※情報は執筆時点(2026年5月)のものです。制度改正や誤りの可能性があるため、手続き前に公式情報でご確認ください。内容に誤りがあれば、ご一報ください。修正いたします。
最初にドローンを手にしたのは確か2015年頃だったと記憶している。Parrot社のBebopだったな。気がついたら、あれからもう11年…。
ただ、私の本業は映像制作とブランディングだ。ドローンはその中の道具のひとつで、毎日飛ばしているわけじゃない。11年やってきた、と書くと聞こえはいいけど、実際は「必要な時に、必要な分だけ飛ばす」運用がずっと続いている。
だから、2025年12月にドローンの許可・承認のルールが変わったと聞いた時も、正直、あまりピンとこなかった。機体登録も、賠償保険も、過去の包括許可も、飛行記録も揃っている。これまでどおりで回っていたから、急いで何かを変える理由は、特に見当たらなかった。
そもそも、国家資格、と聞くと少し気後れする。手続きが多い、時間がかかる、書類は苦手、順序立てて進めるのも得意じゃない。クリエイターには、たぶんそういうところがある。それでも今、52歳でドローン国家資格2等を取りに行くと決めた。理由はひとつ。AIの進化だ。
「進めなきゃいけない手順」を一緒に整理してくれるなら、知らない制度をほぐして見せてくれるなら、自分にもできそうな気がした。気後れの重さが、ちょっと軽くなった。
しかも、AIで仕事のかたちが変わっていくこの先、ドローンの国家資格を持っておけば、AIと掛け算で面白いことが広がるかもしれない。先行者メリット、というほど大げさじゃなくて、「やれることはやっておこう」くらいの気持ちだ。リスキリングと呼べばそうかもしれない。
そんな勢いで踏み出した記録を、3回に分けて書いていく。教科書じゃない。「不確かな記録」「ドキュメンタリー」だ。2等のなかでも、いちばん基本になる目視飛行から挑む。そこを越えられなかったら、連載はそこで一旦終わる。越えられたら、いずれは1等まで―そんな進行中の手引き、だと思ってもらえれば。
第1回の今回では、2025年12月の制度変更で「何が・どう変わったのか」を整理しつつ、スクール受講前日までの準備フローを一気通貫で追っていく。
2025年12月、何が変わったのか
ドローンを飛ばすために必要なルールは、この10年でかなり変わってきた。
2015年の初め頃までは、機体さえ手元にあれば飛ばせた時代だった。同年12月の航空法改正で、初めて飛行に許可・承認が必要になる。2022年6月20日には、100g(100グラム)以上の機体に登録制度が義務化され、登録機にはリモートIDの搭載も求められるようになった[1]。同じ年の12月5日(令和4年12月5日)には、無人航空機操縦者技能証明制度―いわゆる国家資格(1等・2等)が始まった[2]。それでも、業務でドローンを使う多くの実務者は、JUIDA・DPA・DJI CAMP等の民間技能認証をもとに包括許可を取り、書類の一部を省略しながら運用してきた。
筆者もそのひとりだった。機体登録もリモートIDも、賠償保険も、過去に取得した包括許可も、10時間以上の飛行記録もある。仕事の現場で必要な空撮は、これまでどおり問題なくこなせていた。

風向きが変わったのが、2025年12月18日施行の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーII飛行)」の改正だ。
この日付で、「航空局ホームページ掲載講習団体等が行う技能認証」「航空局ホームページ掲載無人航空機」「航空局ホームページ掲載団体等が定める飛行マニュアル」を根拠とした、許可・承認申請手続きの一部省略運用が廃止された[3]。これまで民間スクールの認証を持っていれば操縦者の技能証明として提出を省略できていた書類が、改正以降は無人航空機操縦者技能証明(国家資格)保有者でなければ省略できない建付けに切り替わった。(なお、機体側の書類省略は別軸で、旧「掲載機」の運用廃止により、現在は型式認証・機体認証を受けた機体でなければ省略できない。)

つまり、こういうことだ。
「飛ばすこと自体は、これまでどおりできる。ただし、仕事として効率的に飛ばすなら、国家資格が事実上のスタンダードになった」
業務で日常的にドローンを扱う人ほど、この変化はじわじわ効いてくる。包括許可の更新フロー、書類のやり取り、案件ごとの個別申請―これらの手数が、国家資格を持つかどうかで明確に差がつくのはいうまでもない。
1等と2等は、何が違うのか
国家資格は、1等と2等の2区分に分かれている。違いは「どこまで飛ばせるか」だ。
1等(一等無人航空機操縦士)は、いわゆるレベル4と呼ばれる飛行―有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行―に対応する。ただしレベル4を実際に飛ばすには、一等資格に加えて第一種型式認証を受けた機体が必要になる。都市部での物流ドローンや、自治体上空での目視外飛行などがここに該当する。試験範囲も広く、難易度は高い。
2等(二等無人航空機操縦士)は、レベル1〜3.5に対応する区分だ。第三者の上空(立入管理措置を講じない飛行)は不可だが、機体認証と技能証明、運航ルールの遵守を組み合わせれば、DID上空・夜間・目視外・30m(30メートル)未満といった多くの特定飛行で、申請の省略や不要化が可能になる[4]。実務者の多くにとっては、まずここがスタート地点になる。

筆者が選んだのも2等だ。今すぐ都市部物流に進出する予定はないし、まずは「これまでの仕事の流れを国家資格ベースに移行する」のが最優先だった。1等は、2等を取って運用に慣れてから、必要に応じて目指せばいい。
なお、この国家資格は航空法上「無人航空機操縦者技能証明」と呼ばれる。「免許」と呼ばれることも多いが、正式名称は「技能証明」だ。本連載では正式名称に揃えて「技能証明」または「国家資格」と書く。
私がAIに最初に頼んだこと
国家資格を取ると決めて、最初にしたのはAIへの相談だった。
まず申請フローを分解してもらい、全体像を掴む。二等の取得は、DIPS 2.0、マイナポータル、試験予約システムと、入口がいくつもの政府系サイトに分かれている。
あとは、お世辞にも使いやすいとは言えないそれぞれの画面を、スクショをAIに見せながら一つずつ潰していった。それだけで、止まっていた手続きが動き出した。
DIPS個人アカウントと、申請者番号
「2等を取る」と決めたら、最初にやることはスクール選びではない。DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)で個人アカウントを作り、技能証明申請者番号を取得することだ[5]。
ここでつまずいたのは、業務で長年使ってきた法人DIPSアカウントとは別に、個人DIPSアカウントを新規に作る必要があるということ。技能証明は個人に紐づく資格なので、法人アカウントでは取得できない。盲点だった。

申請者番号取得のフロー
- DIPS 2.0で個人アカウント開設
- マイナンバーカードでeKYC(公的個人認証)
- 申請(住所・氏名・生年月日・連絡先 等)
- 数日後、発行通知メールが届く
- 技能証明申請者番号(10桁)が確定
- スクール入校時の入学申請書に記入
運用上の留意点:DIPS等のシステムで本人確認に使うメールアドレスは、Gmailの「+エイリアス」のような変則アドレスを使うと弾かれることがある。普段使いのアドレスをそのまま登録するのが無難だ。
経験者証明と、必要書類4点
申請者番号が出れば、次はスクール入校までの実務だ。
筆者の場合、過去の飛行歴があったので「経験者コース」を選ぶことにした。経験者コースは、初学者コースに比べてカリキュラムが短く、費用も抑えられる。ただし、その分経験者であることを書類で証明する必要がある。
経験者コースの要件はスクールによって異なる。民間資格の保有を必須とするところもあれば、飛行記録での証明を認めるところもある。私が選んだスクールは後者で、求められたのは10時間以上の飛行記録だった。私の場合、過去にDIPSで取った包括許可(許可承認書)と、その運用記録があったので、これを所定のフォーマットに整え直して提出した。
入校時にスクールへ送付する書類は、4点だった。
- 住民票の写し
マイナンバーカードがあれば、コンビニで300円、5分ほどで取得できる。本籍記載の有無はスクール指定に従う。 - 運転免許証のコピー
本人確認書類として。表裏両面のコピーを求められる場合が多い。 - 証明写真
スクール用・免許用・ClassNK登録用すべてに使えるタイプ。 - 入学申請書
スクール所定のExcelフォーマットに記入し、技能証明申請者番号を含めて返送する。
事務手続きとしてはシンプルだが、4点を揃えるのに筆者は数日かかった。書類が一つ欠けるとスクールが受講枠を確保できないので、ここは早めに動くのがいい。

登録講習機関(スクール)の選び方
書類が揃ったところで、いよいよスクール選びだ。
国家資格2等は、国交省指定の登録講習機関(スクール)で実地講習と修了審査を受けるルートが、最も実用的だ。修了審査に合格すると、その後の国家試験のうち「実地試験」が免除される。残るのは学科試験CBTと身体検査だけになる。
スクールを選ぶときに、筆者が見た判断軸は4つあった。
- 屋内か、屋外か:屋内は天候の影響を受けず日程が崩れにくい。屋外は本番の運用環境に近い練習ができる。
- 初学者コースか、経験者コースか:経験者要件を満たすなら、経験者コースで時間と費用を圧縮できる。
- 費用:私が選んだスクールは、経験者の基本コースが88,000円だった(機体・施設・修了審査含む)。ただしスクールや、夜間・目視外の限定解除を含むかどうかで価格は大きく変わり、経験者コースでも10万〜18万円程度を見ておくと現実的だ。再審査・補講には別途費用が発生する。
- 修了審査が同日に組み込まれているか:1日完結型なら、合格すれば実地試験免除がすぐ確定する。

結果、筆者は、自宅から近く屋内施設でも実技可能な、国交省の登録講習機関である湘南ドローンアカデミー(神奈川県平塚市)を選んだ。事務局担当者とのメールやりとりも丁寧で、確認質問への返信も速かった。これは安心材料になる。
スクール選びは、地域・予算・スケジュール・カリキュラムの組合せで決まる。複数校に問い合わせ、レスポンスの早さや質問への向き合い方を含めて比較するのが、結果的にはいちばん近道だと思う。
eラーニングと、事前確認テスト
スクールへの入校手続きが済むと、受講日までに進める学科予習が始まる。通学とeラーニング、どちらかを選べる仕組みで、私は移動や待ち時間にコツコツ進めたかったのでeラーニング型を選んだ。実地講習が始まる前に、学科の基礎をオンラインで一通り学んでおく流れだ。
教材は、国土交通省航空局の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(令和7年2月1日 第4版)に準拠している。
eラーニングの章を全て視聴したら、最後に事前確認テストが控えている。これに合格しないと、実地講習当日には進めない仕組みだ。受講料も書類も整えたところで、ここでつまずくと一旦止まる。
私の場合、Web/モバイル両対応の教材を、移動時間や待ち時間にコツコツ進めた。ひと通り見終わったあと、確認テストはオンラインで受験。無事に合格して、受講日への切符がようやく手元に揃った。

学科の基礎を先にeラーニングで入れておくと、当日の実地講習で「なぜこの操作が必要なのか」が腑に落ちやすい。手を動かす前に、頭に地図を入れておく感覚に近い。
受講日まで、あと数日
スクールから当日案内のメールが届いた。
集合は12時、講習開始は12時10分、修了審査は16時45分ごろ。場所は寒川アリーナ、メインアリーナBの屋内。持ち物は上履き、テキスト、筆記用具、ドリンク。駐車場は無料。

準備は、ここまでで一通り整った。
だが、ここからが本番だ。11年間ずっとGPSに頼って飛ばしてきた身体が、修了審査の山場―GNSSを切った「異常事態」の課目で、果たして思いどおりに動いてくれるのか。経験者コースは初学者よりも講習時間が短い。そのぶん、修了審査で求められる操作を短時間で習得しなければならず、「異常事態」の課目で苦戦する受講者も少なくないという。
机の上に置いておけるメモを目指して書き始めた本連載が、まずは「準備編」を終える。次回は、寒川アリーナでの受講当日―12時集合、16時45分修了審査―をそのままレポートしていく。
合格できたか、できなかったか。何が起きたか。 そのままお伝えする予定だ。
次回予告
第2回(全3回中)|湘南ドローンアカデミー受講当日 ― 経験者コース1日の実況と、修了審査の評価軸
経験者コース当日のカリキュラム、修了審査の課目構成(スクエア飛行・8の字・異常事態対応)、評価基準、不合格時の補講・再審査の費用構造、そして実地試験免除の制度的意義までを、当日の現場感とともに整理する。
問い合わせ先
- 国土交通省航空局 無人航空機安全課/無人航空機ヘルプデスク
- DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)申請ポータル
- 国土交通省 登録講習機関一覧(登録番号入りPDF)
- 湘南ドローンアカデミー(本連載の取材協力)
- アロハ・ブランディング公式サイト
出典
- [1]:国土交通省航空局「無人航空機の登録制度」(2022年6月20日施行)
- [2]:国土交通省航空局「無人航空機操縦者技能証明等」(2022年12月5日制度開始)
- [3]:国土交通省「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーII飛行)」の改正(2025年12月18日/令和7年12月18日施行)
- [4]:航空法施行規則および国土交通省の運用解釈通達
- [5]:ドローン情報基盤システム DIPS 2.0

長澤宏樹(ながさわ・ひろき)|プロフィール
クリエイティブ・ディレクター/アロハ・ブランディング合同会社代表。映像制作・ブランディングを軸に活動。2015年からドローン運用を開始。2025年12月の審査要領改正を機に、52歳でドローン国家資格2等取得に挑戦中。