前回の記事では、ドローンと人工知能(AI)の関連性を紹介するため、ドローンのインテリジェントデータ処理の原理を説明した。
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ドローン業界におけるAIの最重要目標の1つは、ドローンが収集した広範なデータセットを効率的に利用することだ。これは、データセットに人の手を介さず自動でアクセスできることを意味する。ドローン技術の開発と普及が進むにつれ、メンテナンス、測量、マッピング、モニタリングなど様々なタスクに使用する高解像度画像の有用性が高まっている。市場にはすでに多くのソフトウェア開発企業が存在し、手作業による時間のかかる分析なしに未構造化ドローンデータを「実用的」にし、意味ある考察を見出インテリジェントデータ分析ソリューションを提供している。
自動車のカウントとサメの追跡:実用的なインテリジェントデータ分析
ドローン業界ではすでに、ディープラーニングおよび機械学習アルゴリズムは顕著に多くの分野、たとえば農業から安全とセキュリティに至るまで利用されている。
たとえばPix4D社は2017年末写真測量アプリケーションに機械学習アルゴリズムを採用し、3Dポイントクラウドを建物、道路、草木等のカテゴリに分類するために利用し始めた。今ではインテリジェントツールを使い、樹木を数え、その高さと種類を判別できるようになった。これらを利用し、道路、建物、植生の総面積、駐車場内の自動車の数、関心地域にある太陽電池の設置に適した屋根の数を判別することもできる。
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また、Pix4D社はHummingbird社と共同で、農場管理者や農学者が作物や植物の生産性を大きく損なうような病気の問題に対処するためのソフトウェアを開発した。これはエラー強さのあるアルゴリズムに特殊な機械学習機能を追加して隠れたパターンを発見し解読し、顧客がより正確な診断と対処ができるようサポートするものだ。
Ardenna社は、鉄道や風力タービンの検査で発見された異常の検出、分類、報告を自動化するため、画像処理と人工知能を利用している。ドローンが行う鉄道検査では100マイルのレールからおよそ40,000の画像が収集され、このソフトウェアはそのデータから30種類の異常の検出を5時間未満で自動的に処理できる。
自動化されたミッションでは、Skycatch社のシステムはディープラーニングモデルを利用し、建設現場全体の資産と資材の配達を識別し追跡することができる。このシステムのようなライブ追跡では遅延と時間外労働を予測することができ、建設会社が多くの資金を節約することをどう防ぐか学ぶことができる。
インテリジェントデータ処理ツールのさらなる利用と開発は、ビッグデータの処理時間を大幅に減らすだろう。これは今日の大きな挑戦だ。
同社Lukas Schrothシニアマーケットアナリストは語る。
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EagleView Technologies社はすでに、2017年のハリケーンHarvey以降、資産分析データの作成に機械学習アルゴリズムを利用した。このアプローチにより保険会社はドローンが撮影した画像を分析し、効率的に分類することが可能になった。これはハリケーン後の巨額の保証請求において極めて重要なことだ。
オーストラリアに本拠地を置くWestpac Group社は、Shark Spotterという水中のサメを検出できる物体認識機能を備えたドローンを提供している。このチームは、リアルタイムでサメの検出および認識を行うシステムの基幹として、高度なディープラーニングフレームワークに基づくアルゴリズムを開発した。
アメリカに本拠地を置くプラットフォームのNanonets社は、他の企業やソフトウェア開発者の機械学習モデル構築をサポートしている。この企業は、機械学習の採用を容易にすることにり、これを利用できる人の数を増やそうと取り組んでいる。すべてのクライアントが要求されることは、この企業にいくつかのサンプルを送ることだ。これを利用し、モデルが 太陽光発電所を点検したり、画像から関心対象をカウントするための学習を行う。
韓国のソフトウェア会社Nearthlabは現在、写真から風力タービンブレードの損傷を自動的に検出して報告するソリューションの開発に取り組んでいる。この技術が開発されれば損傷はすぐに識別でき、必要ならば追加の対策を行える。
調査結果:分野を横断するドローンデータ分析メーカー
我々は最近、この記事を作成するために業界内のさまざまな分野のマーケットプレーヤーのスナップショットを取得する調査を実施した。下図は我々の調査に参加した企業(アルファベット順)とその関連産業を示している。
調査に参加したほとんどの企業は、エネルギー分野のデータ分析のためのドローンソフトウェア製造に専念している。これらの多くは、産業資産を視覚化するだけでなく、メンテナンスで問題や異常を識別し管理することにもデータ分析ソフトウェアを利用している。次いで多かったのは建設産業だった。ここではほとんどのアプリケーションが建設現場の変化を監視したり、資材量を測定するのに利用されている。採鉱、採石、石油・ガス採掘ソフトウェアの開発者は、現場の進捗状況の監視、採掘現場全体のデータマッピング、抽出量の測定を行うソフトウェアツールを開発した。
また、回答企業の37%が人工知能アルゴリズムのみを利用しているのに対し、63%が従来のコンピュータビジョンソフトウェアを機械学習またはディープラーニングの手法と組み合わせて利用していることがわかった。ドローンデータ分析ソフトウェアの製造企業で、機械学習もディープラーニングのアルゴリズムも利用していないと回答したところは存在しなかった。AIを利用したソフトウェアのみを使用している企業のうち、50%がディープラーニングと機械学習の両方を利用している。30%は機械学習アルゴリズムのみ、もう20%はディープラーニングのみを利用していた。
What’s next?
人工知能はまだビッグデータ分析のすべてに対する解決策たり得ない。AI技術(機械学習またはディープラーニング)とその結果は、分類モデル構築に利用されたトレーニングデータと同程度には優れている。
ほとんどのドローンデータ分析企業は、ドローンが取得したデータを処理するのに依然として伝統的な方法を利用している。しかし、すべての調査参加企業が人工知能ツールを導入するかどうかという質問に積極的に答えたという事実は、AIが彼らにとってますます不可欠になるだろうということを示している。回答企業の37%がすでに機械学習またはディープラーニングを完全に信頼しており、今後ますますこの傾向が進むことを示している。
こうした強力なインテリジェントデータ処理ツールのさらなる利用と開発は、ビッグデータの処理時間を大幅に減らすだろう。これは今日の大きな挑戦だ。データ分析ソフトウェアは現在、関連するすべての産業分野において多様なドローンアプリケーションに導入されている。当然のことながら、成熟した業界(エネルギー、建設、採鉱および採石業)に関するソフトウェアの開発者は他の業界より多い。しかし、これは小規模で裕福でない産業に分析ソフトウェアツールが存在しないという意味ではない。保険、農業、不動産、運輸産業はすべて分析ソフトウェアへを求め、その利用を増やしている分野だ。
この記事では取得したデータの分析に焦点を当てたが、AIがドローン技術で果たすもう1つの役割として、モーションプランニング、つまりUAVプラットフォームの動作への影響がある。我々はすでにSkydio社の自動運転ドローンのような進歩を目の当たりにしている。ドローン業界におけるAIアプリケーションが重要性を増し、高度に自動化されたフライトがより実現可能で一般的になるだろう。