パナソニックエナジー株式会社は、米・カンザス州にEV用リチウムイオン電池の製造工場を新たに建設する計画を発表した。同州からの投資誘致補助金が承認されたという。同工場への投資額は約40億ドルとされており、最大で4,000人の新雇用を創出すると見込まれている。
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同社は2017年にネバダ州で、「ギガファクトリー」と呼ばれるTesla社EV向けのリチウムイオン電池の生産工場を稼働開始。今回の新拠点は米国2カ所目となる。大容量バッテリー「4680」を量産するとみられる。
新工場建設予定のカンザスは、米国の中央に位置し、東西への製品供給網としての地理的優位性を持つ。人口減少しつつある同州にとっても、今回の工場誘致はメリットが大きいとみられる。
ただ、Teslaの車載用バッテリーのサプライヤーについては、パナソニックだけでなく、中国・CATLや韓国・LGが供給している。また、Tesla自身でも開発・実用化を急いでおり、サプライヤーとしての立ち位置は必ずしも盤石ではない。
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一方、他社でも米国内におけるバッテリー工場建設が盛んだ。General MotorsとLGが約20億ドル以上、ジープやアルファロメオのブランドを抱えるStellantis N.V.とSamsungが約25億ドルを投資すると報じられている。今回のパナソニックの投資規模は、それらの倍の金額となっており、Teslaバッテリーの第1サプライヤーの座を維持したい考えであることは明らかだ。車両を増産し、EV市場のシェアを取り切りたいTeslaにとっても有利になる。また、パナソニック自身は、他社EVへの供給も目論んでいることは間違いないだろう。
パナソニック エナジー社長執行役員の只信一生は、以下のようにコメントしている。
自動車業界での電動化が進む中、その需要に対応するために米国での車載電池生産を拡大することは非常に重要です。
当社の優れた技術と豊富な経験により、今後もリチウムイオン電池業界の成長を牽引し、将来的なゼロエミッションの実現に向けた取り組みを加速してまいります。