軍用無人機(UAV)の中で、最近は「協調戦闘機(CCA:Collaborative Combat Aircraft)」と呼ばれる、有人機と行動を共にする機体が関心を集め、各国が開発を加速させている。有人機の僚機となり強力な矛と盾にもなるCCAは、第6世代機の登場により旧式となる第5世代機はおろか、第4.5世代の有人戦闘機も延命させて長く現役に留まらせるかもしれない。それは何を意味するのか。最も新しい有人戦闘機でありつつ自ら第4.5世代と名乗る韓国のKF-21を挙げて、CCAが有人戦闘機に及ぼす「延命」に目を向けたい。
KF-21の開発宣言当時は
CCAへ言及する前に、不可解とも韓国に深慮があるとも想像できるKF-21について記したい。KF-21の開発が宣言されたのは2001年。2010年に開発戦略が了承され、韓国航空機産業(KAI:Korean Aerospace Industry)により2022年7月19日に初号機が初飛行した。レーダー電波の反射を抑えるステルス機能を採り入れている反面、胴体下部に半埋め込み式で空対空ミサイルを搭載する旧世代機の特徴も残していることから、第4.5世代機と自ら名乗っていると見受けられる。
韓国はKF-21の開発初期からCCAとのコラボレーションを念頭に置いていたか。おおよそ、機種を問わず軍用機の開発は起源も構想もいつ湧き、どのように変遷したか。詳細は明らかにならない。それを思えば、KF-21とのコラボレーションもいつ出たか。本当のところはこれからも明確にならないだろう。
ただ、KF-21の開発が宣言された当時、戦場でのUAVは、航空機に相当するサイズでは米国のMQ-1など偵察型が主流だった。ゆえに、「後付け」でKF-21とCCAがセットになったと想像できる。反面、KF-21の試作4号機は複座型で、後席にCCAの指揮管制員を乗せると観測もある。こちらを思えば、韓国は早くから研究、あるいはリサーチしCCAの活用を視野に入れたとも理解できる。第4.5世代機と名乗りつつも、KF-21がCCAにより「延命はいける」とKAIが判断したのなら、これこそが韓国の深慮かもしれない。

中身を更新し長い矛と硬い盾も
航空の歴史が始まって以来、戦闘機は後継機が現れれば、空中戦で敵を墜とす役目から地上攻撃に転じ、更に旧式となり退役してきた。しかし、昨今は一機種が数十年現役に留まることも珍しくなくなった。それはエンジンや電子装備を更新して延命を図るばかりではなく、空対空や空対地ミサイルの進歩も著しいからだ。CCAもこれらミサイルと同じ"飛び道具"であるうえ、CCA自体が武装に加えてレーダーや赤外線監視装置など索敵装置を搭載する有人戦闘機の"分身"として、母機の矛も盾も強固にする。それこそが有人戦闘機の寿命を長引かせる。
矛としての機能では、ボーイングとボーイング・オーストラリアが共同開発したMQ-28が2025年12月9日、空対空ミサイルAIM-120の発射実験に成功している。動画サイト「ユーチューブ」の公開映像を見ると、AIM-120は胴体下に直接懸架されステルス性を確保していると言えないものの、CCAへの期待を垣間見ることができるのは確かだろう。見方を変えれば、CCAの管制を受け持つ母機は強固で信頼性の高い指揮通信機能を備えてさえいれば、敵機と直接まみえずに済み、CCAが世代交代すれば矛と盾は一層強固に進化する。それは有人戦闘機のアップデートより安く済むことは想像に難くない。
こうして第4.5世代機、あるいは第5世代機は第6世代機が出た後も現役に留まることができるようになる。余談ながら、さらに旧式の第4世代機を延命させる例としては、10年ほど前に浮かんだ米国のF-15に現用型の倍の数になる空対空ミサイルを搭載する「2040C」なるミサイルキャリアー構想があった。出来る限り長い期間、就役機を現役にとどめたいのは、今も昔も変わらない。KF-21も同じでCCAの登場が追い風になるのも間違いない。
3種の無人機とチーミング
2026年2月初めにシンガポールで開催された航空ショーでは、KAIの屋内ブースでKF-21と軽戦闘攻撃機FA-50の模型とともに、3種類の無人機であるMUCCA(Medium Unmanned Collaborative Combat Aircraft)とSUCA(Small Unmanned Collaborative Aircraft)、そしてAAP(Adaptable Aerial Platform)の模型が一緒に展示された。ほかの海外の航空ショーでもKAIの屋内ブースにはKF-21の模型と並んでMUCCAなどの模型も展示されている。

シンガポール航空ショーでKAIのブースで流れていたPRビデオに流れるKF-21とMUCCAとSUCA、AAPを含めた戦い方は他国の有人戦闘機と無人機のチーミングと同じ、レーダーや赤外線監視装置を個別に搭載した複数のMUCCAやAAPがKF-21の前衛や周辺警戒に当たる。攻撃に入ると、胴体の兵器倉に空対空ミサイルを搭載したMUCCAの出番となる。主翼下に懸架したSUCAは、こちらは索敵と監視は同じなものの攻撃では自爆兵器となる。
2002年に初飛行したT-50練習機から派生したFA-50軽戦闘攻撃機でも同じイメージビデオが流されていたが、AAPは説明版には、「有人機或いは無人機の生存性を高める、与えられた役目は囮」と明示されていたことからも、KF-21或いはFA-50の生存率を挙げるよう全体が構築されていることが分かる。生存率が良好=撃墜される危険が少ないままなら、就役期間は長くしても差し支えない。実際、模型の傍らにいたKAIの社員は「無人機により第4.5世代機も就役年数を延長できる」と語っていたことから、第6世代機の登場後も第4.5世代機が現役でいることができる可能性は生じたと言えるだろう。

20年間以上、武器輸出国を目指す
韓国は2000年代に入り武器輸出へ力を入れ出した。防衛産業の活性化へ海外需要も取り込むためだ。最近では、米露仏中といった武器輸出の"老舗"を追うように輸出額を伸ばし、一般にも知られたところでは、ポーランドと2022年にK2戦車やFA-50など147億6000万ドル(約2兆470億円、当時)の輸出契約を締結している。米独に比べて価格も納期も成績が上回ったことが決め手になった。日本貿易振興機構の公式サイトによると、2020年代以降は高度な技術が必要な武器の輸出にも取り組み、世界の防衛産業の中で新たなプレーヤーとして浮上しているという。
日本の外務省の公式サイトにある韓国の基礎データによると、2025年の国防予算は61兆2469億ウォン(約6兆1247億円)。日本の2025年度の防衛費は約8兆7000億円。規模は日本より小さい。しかし、韓国はまるで日本の1960~70年代のような航空機開発ラッシュのまま、更に武器輸出国を目指している。そこにCCAであるMUCCAなど無人機が有益なのは間違いない。
とはいえ、これから登場する第6世代機も、無人機とのチーミングはデフォルトだ。韓国もそこは織り込み済みで、KF-21の海外セールスもできるだけ長引かせたいに違いない。米国でも盛んにCCAの研究は行われ、ゼネラル・アトミクス(GA-ASI)のYFQ-42Aなどは既に日本でも知られているが、韓国はCCAの分野では将来、米国もライバルにするつもりかもしれない。

KF-21は実のところ、開発が宣言された当初は海外の分析機関では第5世代機と観測されたこともあった。なぜ、第5世代機としたかはまでは公表されていないが、KF-21は装備品の一部を巡って計画したものを米国から輸入することができなかったり、兵器倉は後年の装備としたりするなど、真の有人戦闘機開発力はどの程度かという疑問も投げかけられていた。
しかし、MUCCAなどの登場で、第4.5世代機であることを気にする海外ユーザーは減ると期待していると推測できる。韓国では大韓航空がLOWUS(Low Observable Wingman UAV System)と呼ばれるCCAも開発中だが、これもCCAが有人戦闘機の寿命を左右すると考えているためかもしれない。