3省ガイドラインおよび3省活用事例集との住み分け
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公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド(以下:RTF)は、「福島ロボットテストフィールドを活用した無人航空機利活用事業者認定とパブリックセーフティのあり方に関する調査事業」を一般社団法人日本UAS産業振興協議会(以下:JUIDA)に委託し、ドローンを用いたプラント点検に関する現場作業の要領をまとめた実務マニュアル、要点をまとめたチェックリストおよびプラント点検に従事する人材の育成に向けた教育カリキュラムを作成した。
- 「プラント点検分野におけるドローンの安全な運用方法に関する実務マニュアル」
- 「プラント点検分野におけるドローンの安全な運用方法に関するチェックリスト」
- 「ドローンを用いたプラント点検事業者教育カリキュラム」
今回作成した上記の3つの資料はプラントにおけるドローンの利活用を加速させることを狙いとして、総務省消防庁、厚生労働省および経済産業省が連名で発表したプラント点検分野におけるドローンの運用ガイドラインの内容に則し、プラントにおいてドローンを運用する際の実務に即した実践的な留意点を整理している。
■作成の背景
石油化学プラント業界では、プラント設備の高経年化や昨今の少子高齢化を受けた若手の人手不足、ベテラン従業員の引退など保安力の低下が課題となっている。これらの課題を解決するため、IoT技術など新しい技術の活用が注目されており、その中でも特にドローンは人手の代替として点検分野での活躍が期待されているという。
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総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省が連携して、プラントの保安についての意見交換を実施する場である石油コンビナート等災害防止3省連絡会議の中でドローンの活用が本格的に議論され、平成30年度には「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン」と「プラントにおけるドローン活用事例集」が発表されている。
このガイドラインによって、プラント事業者とドローン運用事業者は、ドローン導入における留意点について一定の共通理解を得られた一方で、飛行方法や撮影方法が多岐に渡るプラント点検においては、飛行方法ごとに具体的な要求事項が異なるため、ユースケースに即したより実務的な留意事項を整理する必要があると考えたという。
■実務マニュアル/チェックリスト/教育カリキュラムの詳細
1.実務マニュアルについて
ドローンによるプラント点検のユースケースを5つに分類した上で、それぞれのユースケースについて、3省ガイドラインと3省活用事例集と比較してより実務に即した留意点を整理したもの。
2.チェックリストについて
実務マニュアルの内容と3省ガイドラインの内容をチェックリストの形で漏れなく網羅できているかをチェックするためのもの。ドローンを利用してプラントの点検を行う事業者においては、3省ガイドラインおよび3省活用事例集と併せて本チェックリストを活用することで、ドローンの運用にあたって必要な留意事項を漏れなく確認することができる。
3.教育カリキュラムについて
上記の各ユースケースにおける点検を安全に実施するために習得すべきスキルと知識を体系的にまとめたもの。本カリキュラムは座学による講義の内容だけでなく、福島県が所有し福島イノベーション・コースト構想推進機構が管理・運営する日本最大のドローン・ロボットの試験場であるRTFを利用した実技訓練方法を記載しているため、座学と実技ともにこれからプラントの点検を行いたい事業者の技能向上に資する内容になっている。
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■実務マニュアル/チェックリスト/教育カリキュラム作成にあたっての実証実験実施
実務マニュアル、チェックリストおよび教育カリキュラムを作成するにあたり、その実効性を検証するために実証実験を行った。
実施概要
- 実施日時:2019年12月11日
- 実施場所:RTF 試験用プラントおよび試験用トンネル
- 実施内容:
1.試験用プラントを利用した、外壁や狭小空間の損傷を点検する実験
2.試験用トンネルを利用した、目視外飛行でパイプやトンネルの損傷 を点検する実験
同実験ではFlyalibity社が開発しブルーイノベーション株式会社が提供する点検専用の球体ドローン「ELIOS2」を使用して、ひび割れに見立てたクラックスケールを目視で確認できるかが主な検証のポイントとなった。同実験の結果、いずれも鮮明にクラックスケールをカメラで捉えることができ、同事業で作成した実務マニュアル、チェックリストを活用してドローンを活用したプラント点検の有効性が示されたという。
(左)設備内点検のイメージ(右)使用したドローン「ELIOS2」
ELIOS2によって撮影されたパイプとクラックスケール
ELIOS2によって撮影されたトンネル内のクラックスケール