福島第一原子力発電所 1号機原子炉格納容器(以下、PCV)内部調査において、これまでは主に地下階の調査が中心だったが、PCV全体の状況を把握することを目的に、今回PCV内部の気中調査が計画された。ペデスタル内の気中部を調査することは2011年の東日本大震災以降初めての試みであり、ドローンを活用することも初めての取り組みだ。
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「IBIS」を用いた調査は2日間に分けて行われ、計4機の「IBIS」を使用し原子炉格納容器貫通孔(X-6ペネ)やペデスタル内壁など、これまで確認ができていなかったエリアの撮影を実施した。撮影した映像から、内壁のコンクリートに大きな損傷がなかったことや、制御棒駆動機構交換用開口部付近につらら状・塊状の物体があることなどの確認に成功した。
従来、屋内の狭小空間を中心にソリューションを提供してきたLiberawareは、今回のプロジェクトを通じて得た成果を糧にし、より多角的にニーズに応え、成長を続ける企業を目指していくとともに、ミッションである「誰もが安全な社会を作る」ことの実現に向けて邁進していくとしている。
「IBIS」選定理由
- ●PCV内部は床面に障害物もあり溝や段差もあることから、障害物のない空中部分を往来できるドローンは、地上を這うタイプのロボットよりもスタックする可能性が低いと考えられること。
- ●Liberawareのドローン「IBIS」は狭小空間を安定して飛行することに特化して開発されたものであること。
- ●寸法が20cm四方と小さいうえに、超高感度カメラとLED照明により暗所であっても鮮明な映像を撮影することが可能であること。
- ●Liberawareはフライトコントローラーを独自開発しており、柔軟なカスタム対応が可能であること。
「IBIS」を活用した調査概要
2024年2月28日(水) (1日目)
ペデスタル外側の気中部を調査し、原子炉格納容器貫通孔(X-6ペネ)や制御棒駆動機構(CRD)の交換用開口部およびレール等の状態を確認し、現時点で確認できている範囲では設備や構造物に大きな損傷が無いことを確認
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2024年3月14日(木) (2日目)
ペデスタル内部の気中部を調査し、ペデスタル内壁、ペデスタル内構造物、制御棒駆動機構(CRD)ハウジングの落下状況等を確認しています。また、ペデスタル内部においては、CRD交換用開口部付近につらら状や塊状の物体があることや、内壁のコンクリートに大きな損傷が無かったことを確認
「IBIS」撮影写真
Liberaware代表取締役CEO、閔弘圭氏は次のようにコメントした。
私がドローンに出会ったのは、11年前、千葉大学が資源エネルギー庁から受託したプロジェクトに研究員として参加したことから始まりました。そのプロジェクトでは、福島第一原子力発電所の事故後の原子炉建屋内を自律飛行するドローンを開発するミッションに挑戦しました。技術の限界と闘いながら、多くの試練を経験しましたが、実証実験を最後にプロジェクトを終えることとなりました。 そして、11年の時を経て、再びそのミッションに挑戦する機会を得ました。今回はLiberawareの一員として、過去に私が果たせなかった夢を現実のものとし、社会に貢献できたことに心からの喜びを感じています。また、この機会を得られたことを、心から光栄に思います。Liberawareでは、これからもより高性能で使いやすい製品を開発することで、社会にさらなる貢献を目指します。