期的に目指すシスルナ経済圏の構築を推進する上で重要施策となる、資源探査の初期的な取り組みを自社開発のTENACIOUS(テネシアス)ローバー(月面探査車)を用いて実施する。
RESILIENCEランダー開発進捗について
RESILIENCEランダーは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターで、2023 年からStructure Thermal Model(構造・熱モデル)の地上試験を開始し、2024年5月からは Flight Model(フライトモデル)の各種地上試験を順調にクリアしてきた。
ミッション1から得た貴重なミッション・データや知見を踏まえて、必要なソフトウェアの改良や着陸シミュレーション範囲の拡大、着陸系センサーのフィールド試験の追加実施等が反映され、ミッションの精度向上を図っている。
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また先月には、欧州法人である ispace EUROPE S.A が独自に開発し組立完成を発表したTENACIOUS(テネシアス)ローバー(月面探査車)もルクセンブルクから日本に輸送され、本ランダーのペイロードベイに格納された。
RESILIENCEランダーとTENACIOUSローバーは、今後最終試験フェーズを経て、打ち上げの地となる米国フロリダ州ケープカナベラルへ輸送され、打ち上げの時を待つという。
ミッション2着陸予定地について
また、ミッション2でRESILIENCEランダーが着陸予定となる月の地点を、「Mare Frigoris」(寒さ・氷の海、Sea of Cold)の中央付近とすることも併せて発表した。
着陸予定地点は、ペイロードのお客様に提供できるサービスを最大化することを目指し、着陸地点から遠く離れた飛行経路上でも、クレーターのような起伏の激しい地形が無い、平坦な場所を慎重に検証した。
月面着陸後、RESILIENCEランダー上部のペイロードベイに格納されたTENACIOUSローバーは、展開機構を用いて月面に着地した後、月のレゴリスを採取し、その所有権をアメリカ航空宇宙局(NASA)に譲渡する、月資源商取引プログラムを実施する計画だ。着陸地点の選定に当たっては、ローバーの動作環境条件に適した場所であることも考慮した。
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ispaceのCTOである氏家 亮氏のコメント
2023年4月26日のミッション1着陸挑戦後、あるエンジニアが贈ってくれた『Just Landed in our Hearts(私たちの心の中でランダーは降り立った)』というメッセージを、今、改めて思い返しています。期待してくださる皆様の想いを乗せて、RESILIENCEが月面着陸に再挑戦し、さらにその先の月面探査へとつながるミッション2の打ち上げ日を、自信を持って迎えたいです。
ペイロード顧客について
ispaceがミッション2で月面に運ぶ予定のペイロードは、これまでに発表した次の5点だ。
ミッション2ペイロード顧客
- HAKUTO-Rのコーポレートパートナーである高砂熱学工業株式会社の月面用水電解装置
- 株式会社ユーグレナの月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型のモジュール
- 台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発する深宇宙放射線プローブ
- 株式会社バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
- ispaceの欧州子会社ispace EUROPEが開発するマイクロローバー
この度、ミッション2の最後のペイロード顧客として、スウェーデンを拠点とするアーティストのミカエル・ゲンバーグ氏が取り組む“ムーンハウスプロジェクト”を、月面に輸送することを発表した。
ムーンハウスプロジェクトは、ミカエルが25年もの長きに亘って思い描き、望み続けた、芸術的かつ壮大な物語だ。スウェーデン調に白く縁どられたムーンハウスと呼ばれる赤い小さな家を建てるというこの構想は、ispaceとの出会いによってついに実現し、新たな可能性や発想を創出するきっかけとなることが期待されている。
ムーンハウスのペイロードは、TENACIOUSローバーの前方に固定され、月面へ輸送される。月面では、TENACIOUSに備えられた展開機構を用いて月面上へ展開され、TENACIOUSに搭載されたカメラで月面に建つムーンハウスを撮影予定だ。